「売り子」…サークルスペースで同人誌などの頒布をする人です
「売り子」(うりこ) とは、同人 の世界においては 同人イベント などで サークルスペース に座って 同人誌 などを直接 頒布 (販売) する人、およびその係の人です。 本を買いにきてくれた人からお金を貰って本を渡したり、お釣りを渡したりします。
多くの場合は サークル参加 した 同人サークル の 代表 (主催者・作者) 本人が、同人誌の持ち込みとスペースの設営をした後にそのまま行いますが、時として漫研の後輩だったり 相方 だったり、あるいは様子を見に来た知り合いを無理矢理その場で座らせたり、言葉巧みに連れて来られた 一般人 の場合もままあります。
普通は無給で、夕食を奢ったり打ち上げの酒代で埋め合わせをするなんてのが多いのですが、一部の半 商業的 な活動を行っている 大手サークル の中には、しかるべき日当を支払い、販売応援要員のアルバイトとして人を雇っているようなところもあります。 いわゆる 壁サークル と呼ばれるようなサークルの場合、持ち込み冊数は数千冊になりますから、これを円滑に頒布するためにはそれなりの人数が必要になるのですね。 なにしろ10秒で1冊のペースで頒布しても、1時間で360冊、10時から16時までの6時間で2,160冊しかさばけませんから。
なお直接の対義語は、サークルを回って買うだけの人、買い子 になります。
一方、売り子という言葉自体は店舗販売でのヘルプ (販売応援) の俗称などとしても用いられ、一般にも使われる言葉です。 その後 2023年あたりからは、売春 (援助交際 やパパ活) をする人、とりわけ日本人女性の海外での出稼ぎ売春を指す隠語としても広まっています。 その結果、女性だけの グループ や一人での海外旅行で相手国の入管手続きが厳格化して手間取るようになったり、疑いを晴らせずに入国を拒否されるなど社会問題化するとともに、一部の SNS などでは売り子という言葉に 書き込み の制限がされるようになるなど、状況の変化も生じています。
「個人サークル」 の場合、「売り子」 の確保は死活問題…
一昔前のように多くのサークルが複数人での 運営 ですと、売り子に困ることも少ないのでしょう。 しかし作者一人で全てを行う 個人サークル などの場合、この売り子の確保は死活問題です。
何しろ自分一人しかいない訳ですから、例えばトイレにでも行こうと思ったらサークルスペースはもぬけの殻になってしまいますし、他のサークルの同人誌を買いに行こうと思っても、ずっとスペースを空っぽ (出たきり同人) にしておく訳にもいきません。 ちなみに イベント会場 のトイレは、俗に 最大手 などと呼ばれるくらい行列がすごいケースがよくあります…。 一昔前は地方の街道沿いに設置してある無人野菜販売所のようにお金を入れるお菓子の空き缶などをスペースに置いて、「1部100円」「お金を入れて本をお持ちください」 みたいなのどかなスペースも結構ありましたが、昨今は防犯や近隣との トラブル の観点からも、やるべきではないでしょう。
通常イベントの際のサークルの 配置 は、同じ ジャンルコード や カップリング の傾向が同じだったり似たサークル同士を近場や同じ 島 (複数の机を並べたひとかたまり) にまとめますから、たまたま隣のスペースに知り合いや仲の良いサークルが配置されていたら、留守番を頼むこともできます。 しかしそういつも都合よく隣り合わせになる訳でもありませんし、小額だったとしても 「お金」 がからむだけに、変な誤解やトラブルを招いてしまっては、相手にも申し訳が立ちません。 また スケブ依頼 で預かっている スケッチブック を失くしたりしたら一大事にもなります。
サークル入場 のための サークルチケット は、通常複数枚ついているケースが多いので、可能なら友人を応援に頼むなど、自分のサークル内だけでお金や時間配分が図れるよう、計画したいものです。 もっとも本を買いにくる 一般参加者 も、多くのサークルが個人でやっているのをちゃんとわかっていますから、よほど長時間空席にしなければ、「すいません、○○時頃に戻ります」 なんて貼り紙をして席を立てば、それほど問題も起こらないでしょう。 ここらは、お互い様の話です。
女性向け同人作品のサークルで、売り子が男性はちょっと…(´・ω:;.:...
なお作品傾向が女性向けで、かつサークルの代表が女性の場合には、売り子を頼むとしたらやっぱり女性が望ましいようです。 これは男性向けサークルの売り子の場合も同じで、稀に異性の コスプレイヤー などを、サークルスペースの華、賑やかしで置く場合 (コスプレ売り子) も割とあったりはするのですが、本を求めにやって来る一般参加者や周りのサークルスペースの人達からも、一部の ジャンル においては異性は敬遠される傾向も少なくないようです。
とりわけ女性向けのサークルばかりが集まる場所では、男性がスペースに滞在するどころか、そのエリアを通りかかるだけでも嫌う傾向が強いジャンルもありますし、逆の立場で考えてまずいかな…と思ったら、なるべく避けるのが賢明でしょう。 場合によっては不快感を覚えた参加者によって、よからぬ噂を立てられる元にもなりますので…。
「合体参加」 で 「売り子」 を節約
なお、2つのサークルが1つのスペースにドッキングして参加する、合体参加 という方法もあります。 両サークルともに参加ができれば、スペースは必ず隣になりますので、売り子の人員が確保・節約できてたいへん便利です。