分かるようでわからない 「解像度」
「解像度」 とは、光学的な視覚情報において、どこまで細かく分解できるか (見分けられるか) を示す一つの指標のことです。 様々な分野で使われますが、こと おたく や 腐女子、あるいは 同人 や ネット の世界では、主にコンピュータなどで用いられるドット (網点)・ピクセル (画素) の組み合わせで作られる 印刷 された 画像 やデータとしてのデジタル画像 (ラスター画像) におけるドット・ピクセルの細かさ、それを印刷する際のプリンターの印刷密度や表示するモニタなどの画素の細かさ、あるいはカメラやスキャナなどの光学機器類において色や明るさを分解する能力 (分解能) を表す際に使います。
それぞれは密接に関係しているものの実際の使われ方や表記方法、意味合いはかなり違いますが、描写・表示する対象の 色 や明るさをどのくらい細かく分解できるか、その分解した情報を 環境 ごとにどれだけそのまま保存し再現できるかの指標になっているという点はほぼ同じです。 また言葉や 概念 はコンピュータなどがないアナログな時代や ジャンル でも使われます (後述します)。
元々は映像関係や印刷関係、コンピュータ・DTP 関係の世界で使われる専門用語ですが、コンピュータで動く ゲーム が広がったりパソコン・液晶画面つきの移動端末や薄型テレビなどの普及が広がる中で、一般人 の間にも言葉が伝播。 日常会話などでも 「物事を細かいところまできちんと見て理解している」(分解能が高い、粒度が細かい) といった状況を 「解像度が高い」 と表現するなどの使い方がされたりもしています。
同人や印刷における 「解像度」
同人の世界では、同人誌 や印刷を伴う グッズ (便箋 とか 封筒 とか) の制作などを通じて、解像度は必須の概念となっています。 とはいえ一昔前までは紙の 原稿 に 絵 を描くなどして 印刷屋さん に 入稿 (アナログ入稿) するスタイルがほとんどで、発注する側が解像度を意識する必要はありませんでした。 チラシ や 名刺 の印刷なども、業者に任せっきりで解像度など知らなくても困ることはなかったでしょうし、印刷ではなく複写である コピー誌 も、よほど小さな原稿を拡大するなどしない限り、解像度とか画質の知識は必要ありませんでした。
しかし 1990年代あたりからパソコンを使った原稿制作や自宅での印刷、CG の普及、データ入稿・デジタル入稿、さらには オンデマンド印刷 なども広まり、自力で原稿や印刷用データを制作する場合、「解像度」 及びもっともよく使われる単位である 「dpi」 を意識したり、指定された 設定 を守る必要が生じています。
「dpi」 と 「ppi」 と 「lpi」
「dpi」 は 「dot per inch」(1インチ (25.4mm) あたりのドット) のことで、例えば 72dpi の場合、1インチあたり72個のドットが並ぶ解像度という意味になります (ピクセルの場合は ppi に、網掛け の場合は換算しづらいものの、概念としてはおおむね 線数 (lpi) に相当します)。紙やモニタに出力する際に同じ大きさの画像を比べて、ドットやピクセル、網点の数が少なければ画像が粗くぼやけた印象になりますし、多ければ解像度は高くなり、原則としてそのぶん画像は高精細で美しくなります。 とはいえ、必要以上に細かい解像度はデータ量も巨大になりますし、印刷にせよモニタ表示にせよ、環境ごとに表現できるドット・ピクセル・網点数には限りがあり、一定以上は過剰で無駄なケースが多いでしょう。
一般に印刷については、フルカラー (CMYK) 印刷では実寸で 300dpi〜400dpi 程度 (350dpi が多いです)、モノクロ 印刷や特色刷り (特色1色刷り) の場合はおおむね 500dpi〜600dpi 程度 (600dpi が多いです) が標準的な解像度とされているようです。 もちろん高精細が求められる美術書や特殊な用途の印刷物や印刷方法では、これ以上の解像度が必要となる場合もあります。 一方で大きめの ポスター などの掲示物の場合は 200dpi〜250dpi 程度、web での利用やモニタ表示の場合は 72dpi になります。 小さい画像を大きく引き伸ばして印刷する場合は、印刷データでどのくらいの解像度になるかで予想してもいいでしょう。
