同人サークルとして参加すると会場で与えられるスペースです
「サークルスペース」 とは、同人サークル が 同人イベント などで自分の作った 同人誌 などを持ち込んで 頒布 (販売) するために サークル参加 した際、イベント会場 に 主催者 が用意してくれる 「スペース」(折りたたみ式の長机とイス、および 島 (複数の机を並べたひとかたまり) の中の床のことです。 「SP」 とも呼びます。 また1つのスペースを 「1SP」、2つの場合は 「2SP」 と呼びます。
机のサイズ、レイアウトや並べ方、与えられるスペースの面積などには決まりはなく、イベントごとに大小さまざまですが、パイプ椅子を2つ並べて2人が座れるくらいの長さが1スペースのおよそのサイズになりましょうか。
「サークルスペース」 実際の寸法は…
具体的な 「サークルスペース」 の寸法、面積ですが、一例として コミケ の場合、長机の寸法は横幅およそ 180cm となっており、これの横を二等分 (90cm) して使います。 サイズの目安としては、中学高校の教室にある生徒用机の横幅が 60cm 程度、一般的な事務机が同じ 90cm (袖机ありだと 120cm 程度) です。 搬入 する物品量の制限 (サークルスペースに並べることができる 「同人誌」 などの量) を、1SPあたり、横幅 90cm x 奥行き 70cm x 高さ 150cm と定めており、この容積に入りきる物量が原則的に持込が可能な量で、かつ1SPで使える容積と考えてよいでしょう。 ただし実際の机は横幅は同じ90cmながら、奥行きは若干短め (45cm) です。
同人イベントにおける、典型的なサークルスペース 机1本が2つ分のSPとなり、中央部分で2つに仕切って使います |
コミケのようなイベントではこのように大きな長机1本の半分こして2つのサークルで使いますが、他のイベントなどで、机のサイズが小さかったり、あるいは収容サークル数に余裕のあるイベントの場合は、1サークルで1本の長机をまるまる使える場合もあります。
イスも同様で、1つ (一脚) だけのイベント、2つあるもの、あるいは基本は1つで、追加イスが申し込めるイベント (無料だったり、500円程度の有料だったり) などがあります。
なお会場のどのあたりにスペースが 配置 されるかは、イベントの主催者側で決定しますが、ある程度、レイアウトの希望 (会場の位置、あるいは隣り合うサークルを指定するなど) を聞いてくれるイベントもあります。 過去に何らかの トラブル があった場合などは、相談してみても良いでしょう。
またこれらの配置場所は番号が振られ、「スペース位置」「スペース配置位置」 などと呼ばれます。 番号には規則性があり、イベント側が発行する 「カタログ」 などで確認することができ、広い会場でお目当てのサークルスペースを探す手がかり、目印となります。
なお 「a」「b」 などとアルファベットが振られている場合 (コミケなど) は、サークルスペースを正面から見て、左が 「a」 右が 「b」 となります。 本来は番号の若い方に隣接しているのが 「a」、逆が 「b」 なのですが、多くの場合配置は、番号の若い順に反時計回り (向かって右側の数が大きくなる) に並べられるので (一部を除く住所の番地 (住居表示) などの反対)、結果的に左が 「a」 右が 「b」 になっているという訳です。 これは 「ア」「イ」「ウ」 などの日本語表示でも同じです。
サークルスペースが全ての活動の拠点となります
通常同人イベントでは、机を 「ロの字」 型に並べて 「島」 と呼ばれるひとかたまりを作りますが、机に囲まれた口の字の中 (イスを並べる場所) は、その 「島」 を利用しているサークルが 共有 する公共・共用スペースのような感じになっています。
普通は、自分のサークルスペースの背後を等分したくらいの面積の床が、自分のスペースの一部となります。
ただしあまりに荷物を大量に並べると、他のサークル関係者が出入りする際に邪魔になったり迷惑を掛けたりしますから、原則的には自分の机の下、椅子の下、そこから離れない位置くらいにとどめるようにしましょう (建前の上では、イスの後ろはサークル参加者用の通路であって、荷物を置く場所ではなかったりしますし)。
なお、机にはだいたい番号が振られ、その番号の書かれた紙などが通路側に向かって貼られていたりします。 イベント当日は、同じような机が大量にズラリと並んでいる訳で、利用者がここは会場のどのあたりになるのか、住所のような目印にしている場合も少なくありません。 机には布や紙などを敷いて飾りつけたりして同人誌が汚れるのを防いだりしますが、こうしたスペース位置番号は、見えるように貼るようにしましょう。
