日々の推しとの触れ合い…ある意味もっとも身近な 「ポスター」
「ポスター」(Poster) とは、宣伝や広告のために用いられる図案や文字が描かれた大型の貼り紙のことです。 語源は柱 (Post) に貼るための掲示物・広告という意味で、チラシ や パンフレット、プラカード などと並ぶ代表的な 商業用 印刷 の形となります。
広告ポスターは人目を惹くために魅力的な図案、とりわけ人気アイドルやスポーツ選手、モデルといった著名人やタレントの写真が起用されたり、美しい風景などが モチーフ として使われるため、宣伝広告用途以外にも、それら図案を絵画的に楽しむために個人が入手し (後述します) 自分の部屋に貼ったり集めたりと云ったことも、昔から行われています。
一方、見て楽しむために非商業の目的で部屋の壁に貼って飾り付けるための写真や行為はピンナップと呼びます。 ポスターとは区別されることもありますが、現在はおおむね同じような意味で使われることが多いでしょう。 一部では大きめ (例えばサイズで云えば B3 や A3 以上とか) をポスター、それ以下をピンナップなどど認識して区別するケースもありますが、A4 程度のサイズでもミニポスターなどと呼んで販売されることがありますから、あまり区別に意味はないのかもしれません。 ただし商業ポスターをその目的で掲出する場合、ピンナップと呼ぶことはまずありません。
また商業施設などで壁一面を覆うように掲出する場合、とくにいくつかに分割されて制作されたような超大型の掲出物の場合は、ポスターではなく ラッピング と呼ぶ方が多いでしょう。 これは 痛車 などの車体広告なども同様です。
販売品・特典品・限定品・非売品…様々なポスター
一般的なポスターの入手方法は、アニメイトやゲーマーズといったショップで特典として配布されるものを手に入れたり、販売品のポスターを購入する方法もあります。 販売品ポスターの場合、通販 ではラミネート加工を指定することもできます。 多少費用は掛かりますが、何といっても汚損しにくくなりますし、実際に部屋に掲示するならラミ加工は検討しても良いでしょう。
雑誌などの付録にポスターやピンナップがつく場合もあります。 しかし雑誌 (おおむね B5 とか B4、あるいはちょっと大きい変形判の B4特殊あたりが多い) に挟み込んだり折り込んだりするために、3つ折りとか4つ折りなど折られているケースが多いでしょう。 この折り目をいかにきれいに消すかは、おたく や 腐女子 の必須スキルのひとつかも知れませんw (霧吹きなどでかすかに湿気を与え、当て紙・当て布をしたアイロンで伸ばす…なんてのがありがちな方法ですが、失敗すると台無しになったりもします)。 雑誌付録ポスターの場合、B3 とか B2 あたりが多いでしょうか。
ポスター自体の使い方は云うまでもありませんが、自分の部屋に掲示して日々眺めるといったものです。 最初は1枚2枚でも、徐々に増えてきて、天井あたりに貼って 「これなら寝転んでいても 推し に会える」 あたりまでくると結構末期状態かもしれません。 なお部屋の隅々まで隙間なくびっしりと敷き詰めるように貼り付ける状態は、俗に ブレナン神父シンドローム などと呼びます。
同人ポスターなどのグッズとしても
ポスター印刷は比較的コストが高い印刷です。 商業の世界ならば大量印刷によってコストを下げることもできますが、同人 の場合は印刷枚数も少ないですし、CMYK のフルカラーにもなるので、B2 やら B1 やらのサイズだと1枚当たりの金額がとんでもないことになってしまいます。
1990年代くらいまでは、個人がポスターを印刷するというのは現実的な選択肢ではありませんでしたね (いやまあそれでも、大枚はたいて等身大とかで印刷してる剛の者とかわりといましたけど)。 その後デジタル化の波が来て、1990年代中頃からは大型プリンターを使った小ロッド印刷も徐々に手が届くものになってきます。 同人イベント で サークルスペース の目印として、プラカードやノボリのようにスペースの後ろに掲げるようにもなったり、同人グッズ としてポスターの 頒布 も見かけるようになっています。
ちなみに 筆者 のいる サークル では、1990年代後半のある イベント に合わせてサークル横断型のポスター企画をしたことがあります。 うちはセーラームーンのサークルなので、身内や著名なセラムンサークルさんに声をかけて イラスト を集め、B2 サイズで出力して筒状にした上で当時ゲームセンターにあったセラムンのポスターベンダー機 (ガチャポンのポスター版みたいなランダムポスター販売機) に入れて 会場 (豊島区民センター) で頒布したんですね。
何でセラムンのポスターベンダー機がうちのサークルにあるのかはともかく (何かよくわからないセラムンのアーケード筐体がいくつもあった…)、イベント主催者さま のご協力の元、当日は仲間と軽トラでベンダー機を 搬入 して、参加者 の方々にも喜んでもらえていたらいいなと思っています。
公共施設や商業施設に掲出されている非売品ポスターが欲しい場合は
駅構内に掲出された推しポスターは欲しいけど、現状はほぼ無理に |