「ピクセル」(Pixel/ 画素) の単位は px で、100px ならピクセルの点が100個並んだ状態ということになります。 例えば 350dpi で1インチ四方の画像なら、センチ単位で 2.54cm、ピクセル数は 350px × 350px になります。 「ppi」(pixel per inch) で表すこともありますが、基本 dpi と同じだと考えて差し支えありません。 何やらドットだのピクセルだの dpi・ppi・lpi だのと、似たような様々な言葉や単位が出てきて混乱しますね。
ドット 点の集まり |
ピクセル 四角形の集まり |
なお印刷やデバイスにおけるドットとピクセル、網点は本来は別のもので、1インチ内に同じ数があってもふるまいはかなり異なります (四角のピクセルに比べ、丸型のドットはそれぞれの間に隙間が生じ、またドット・網点の小さい大きいや品質 (ドットゲイン/ 粒度) もあって、同じ数値でも結果は変わります)。 ですが、実用上は同じような扱いがされがちですし、CG を描く時にピクセル単位で改変・編集 するものを ピクセル絵のほか慣習で ドット絵 と呼ぶなど、言葉がかなりごちゃっています。
印刷 (出力) における 「解像度」 に関する様々な単位
略称 | dpi | ppi | lpi 線数 |
読み方 | ディーピーアイ | ピーピーアイ | エルピーアイ せんすう |
名称 | dot per inch | pixel per inch | lines per inch ライン線数 |
主な定義 |
1インチ中にドットが いくつ含まれるかの単位 |
1インチ中にピクセルが いくつ含まれるかの単位 |
1インチ中に網点が いくつ含まれるかの単位 |
主な用途 | 出力 (プリンタの印刷・モニタの表示) 及びスキャナなどにおける図案読み取り時の緻密さ・精度・品質 |
ラスター画像おける 画像の緻密さ・精度・品質 |
主にモノクロ印刷における 緻密さ・精度・品質 |
適切とされる数値 |
一般印刷物/ 350dpi web用途/ 72dpi |
一般印刷物/ 350ppi web用途/ 72ppi |
一般印刷物/ 600lpi web用途/ - |
解像度 350dpi で B5 サイズの場合は…
例えば漫画雑誌や同人誌で一般的な B5 サイズ (182mm × 257mm/ 7.17inch × 10.12inch) の 表紙 をフルカラーで制作するとしましょう。 この場合、350dpi でデータを作るとしたら、2,508px × 3,541px の画像 (原稿) で作ることになります。フォトショップ といったツールで制作する場合、新規 のファイルを実寸サイズ・解像度で指定して創っても良いですし、横縦をこのピクセル数に合わせて作成しても、どちらも問題ないデータを作ることができます。 一般的な表紙作成では表紙 (表1) と 裏表紙 (表4) とを合わせて作るケースが多いでしょうから、その場合は横幅である 2,508px を倍 (5,016px/ A4サイズ) にして制作すればOKです。 A4 ならば 2,894px × 4,093px、表1表4 一緒なら 4,093px × 5,787px になります (ページ数が多いなどで背表紙が必要な場合は、それも考慮する必要があります)。
各判のピクセル数と実寸の関係は、次の表のようになります。
解像度 350dpi 時の各判サイズ早見表
A判 | ピクセル (px) | 実寸 (mm) | B判 | ピクセル (px) | 実寸 (mm) |
A0 | 11,589 × 16,384 | 841 × 1,189 | B0 | 14,193 × 20,063 | 1,030 × 1,456 |
A1 | 8,185 × 11,589 | 594 × 841 | B1 | 10,031 × 14,193 | 728 × 1,030 |
A2 | 5,787 × 8,185 | 420 × 594 | B2 | 7,096 × 10,031 | 515 × 728 |