スペースの確保は、事前の申し込みが必要です
イベントでこうしたスペースを得るためには、事前に同人イベント側にサークル参加の申し込みを行い (参加費として数千円が必要になります)、また事前に郵送されてくる サークルチケット とか、「サークル参加確認表」 などを当日持参して、スペースにたどり着くことになります (ごく小規模でスペースが埋まらなかったイベントなどでは、当日飛び入りも可な場合もあります)。
ちなみにサークル参加してイベント会場に入ると、まずは机の上に大量に置かれた チラシの山 との格闘をすることになります。 各種イベントの 告知 や申込書、印刷所 の広告、アニメ や マンガ、ゲーム の 宣伝チラシ などが大半ですが、意外に役に立つ情報がそれらから手に入ることがあるので、きちんと整理するようにしましょう。 なお必要のないチラシは、チラシ専用の回収箱などがイベント会場側で用意される場合もあるので、指示に従うようにしましょう。
イベント終了後は、チラシの山 以外の全てを、自分が入場時に受け取った状態に直すのが基本です。 持ち込んだ本が全て売れたなどという場合でイベント終了の前に退出する場合にも、これは同じです。 完全にイベントが終了して 一般入場者 も帰っている状況になったら、さらに一歩進んで、机を折りたたんだり、イベントの主催者側で用意されている所定の位置に、机やイスを移動しても良いでしょう。 ここらは、助け合いが大切です。
嫌われる、トラブルの元になる 「はみ出し」
仲のよい知り合い同士のサークルと隣り合うと、世間話も弾んで和気藹々とした 雰囲気 になりますが、知らないサークルさん、それもちょっと常識がないようなサークルさんなんかだと、些細な行き違いで気分を悪くしたり、最悪トラブルになるケースもあります。
トラブルでもっとも多いのは、自分のサークルスペースからの 「はみ出し」。 なにやら子供時代の、「ここから私の領土だからね! 入らないでね!」 的な、陣地合戦のようですが、本がはみ出してくる、一般参加者 が本を買いにやってきて対応する時に腕や体がこちらに出てくる…、侵略 してくる…なんてのは、ケンカ沙汰にまでならないまでも、「不愉快だ」 と感じたりするケースが多いようです。
まぁご近所付き合いで 「お互い様」 と、双方が我慢や配慮をそれなりにするのは当然なんでしょうが、一方がまるでそういうことに無頓着だったり、1SPに3人も4人も集まっていたりすると、「同じ条件で参加してるのに、何でこっちばかりが」 と、怒りがわくのも仕方のないところ。 とりわけ相手が大人数だったり体が大きい (要するに太ってる、ピザ だ) などという場合には、はみ出し量も我慢の限界を超えたりします。
また、どう考えても1SPに収まりきらないほどの同人誌などをズラズラ並べるサークルも、「こちらにはみ出すのを前提として参加している」 と感じられ、腹が立ったりするものです。 とりわけこちらが ピコ手 で、相手がそれなりの規模のサークルで 「場所を空けろ」 とばかりにはみ出されると、怒りも倍増です。
さらに 「配置」 が明らかに自分のサークルを 「緩衝地帯」 にしてるなんて感じられるケースもあります。 人気サークルが隣り合うと混雑に拍車がかかりますから、人気サークルとそうでないサークルを交互に配置している…などという場合もあり (人気サークルの谷に入ったサークル側の被害妄想の場合も多いのですがw)、「イベント主催者まで、こいつらの味方かよ!」 なんて思うと、怒りもさらに募ります。
その場で注意したり、苦情をハッキリ云うのが良いのですが、妙にこじれたり雰囲気が悪化するのを避けるために我慢する場合も多く、何も同人イベントだけの話に限りませんが、人が大勢集まる場所では避けがたい難しい問題だったりしますね。
サークルスペースのディスプレイも楽しいもの
ところでサークルスペースの長机についてですが、基本的には、ただの木目の事務机が多いものです。 一部の物産展をよくやっているような会場 (産業会館 など) では、サイズが大きいものの、表面加工のされていないただの木の机の場合もあります。
そういった机の上に本を置いても殺風景に見えますし、売り場となるスペースが殺風景だと、注目度だけでなく、サークルとしてのやる気のありなしも問われたりするケースもあります (本人がそう思っているだけだったりもしますがw)。 また木目そのままの木の板に本を置くと、本が傷む心配もあります。
楽しい飾りつけ…トータルコーディネイトが大事?
