「CMYK」…カラー原稿のデジタル入稿の際の、必須知識です
「CMYK」 とは、オフセット印刷 などで 同人誌 を作る場合に、4色分解 によるフルカラー印刷をする際に使用する、基本となる印刷インキ色、青 (シアン(C/ Cyan)・紅 (マゼンダ(M/ Magenta)・黄 (イエロー(Y/ Yellow)・墨 (ブラック(K/ Kuro/ Key tone)の事です。 「プロセスカラー(Process color)」 とも呼びます。
CMYKカラーとは、カラー原稿がその4色に分解されている状態を意味し、原稿 の作成者側が直接その状態で 入稿 のためのデータを作成すると、事前に 印刷 の結果がある程度正確につかめるとされています。 なおカラー印刷の際、本来はCMYの3色 (色の三原色) で全ての発色を行うことが可能です。 これは減法混色と呼び、色を重ねるごとに暗い色となり、全ての 色 を混ぜると黒 (に近い暗い色) になります。 しかし黒をより美しくクッキリと出すために、それとは別にKを加えた4色となっています。
色については、言葉による説明よりも下記の一覧を見たほうが話が早いでしょう。
CMYKカラー色見本一覧
Cyan/ C |
Magenta/ M |
Yellow/ Y |
Black/ K |
これはパソコン(Windows/ Macintosh)のRGBカラー数値指定による色参考です。
実際のインキ色とは異なります。 また写真は色イメージで、実際の色分解版とは異なります。
RGBカラーとCMYKカラーとの関係とは
フルカラーを作る方法には RGB という方式もあります。 「RGB」 とは、テレビやパソコンのモニターなどで色を表現する際に使われる光の三原色、赤 (R)・緑 (G)・青 (B) の3つの色のことで、「RGBカラー」 とは、この3つの色の組み合わせで全ての色を作り出す方法です。 これはCMYの減法混色に対して加法混色 (色を重ねるごとに明るくなり、全ての色を混ぜると白になる) と呼びます。
一般的にデジカメで撮影した写真データや、通常の画像作成ソフトウェアで作る 画像 のファイル (データ) はRGBカラーで作られますし、画像を表示するパソコンのモニタも上記の通りRGBカラーですので、印刷の為の画像データ作成では、このRGBカラーとCMYKカラーとの 「色味の違い」 を理解しておくことが重要です。
通常CMYKに比べRGBは 「白」 っぽく表示され、RGBの印象で印刷物を頼むと、やや 「黄色み」 掛かって見えるのが普通です。 モニタの色温度を調節 (モニタによって異なりますが、6500K くらいが適当でしょう) して確認しながら作業したり、また Photoshop などの画像編集ソフトでCMYKへ変換した後に色調整するようにすれば良いでしょう (プリントアウトして、入稿の際に 印刷屋 さんに見本として添付するのも有効な場合があります)。
なおRGBのうち2色を同量で混ぜるとCMYのうちの1色になります。 逆にCMYの2色からRGBの1色を作ることもできます。 例えばRとGを混ぜるとYになり、CとMを混ぜるとBになるという関係性です。 絵作りや印刷を依頼する時に意識する必要はありませんが、色味の違いと合わせて、あれこれと色の世界を調べてみると面白いかもしれません。
ちなみに印刷の世界では、解像度 とか ルビ に使うようなフォントのサイズとか、同じような規格や指標がいくつもあって、それぞれに異なる名称や互換性のあるなしまであって混乱することがあります。 仕事で関わらないのならそこまで詳しく知る必要はありませんが、知っているとかなり作業を効率化させることもできます。 本づくりを一生の 趣味 とするなら、のんびり調べながら付き合うと楽しいかも知れません。
「蛍光ピンク」 を使った特殊な4色印刷
ところで一般的な 肌色 の発色要素は「M」(マゼンダ) と 「Y」(イエロー) ですが、このうちマゼンダは、人肌が沈んだ感じの色に仕上がってしまう場合があります。 ですので最近は、替わりに明るい感じになる 蛍光ピンク (KP) を使って印刷する場合が多いようです (5色分解の場合は、通常のCMYKにKPを追加する場合が多いですね)。