A3 | 4,093 × 5,787 | 297 × 420 | B3 | 5,016 × 7,096 | 364 × 515 |
A4 | 2,894 × 4,093 | 210 × 297 | B4 | 3,541 × 5,016 | 257 × 364 |
A5 | 2,039 × 2,894 | 148 × 210 | B5 | 2,508 × 3,541 | 182 × 257 |
A6 | 1,447 × 2,039 | 105 × 148 | B6 | 1,764 × 2,508 | 128 × 182 |
A7 | 1,020 × 1,447 | 74 × 105 | B7 | 1,254 × 1,764 | 91 × 128 |
A判・B判 ともに、それぞれの各サイズは他のサイズに対して ルート長方形 の関係にあります (例えば A5 を倍にすると A4、半分にすると A6 になります)。 自分が作りたい同人誌のサイズに合わせて調整するようにしましょう。
なお入稿用データではなく、その元となるイラストなどは、より高解像度で作成しておくと後々楽です。 印刷用データは縮小はともかく、拡大は画質劣化が著しいので避けた方が良く、解像度もキャンバスサイズも大きめで作成すれば、後々レイアウトなどで調整が効いて便利でしょう。 ただし Illustrator で ベジェ曲線 などで描かれたイラスト (ベクター画像) の場合は、拡大しても縮小しても画質の劣化はありません。
写真などを貼り付けたい場合、解像度が高い場合は問題ありませんが、低い場合は仮に高解像度の原稿に貼り付けても緻密さは変わらず、ぼやけてしまいます。 同じ画像の高解像度のデータがあれば差し替えられますが、なければ適切な dip になるようにサイズを調整して挿入するか、何らかの加工をする必要があります。 ただし写真や図案の内容によっては、多少解像度が低くても気にならない場合もあります。 大切な印刷物の場合は、事前に試し刷りをするなどで十分に確認するようにしましょう。
一辺が1インチとした場合の 「72dpi」 と 「350dpi」 の画像例比較
72dpi | 350dpi |
「72dpi」 と 「350dpi」 の画像サイズ例比較
72dpi | 350dpi |
人間の目の解像度
人間の目の解像度 (見分けられる限界) は、当たり前の話ですが視力、及び目から印刷・表示面までの距離とで決まります。 印刷物の解像度をいくら上げても、テレビやスマートフォンがいくら高精細になっても、人間の目で見て見分けられなければあまり意味がありません。
云うまでもありませんが、印刷物における 350dpi という一つの基準も、人間の目と印刷物を手に取って見る時の距離では 300dpi 程度を見分けるのが限界だからです。 実際、印刷物の網点を肉眼で見分けられる人はいないでしょう。 学術的な記録用途とか、半導体や電子機器の配線プリントなどならともかく、人間の観賞用ならそれで充分なのですね。 ポスターなどの大判なものは目から離れて見ることが多いため、より低い解像度でも見分けられなくなります (近づいてよく見るとわりと荒かったりします)。
ちなみに 筆者 は重度な 機材オタ で、趣味 としてカメラやビデオやモニタにかなりのお金をつぎ込んで来ましたが、「きちんと寝て栄養を取り、目を健康に保つのが最大の高解像度実現」 と気づき、あまり気にしなくなりました。 身もふたもない話ではありますが…。 蛇足に、アナログ時代の解像度のあれこれも簡単にご紹介しましょう。 それぞれで異なる概念があるので、現在の解像度と比べている部分はだいぶ個人的感想になりますが。
アナログイラストの解像度
紙に書いたアナログの絵や イラスト の場合、解像度というか画素数といった概念とは一線を画します。 アナログだから無限大…という訳ではないでしょうが、かなり高いといって良いでしょう。 その気になれば紙やインクといった 画材 の粒子ひとつひとつどころか、走査型トンネル顕微鏡による原子操作で絵を描いたりもできてしまいますし。
