言葉や画像、行動まで…ネットで流行るもの 「ネットミーム」
「ネットミーム」(インターネットミーム) とは、ネット (主に インターネット) を通じて利用者・ネット民 の間で流行したりネットを起点として広がったもの全般を指す言葉です。 文字で伝えられる言葉やフレーズ・ネタ などは ネットスラングやネット用語 などとも呼びますが、ネットミームの場合は 画像 や動画、さらには個人の行動や社会全体の行動様式、消費・生活スタイルにまで及ぶ、より広い範囲を指す言葉となります。
ネタや パロディ として作られた画像や イラスト、コラージュ、動画などは成果物としてもわかりやすいですが、ハッシュタグ などを使った情報の 共有 を伴う同時刻の一斉行動とか、ネットを通じた様々なムーブメント、ネット発の新しい価値観などを表現する際にはとても便利な言葉でしょう。 例えばネットスラングも、その発端に画像があったり流行語となった後に画像化や動画化したり、触れた人たちの生活を変えることすらもあり、「スラング」(俗語、言葉) だけでは全体の影響を表現しきれないケースが多いからです。
電子デバイスとコミュニティ、そして徹底した複製・徹底した模倣
人から人へと情報やネタが伝播することは、口コミなどを通じてネット登場以前からありました。 一方ネットを起点とした場合、必ずパソコンや携帯電話、スマートフォンなどの電子デバイスとネット利用者が集うコミュニティーサービスを経由し、それぞれのデバイスで様々な情報取得・発信・加工ツールを使うこともできます。 ネット以前の伝播と比べると圧倒的に速く、拡散力 が強大で、かつ徹底した複製と徹底した模倣を伴うのがネットミームの特徴でしょう。
このあたりは 同人 における 二次創作 や音楽におけるリミックスなどとも相性がよく、ネットスラングにせよネットミームにせよ、その主な担い手は比較的若い年代で おたく やマニアックな カテゴリ の人間とその周囲となっています。 ある閾値を超えるくらい広がると、ネットを利用しない層にまで影響が波及します。 またミームが形作られ情報発信の中心となるのはおおむね匿名系の 掲示板 となりますが、2010年代以降は ツイッター といった SNS に中心が移動しつつあります。
「ミーム」(meme) とは?
ミーム (meme) という言葉自体は、イギリスの生物学者であるリチャード・ドーキンスさんが世界的ベストセラーとなった1976年の著書 「利己的な遺伝子」 の中で、「文化の中で人から人へと拡がっていくアイデアや行動、スタイル、慣習」 といった形で定義しています。 生物である人間 (ヒト) は自分の遺伝子 (DNA/ Gene/ ジーン) を子孫を通じて後世に伝えますが、それと同じように情報やアイデアや行動といった meme も人を経由して後世に伝えられていくといった意味になります。
この 「利己的な遺伝子」 は登場当時大きな話題となり、日本でも学術的な話題を超えたある種の社会的ブームとなりました。 何しろ親子の絆や子供を思う親の献身的な 愛、生物のありようそのものが、単なる遺伝子の入れ物や乗り物として最適化されたものに過ぎないのだとも受け取れる内容であり、とてもセンセーショナルに扱われたりもしたのですね。 人間の感情や倫理、生物の神秘性を棄損するものだとの批判さえ寄せられました。 併せてキャッチーな 「ミーム」 という言葉も 「ジーン」 と対比されたり単独の 概念 ごと一定の広がりをしています。