肌色がくすんでは、せっかくの美少女・耽美青年も台無
なお直接パソコン上で作成されたデジタルデータ以外の原稿データ、例えば紙に描いたカラー原稿の取り込みには、印刷屋さん側で ダイレクトスキャナー (電子色分解機) にかけ、白色光で分解してデータ化する事になります。
最近はパソコン上でカラー イラスト だけではなく、モノクロ の 漫画 も描く人が増えていますが、一昔前は、紙に水彩絵の具などで描いたカラーイラストを取り込んだデータで表紙のカラー印刷をするケースも結構あったものです。 この場合は色分解は業者まかせとなりますから、とくにCMYKカラーを意識する必要はないでしょう (知っているに越した事はありませんけど)。
「BLACK」 と 「BLUE」 と 「KEY TONE」 と 「KURO」
ちなみに、墨はブラック (Black) なのに、ど〜して 「B」 じゃないんじゃい…と云う素朴な疑問がありますが(笑)、これは、ブルーと混同されないよう、クロの頭文字を取ったからです (BLと表記する事もありますが…今は別の意味に取られてしまうかも知れませんね)。 なお元々の正しい意味として、色調 のうちの明度や諧調 (Key tone) の頭文字、Kを取った名称が由来なようですが、わかりやすいのでKを黒とする呼び方が定着しているようです。
ところで 「CMYK」 で 「真っ黒」 を表現する場合には、どうしたらよいのでしょう。 RGB なら R0 G0 B0 (RGB0) で真っ黒ですし、ウェブなどの色指定では 「000000」(black でも可) で 「真っ黒」 になります。 「CMYK」 の場合、理屈で考えれば 「C0% M0% Y0% K100%」 で真っ黒になるはずですが、しかしこの 「C0% M0% Y0% K100%」 では、印刷によっては真っ黒にならず、網掛け 処理でダークグレーになってしまう場合があります (Photoshop などで作る黒々とした本当に真っ黒な黒は、「リッチブラック」 などと呼び、K100% の 「黒」 とは区別します)。
では 「リッチブラック」 を実現するにはどうしたら良いかというと、グラフィックソフトやプリントソフトなどで、K100% を RGB0 にするよう 設定 をするか、「C40% M40% Y40% K100%」 など、CMYにも色を乗せるのが良いと思います。 ちなみに全ての色に色を思い切り乗せ、「C100% M100% Y100% K100%」 でも 「真っ黒」 は実現できますが (「ベタ黒」 などと呼ばれます)、当然ながらその分CMYKそれぞれのインクの量が増えることになりますし、インクの量があまりに増えすぎると、印刷用紙によってはインクがきれいに乗らなくなったり (印刷機材や印刷用の紙、インクにもよりますが、CMYK それぞれの値の合計が250%〜300%程度が限界とも云われます)、不都合が起こって印刷に時間がかかったりもします。
Photoshop と Illustrator とでは色モードの取り扱いも異なるので、Photoshop で作った画像を Illustrator で作成した文字やパーツと組みあせてレイアウトして印刷用原稿を作る場合などは、注意して何度も確認するようにしましょう。 自分のパソコンの画面では同じ色に見えていても、印刷したらはっきりと色の違いや境界線が見えてしまう場合があります。
またこれは印刷というよりデザインに近い考え方になりますが、「真っ黒」 をどこかに使うと、当たり前ですが 「それ以上の黒」 は存在せず、別の場所で使うこともできなくなります。 例えば 黒髪 が魅力の キャラ のイラストと黒い文字タイトルを使った表紙を作る場合、キャラの髪と文字、そのどちらに 「真っ黒」 を使うべきなのか、ベタ塗りするのか一部に階調をもたせるのかなどは、作家のセンスやこだわり次第でしょう。
どこにたった1つしかない 「本当の黒、真っ黒」 を使うべきか (逆に真っ白も)、その意味付けなども踏まえきちんと意識して配置に悩むのも、ものづくりの楽しさです。