とはいえそこまで拡大したら、もはやそれは絵やイラストだとは認識されないだろうという気もします。 例えば美術館に所蔵されている 絵画 の超高精細印刷などで 「絵の具のひび割れや粒子も見える」 みたいな表現があります。 画家の筆致や画肌まで観察できて興味深いものですが (そもそも油絵などの伝統的絵画の描写面は平面ではなく立体です (盛り上げ剤もりもりの人もいるし)、そこまでいったらそれは絵の印刷物ではなく、いわゆるマチエール (材質感) も通り越して絵の具の印刷物では? という感じがします。 ともあれ、解像度という観点のみで一般絵画やイラストを見た場合、例えば絵の具の粒子の密度が、画素数に相当するという感じになるのでしょうか。
絵画に使う絵の具の粒子は種類や色などによって様々ですが、日本画などで使う岩絵具のようにキメの細かさで番手分けされて繊細な描写に活用されている場合もあります。 極細となる14番め (白番/ びゃく) の場合、粒径は平均5μ (ミクロン/ 0.005mm) なので、広げずに 厚塗り して最大密度にしたと考えると 5μ+α が画素の最小サイズになりそうです (たぶん単なる白の塗りつぶしとなるので実際は違うけど)。 どうでもいいですが、原子はだいたい0.1nm (0.0000001mm/ 1e-7) です。 いずれにせよ人の目で見て分解できないのなら、鑑賞用としては意味がないと考えて良いでしょう。
アナログ映像電子機器やテレビの解像度について
デジタル時代の解像度とはやや ニュアンス が異なりますが、CRT (ブラウン管) を使ったアナログモニタの時代にも、ドットやピクセルに相当するような密度の概念がありました。 一般の家庭用テレビで使われていた NTSC標準方式のモニタなら走査線と呼ばれ、総走査線数は525本、有効走査線は480本で、垂直解像度もその値で固定となっています。 これは解像度換算で 240ドット程度の値です。一方水平解像度は、画面描写時が 約 4.2MHz の輝度信号で表示周期が約168なので、最大336本となっていました。
後に高画質を売り文句に水平解像度600本とか700本といったモニタも発売されましたが、NTSC標準における水平解像度の上限336本を遥かに超えており、ごく一部の例外を除いて数値そのものにあまり意味はありません。 ではなぜ600本とか700本なのかと云えば、そもそも既存方式のモニタでは336本をきちんと表示しきれない能力だったので、過剰性能で方式上限の画質を可能な限り実現しようとしたものでした。 なおアナログ末期に登場したアナログハイビジョンでは、方式そのものが違い、走査線は倍以上となる 1,125本でした。
テレビ放映を録画する ビデオデッキ は、ベータや VHS、8ミリビデオ段階では NTSC 方式の上限よりずっと低い230〜250本程度の水平解像度しか確保できておらず、その後上位規格が登場すると、EDベータ (500本)、S-VHS (400本) Hi8 (400本) と十分な値に達しました。 しかし一方でノイズなども発生しやすくなり、解像度とは別の様々な高画質化技術を各社競って投入することになりました。 というか、映像作品の場合、解像度は画質を図る指標の一部でしかありません。 なお2011年にデジタル放送に移行すると解像度が固定され、それに伴い水平解像度も固定されて (1440本/ 1920本) この数値がモニタなどのデバイスの画質評価の指標に用いられることはなくなりました。
一方ビデオカメラは、記録部分は各フォーマットの水平解像度に準じますが、アナログ機種でも撮像素子 (主に CCD) は半導体を使っており、画質性能を表す時に画素数 (ピクセル数) も使っていました。 筆者はソニーの CCD-VX1 という Hi8 (ハイエイト) 方式の3板式 (光の三原色の RGB それぞれの色ごとに CCD を使うタイプ) カメラをアナログビデオ時代の末期に使っていましたが、1992年当時の民生用最上位機種ではありましたが画素数は1板あたり 41万画素 (有効38万画素) 程度でした。 それでも発売と同時に購入した時は 「解像度超やべええええ」 と大興奮してました。 まぁ時代も時代だし、静止画と動画では解像感もかなり違いますから、一概に低解像度で低画質という訳ではありませんが (静止画の方が当然シビアです)。