駅の構内や 公共施設 の掲示コーナー、あるいは商店の売り場などに人気タレントやアイドルを起用したポスターが貼られることがあります。 代表的なのは、駅貼りの広告ポスターや防犯・火の用心といった啓蒙系の公共ポスター、小売店に貼られる商品販売促進用のポスターなどでしょう。
一昔前まではアイドル関係が多かったものですが、近年ではアニメやゲームの キャラ が起用されることも多いでしょう。 ファン ならとても欲しくなりますが、おおむね非売品であり、入手するにはいろいろと苦労することが多いようです (現在はほぼ不可能に近いです)。
一般的な入手方法は、施設の職員や 管理人 に 「ポスターを剥がした後に貰えますか?」 と、掲示期間終了後の譲渡を持ちかけるものでしょう。 日ごろ利用していて職員やスタッフに顔なじみの人がいれば、厚意によって快諾してくれる場合もあります (本来は廃棄が決まりなので、ゆるい場合だけですが)。 掲示期間がいつまでなのかを確認し、その日の夜か翌日、あるいは相手が指定した日時に確実に受け取りに訪れれば入手できるでしょう。
とはいえ施設の職員にとっては本来の業務外の作業であり、「そういうことはしていません」 と対応してくれない場合もありますし、そもそも要返却 (ジャニーズ系に多い) となっていて、現場 の判断で勝手に廃棄や譲渡ができないポスターもあります。 また仮に廃棄や譲渡が可能でも早い者勝ちなので、自分より先に譲渡交渉をされていると 「予約済み」 で貰えない場合もあります (たまにポスターの端っこに 「○○様」 とか、譲渡予定者名が小さく書かれていたりします)。
さらに掲示後の譲り受けポスターの場合、画鋲の位置 (大きなポスターだと剥がれたりたるんだりしないように、四隅だけでなく中央部分にも画鋲がいくつも打たれていたり) の問題もありますし、汚れや破れが生じている場合もあります。 なるべく状態が良いポスターを探していくつもの駅や施設を周ったことがある人も少なくないかもしれません。 またせっかく掲示期間後の譲り受けを約束してもらっても、掲示期間中に盗まれてしまう場合もあります。 喜び勇んで受け取りに訪れて 「盗られてしまってもうないです」 と職員に云われるのは結構辛いです。
もっとも確実なのは、その施設に知り合いがいることでしょう。 職員やアルバイト、その家族が知り合いの場合、未使用の予備をわざわざ取り置きしてくれる場合すらあります。 どんなことでも、やはり人脈やコネは強いです。 まぁこれはこれでどうなんだという感じもしますが、駅の掲示物のように掲示そのものに費用が発生する場合は無理でも、商店用の販促ポスターはかなり適当な数が送られ使い方も現場の裁量が大きいので、わりとよくあるパターンですね。
一方で ネット が普及し、こうした非売品ポスターの 転売 が横行するようになると、かなり厳密に管理されるようになって来ています。 そもそも 版権 や肖像権関連、広告代理店との契約、利用者に対する公平なサービスという観点で云えば掲示期間終了後とはいえ一部の利用者に譲渡というのは元々禁止されるべきものでもありますし、とくに鉄道系の駅貼りポスターは、現在では譲り受けるのはほぼ不可能といって良いでしょう (大きな駅では専門の業者が断裁処理をして確実に廃棄するようになっています)。 同じ理由で、車内の中吊りポスターの類も譲渡は期待できません。
これらがネットオークションなどに出品されるケースもありますが、不正行為によって入手した物品の転売であり、手を出すべきではないでしょう。 ただしごく少数が、公式 のプレゼント企画として配布されることもありますから、出所が確認できれば問題はありません。
一方で、1990年代末あたりからはカメラ付き携帯電話も普及し、その後のデジカメの普及、2010年以降のスマホの登場で、「実物を手に入れられなくても、写真に撮って保存できれば満足」 という時代にはなってきています。 これらデジタルなカメラ端末が普及する前は、街中でポスターや掲示物を撮影するのはかなりハードルが高いものでしたが、今ではスマホで撮影して SNS などで 拡散 されるのを意識したポスターも増え、すっかり市民権を得た印象があります。
同人イベントなどで掲出されているポスターが欲しい場合は
同人イベントなどが開催されると、ビッグサイト といった会場の壁には膨大なポスターが掲出されます。 その中には自分の好きな作品やキャラがあしらわれた喉から手が出るほど欲しいポスターの場合もあります。
一般にこうしたポスターはイベントが終了した後は剥がして廃棄するので、イベント終了後ならば貰えることが多いものです。 またイベント終了後の撤収作業 (机やイスを片付ける、掲示物を撤去する) の時に、それを手伝う形でポスターをはがしてもらうこともできます。 イベントによって持ち帰りのルールは様々ですが (撤去作業のついでに貰うみたいなのが多いものの、権利上譲渡できないものもあったり)、どうしても欲しいポスターがあるなら、狙ってみるのも良いでしょう。 人気のあるポスターの場合、予約のような形でイベント終了までポスター付近で待機している参加者もいます。