1日の仕事の始まりはスパムの整理から…ネット時代の迷惑行為 「スパム」
「スパム」(spam)「スパムメール」 とは、メール を受信する相手の意向とは無関係に送り付けられる迷惑なメールのことです。 一方的かつ直接的に送り付けられることから迷惑メール、ダイレクトメールと呼ぶこともあります。 また ツイッター や インスタグラムといった SNS を通じて送られる DM (ダイレクトメッセージ) を用いたもの、掲示板 や何らかのサービスの コメント欄 に 書き込まれ た宣伝目的の 投稿 も同様にスパムと呼ばれます。
内容は様々ですが、目的は送信者の利益のためで、合法・違法問わず商品やサービスの宣伝を目的としたもの、メールアドレスの収集を目的としたもの (そのメールアドレスが生きているかどうかを判定する)、ウイルス を添付して感染を促すもの、詐欺によって金品を得ようとするもの、およびこれらを行うための ウェブサイト (ウイルス・マルウェアサイトやフィッシングサイト) への誘導を行うものなどがあります。
日本においてもスパムメールは数多くの種類がありますが、ウイルスや詐欺メールは無差別に送られつつ、企業メール (ドメインが co.jp とか) が相手の場合は IT 関係の広告メール、個人メールの場合はエロサイトや出会い系サイトの広告比率が多いかもしれません。 また企業・個人問わず、金融機関やネット上の著名なサービス、配送業者を装ったものもあります。 送信先を偽装したものも多く、友人や取引先、他でもない自分のメアドから送られてくるように見えるものもあります。
迷惑で不快なメールを弾くためにフィルタリングするなり登録済みアドレス以外から受信拒否するなり方法はあるもののほぼ効果はなく、ネット での連絡がメール中心だった時代は、あさイチの仕事がメールボックスにたまった数十数百のスパムを削除することから始まるなんて時代もありました。 現在はスパムだけが理由ではないもののメールは利用者も減り、もっぱら、メッセンジャーを使ったり、Slack や Chatwork といったビジネス用の チャット で連絡を取り合うようになったといってよいでしょう (筆者 もしばらく前からほぼメールは使わなくなりました (一応チェックはしていますが)。
あまりの存在感から、流行したり伝説化したスパムも
迷惑と不快、犯罪による 害悪 しかない行為がスパムですが、業者により大量送信されることから、一部の極端に存在感のあるスパムは話題となり、一種の流行を生み出すことがあります。 なかでも 主人がオオアリクイに殺されて1年が過ぎました (2006年7月前後) や なにやっとるん?あんたのお母ちゃんよ (2007年7月前後) などは、ある種のスパム文学として評価され、その後は伝説化もしています。 掲示板に 爆撃 されたものでは、25歳。去年まで金無し君 などもよく知られています。
また海外のスパムメール配信業者経由で日本に送られるスパムは、日本語で送信する際に文字化けによって意味不明なカタカナ文字列が生じることがあります。 なかでも2002年8月前後に猛威を振るったハングルの文字化けである シコタホア は、ちょっとした ネットスラング や ミーム の扱いをされていました。
元ネタは、加工した豚肉の缶詰の名前とそれを使ったテレビ番組
スパム (SPAM) という名称そのものは、加工した豚肉の缶詰に由来します。 言葉の 元ネタ と云えるのは、このスパム缶詰を ネタ として使ったイギリスのコメディアン・グループ、モンティ・パイソンによるコメディ番組 「空飛ぶモンティ・パイソン」(初出1970年) にあります。
スパムを使った料理ばかりがメニューに並ぶ食堂を舞台に、客が何を頼んでも注文名にスパムがつき、それを復唱するウエイトレスもスパムを連呼し、それを聞いているほかの客もスパムの歌を歌いだし、最後はスタッフロールを含めあらゆるものがスパムまみれになるというシュールなコントで、これがメールボックスを迷惑なメールで埋め尽くすされる様子になぞらえたものとされます。
ちなみにとんだ風評被害を受けることとなった SPAM缶発売元のホーメル・フーズ (日本でも株式会社沖縄ホーメルが存在) ですが、商品の知名度が圧倒的だったこと、世界中でスパムが迷惑メールの代名詞として使われ定着してしまったこともあり、その後 「うちの商品名は大文字の SPAM (登録商標) であり、迷惑メールは小文字の spam にしてはどうか」 と提案。 現在はおおむねこの主張が尊重され、英語表記の場合は両者を大文字・小文字で区別するようになっています。