ちなみにデジタルハイビジョンの場合、パソコンなどのコンピュータデバイスと同じくこれまでご説明した解像度と原則同じ数え方をします。 ビデオカメラの場合、2004年9月に発売された民生用機で世界初となる 1080i 方式対応3板式機のソニー HDR-FX1 がありますが、画素数は 垂直 1,111(有効 1,100) 水平 1,012 (有効 972)で 約 112万画素 (有効 約107万画素) という性能でした。 このカメラは HDV で 1,440px × 1,080px だったのですが (それ以前の miniDV は 720px × 480px)、その後主流となるフルハイビジョンだと 1,920px × 1,080px の解像度ということになります。
これ以降はフルハイビジョンが一つの基準となり、4K では倍の 3,840px × 2,160px、8K ではさらに倍の 7,680px × 4,320px となっています。 これは記録媒体、モニタ、カメラも同じ数値であり、例えば業務用の3板式 CMOS ビデオカメラなども、画素数表示ではなくフルHD とか 4K といった解像度表示で統一されることがほとんどでしょう。 またこれら新しい規格が次々に登場する中で、従来の NTSC標準方式は SD (Standard definition television/ (720px × 480px) と呼ばれるようになっています。
略称 | SD | HD | 2K フルHD | 4K UHD | 8K SHV |
読み方 | エスディ | エイチディー ハイビジョン | ニケー フルハイビジョン | ヨンケー ウルトラハイビジョン | ハチケー スーパーハイビジョン |
名称 | Standard definition television | High definition video | Full High definition video | Ultra High definition | Super High-Vision |
画素数 | 720px × 480px/ 480p | 1,280px × 720px/ 720p | 1,920px × 1,080px/ 1080p | 3,840px × 2,160px/ 2160p | 7,680px × 4,320px/ 4320p |
主な用途 画質 | アナログテレビ・LD・DVD相当 | 地上デジタル放送・BD相当 |
一般人の趣味として手に入る価格帯での最高解像度は Blackmagic Design といった海外新興映像メーカーの 12K デジタル映画カメラ (12,288px × 6,480px)(2021年8月) あたりでしょうが、こんな怪物を趣味用途で実際に買うかはともかく、わずか 100万円程度で手に入ると云うのは時代の流れを感じさせます。
なおアナログテレビからデジタルテレビに移行する中で、モニタの縦横比 (アスペクト) も 4:3 から 16:9 へと変わりました。 パソコン用モニタも一般で使われていたものは 4:3 であり、また過渡期には 16:9 のアナログテレビモニタ (いわゆるアナログワイドテレビ) もありました。 間に 3:2 のハイビジョンもありましたが、こちらはテレビ用途としては広まらず、液晶化後のパソコン用途などが多いかもしれません。
アナログワイドテレビ (CRT) は 4:3 画面の一部を切り出したり、横に引き延ばして表示しているものが多かったのですが、後期にはアナログとデジタルで切り替えることができる機種なども登場していました。 36インチのブラウン管テレビなどは、4畳半の部屋に入れると部屋の 1/4 くらいのスペースを取っていました…。
パソコン用モニタ (ディスプレイ) や電子デバイスで見られる解像度
