美術の世界で使われる 「絵画」
「絵画」(Painting) とは、特定の 画材 などを使い、主に着色によって図画を描写すること、視覚的に楽しんだり情報を伝達するための表現、制作物のことです。
美術館などにズラリと並ぶ芸術家の描いた油絵や美しい水彩画、まるで対象が生きているかのような人物画や難解な抽象画、歴史的建造物の壁画など、伝統的な絵画全般を網羅的に広く指す言葉として良く使われています。 英語の Painting は、ラテン語の Pingere (塗る) から来ています。
伝統的な絵画 「La Grande Odalisque」(1814年) Jean-Auguste-Dominique Ingres (アングル) |
ただし鉛筆や木炭で描いたもの、いわゆるデッサン (Dessin) やドローイング (Drawing)、線画・素描などは、着色を伴わず塗っていないので、一般に絵画という言葉には含めない場合が多くなっています。
絵 (Picture/ ピクチャー) や イラスト (Illustration/ イラストレーション) なども本来は カテゴリ が違い、画材や用途、描写内容などによってそれぞれ異なったものを指すのですが、現在では何となく、ほとんど同じような意味で使われているといって良いでしょう。
ちなみにイメージ (Image) の場合、ラテン語の Imago (実物に似たもの) を源とし、模倣や真似ること、転じて似せて画に描くこととなります。 これには写真や単なる図形なども含まれます。
アニメ・マンガ風の絵に対して伝統的な絵の意としても使われる絵画
「絵画」 というと、どうしても伝統的な美術画に対して使われる事が多く、マンガ やイラストなどが多い 同人 の世界ではあまり使われない言葉となっています。 しかし同人の世界にも美術関係の専門家は大勢いますし、なかには厳密な言葉の使い分けを好む人もいるので、それなりの言葉のすり合わせはあっても良いのかも知れません (ちなみにここでの説明も分かりやすくかなり端折ってるので、ツッコミ はお許しください ><)。
同人 や おたく の世界には、例えば アニメ塗り や アニメ絵 といった言葉があり、これに対し伝統的美術っぽい画風を指す時に 「絵画風」 などと使う場合もありますが、言葉の大雑把な ニュアンス が伝わらなければ意味がわからないでしょうし…。
ちなみに何でここでアングルのグランド・オダリスクが参考の 画像 として出ているのかというと、筆者 はこの絵が大好きだからです…中学の頃、これが掲載された確か1万円を超えるような美術書をお年玉で買って何度も模写しました。 その後の筆者の 絵描き 人生に、何の影響も与えられなかったのが悲しいですが… (筆者には、こんな素晴らしい作品から影響を受けられるほどの才能はありませんでした…)。