あれこれ工夫して 「サークルスペース」 を飾る 準備も、お友達と一緒だと楽しいもの |
筆者 のサークルはセーラームーンのサークルでしたので、子供服用のセーラームーン キャラクター のプリントされた布地が販売されていて、これをユザワヤ (布地やホビー用品を扱っているお店) で探してテーブルクロスのように机に敷いて使っていました。
洗濯もできますし、本も汚れず、また目立つので一石何鳥にもなりましたね。 ある程度のサイズがあり、柄が選べて、しかもシワになりにくいので、敷物として風呂敷を使っている人もとても多く見かけます。
こうした 「自スペースの飾りつけ」 は多くのサークルがやっています。 多いのは、組み立て式の小さな本棚を持ち込んで同人誌などを立体的にディスプレイしたり、ダンボール (ダンボール箱をばらしたもの) に大きくプリントした自家製の ポスター を貼り付けて掲示してキャラクターをアピールしたり、本の値段の表示に、ちょっとしたPOP類を自作して持ち込んだりしていますね。
また1990年代中頃からは、ノートパソコンを用いたデジタルなディスプレイも登場します。 うちのサークルは パソ通 の集まりを中心に 運営 していたので 電子メディア同人 が多く、ちょっと大きめのノートを持ち込んでは使っていました。 当時のノートはバッテリーがすぐなくなるので、友人らと手分けして何台か予備を持ち込んだりしてました。 2010年の iPad 発売をきっかけに タブレット が広く普及するとタブレットを使ったディスプレイも登場し、年を追うごとに急激な増加傾向にあります。
アナログなものにせよデジタルなものにせよ、この種の飾りつけはやっぱり女性のサークルさんが上手で、周りに迷惑にならないようこじんまりとまとまっているのですが、100円ショップなどで購入した雑貨類などを上手く工夫して可愛らしくディスプレイされていて、つい立ち寄りたくなるような素敵なスペースに仕立てている方もいます。
知人らと一緒にあれこれアイデアを練ると、ちょっとした文化祭の準備の ノリ で、当日はもとよりその準備自体が楽しかったりもしますね。 ただし、学校の文化祭ノリの大声を張り上げての呼び込みなどは、もちろん禁止です。 不特定多数に対する押し売りや訪問販売も、もちろん禁止です (友人サークルへのギャグとしての押し売りなどは、たまにありますが)。
ノウハウは見て盗め!
このあたりの 「ノウハウ」 は、ネット 上でまとめているところもありますが、何といっても実際にイベントに足を運んで、素敵なサークルのやり方を参考にするのが手っ取り早いと思います。 丸っきり同じに真似っこするのもどうかと思いますが、部分部分で魅力的に感じるところは積極的に取り入れて、参考にすると良いかも知れません。
イベントが始まって終わるまでのわずか数時間だけとは云え、自分の 「サークルスペース」 はあなたのお店であり、基地であり、家であり、仲間と落ち合うための大切な待ち合わせの目印でもあります。 向かいや隣のスペースのサークルさんは、いわばご近所さんです。
みんなでキレイに使って楽しい時間をすごせるようにしましょう。