主にパソコン用モニタで使われる解像度の分類もあります。 代表的なのは VGA の 640px × 480px で、筆者が初めて買ったパソコン用の外付けモニタ (CRT) が確かこれでした。 色数も 16色とかですよ…。 その後 SVGA (Super-VGA) が登場し解像度は 800px × 600px に、さらに大型化し XGA の 1,024px × 7,68px、SXGA (Super-XGA) 1,280px × 1,024px それらの発展版の XGA+、SXGA+ とどんどん高精細化し、CRT から液晶へ、4:3 から 16:9 のワイド画面へと移り変わる頃になると急速に低価格化も進みました。
WUXGA (Wide Ultra XGA) では 1,920px × 1,200px となり、アスペクト比はワイドより微妙に短辺が長い 16:10 となります。 俗称で 2K と呼ぶこともありますが、液晶テレビなどで使われる 2K とは別物となります。 一方、QHD/ WQHD (Wide QHD) と呼ばれるものもあり、こちらは 2,560px × 1,440px。 QHD の Q は4倍を意味する 「Quad」(クアッド) のことであり、HD の4倍の解像度となります。 価格がこなれてきた頃に使おうかとも思いましたが、もう視力がついていけずに2010年代中ごろからはずっとフルHD の 27インチをデュアルにして使ってます。 お絵描きをする際にはこれに 液晶タブレット を加えてトリプルディスプレイにすることが多いです。
前後して モバイル 端末は、ノートパソコンやケータイ (ガラケー) に代わりスマートフォン (スマホ) や タブレット (タブ/ パッド) が主役に躍り出ます。 スマホやタブは従来の解像度を踏襲したものの他、独自の解像度も次々に登場しており、また数年ごとの代替わりでどんどん大型化や高精細化もしていて、これまでの解像度の考え方では追い付かなくなってきています。 時代の変化早すぎです。
2010年後半ともなるとさすがに CRT はめっきり見なくなりましたが、例えば VGA の小型液晶モニタなどは、レトロなパソコン用としてはもちろん、コストに優れたサーバやシステムの監視モニタなどの用途で未だに新製品が販売されていたりします。
銀塩フィルムの解像度について
アナログな銀塩フィルムの場合、もっともポピュラーだった 35mm スチルカメラ用フィルムでは、フィルムの種類や状態、撮影条件や機材にもよりますが、画素数で1,000万前後から2,000万以上 (4Kから6K相当程度)、ビデオ映像換算だと水平解像度915本相当との、かなり高画質よりの幅の広い意見が様々あります。 フィルムカメラは熱狂的な機材オタやアナログ信仰・フィルム信仰みたいなものを持っている人も少なくなく、何かと過大評価されがちなので、どのあたりが実態に合っているのかは諸説ありすぎるといった感じです。
ただしデジタル媒体のドット・ピクセルは規則的に並んでいて、描写するものによっては角度によってモアレと呼ばれる模様が出るなど斜めの描写に弱く、また電気信号によるノイズなども発生します。 フィルムの粒子はランダムですからモアレなども生じず、ノイズも発生しません。 単に画素数だけで画質や解像度の優劣を決めることはできません。
なおフィルムのシネカメラは、映画館などで映写される業務用のものはスチルカメラ用と同じ 35mm でした (大作映画などでは 70mm とかもありましたが)。 一般に家庭用として販売されたのは 8ミリか 16ミリですので、それぞれスチルカメラ用 35mm の約半分、さらにその半分のサイズで、画素や水平解像度もおおむね半分弱、さらにその半分弱の換算相当値ということになります (このあたりも諸説あります)。
撮影した映像を映写する際には現像したフィルムをそのまま映写機にかけますが、フィルムや機材のグレード、スクリーンに映写した時の拡大サイズにもよるものの、現在の高精細テレビなどとは比べ物にならない解像度や画質ではあります。 筆者が中学生時代に友人らと撮った8ミリ映画を富士フイルムさんでデジタル化して同窓会で 会場 のプロジェクターから流したことがありますが、やっぱりどうしてもボケボケな感じになってしまいます。 しかし 思い出補正 もあって スペック だけでは計りきれない魅力があったものでした。 というか、当時動画を動画として保存したり楽しむ方法はそれしかありませんでした…。