同人用語の基礎知識

割れ/ 割れず/ 割れ物

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「割れ」 とは、違法コピー品などのことです

 「割れ」 とは、ネット などで他人の著作物、商用ソフトウェア (アプリケーションソフト、映像・音楽ソフトウェア、ゲーム など) を非合法に流通させる行為、「Warez」(ウェアーズ) をローマ字読み 「ワレズ」 とし、さらに日本語で 誤変換当て字 した隠語のことです。 「割れず」 などとも呼びます。 また流通している違法コピーのソフトウェアなどを 「割れ物」 などと呼ぶ場合もあります。 隠語としてはこの他、「和レモン」「W@rez」 などとも呼びます。

 もちろん 著作権 的には完全に違法で、警察による定期的な摘発があります。 いわゆる アングラ (アンダーグラウンド) と称される場所では、初期の 2ちゃんねる やその前身、「あめぞう」 や 「あやしいわーるど」 などの一部、それ以前の パソコン通信 の時代にも、こうした情報のやり取りは大なり小なりありましたが (ネットでは情報をやり取りするだけで、実際のソフトの受け渡しはオフライン (ネット以外の手渡しや郵送) の場合も多かったですね)、爆発的に増えたのは、インターネットの時代となり、回線速度が飛躍的に向上し、通信費が安くなってからでしょうか。

取り締まりやウィルスの蔓延などにより、徐々に衰退しつつあります

 当初は 「割れずサイト」「割れサイト」 などと称される違法コピーソフトウェアの アップロード やライブラリサイトがその散布中心地でしたが、度重なる摘発で衰退し、その後、「Napster」(音楽専用)、「WinMX」(世界的に大流行) などの ファイル共有ソフト (後に Winny や Share) の登場で加速。 ダウンロード のための情報を扱ったり、そのためのキーの情報をやり取りする場が作られるようになりました。

 「割れ」 ものを扱う人、お金を払わずソフトを手に入れる人を 「ワレザー」「割れ厨」、後に、それへの理不尽な反論として、「購入厨」 という言葉も生まれました。 さらに、まだネット上 (ファイル共有ソフトなど) に流れていないデータやソフトをアップロード (うp) して流したり (放流) する人を、利用者がある種の感謝の表現として、 などと表現する場合もあります。

 なお 秋葉原 の路上などで、外国人が急ごしらえの販売所を設けて違法コピーソフトの CD-ROMDVD を販売している場合もありますが、こういったものは、「割れず屋」 などとも呼ばれています。 また 「違法コピー」「不正コピー」 のその他の呼称については、「海賊版」 とか 「パイレシー」(海賊版/ 海賊行為の意)、「カジュアルコピー」(Casual Copy/ 金儲けのためではないお気軽なコピー) などとも呼びます。

早炊きとか追い炊きとか何なんですか!?><

 自炊 とは、どこかで手に入れた 「割れデータ」 をコピーするのではなく、自分で買うなりして手に入れたオリジナルのCDやDVDなどから直接自分でデータを吸い出しネットに流す (放流) することです。 言葉の成り立ちは 「自分で吸う→自吸い→自炊」 で、こうした行為を 「炊く」 などと表現します。

 転じて 「早炊き」 とは、フラゲ などで発売前に手に入れたCDやDVD、マンガ 雑誌などからデータを吸い取り流す意味になります。 「追い炊き」 は、データの一部のみ流れている時に残りを炊く行為、「炊き直し」 は、一度炊いたものの品質が低かった場合などに、自炊行為をやり直して品質の向上を図る時に使う言葉です。

蔓延すると、アニメやゲームが作れなくなってしまいます…

 「割れ」 は、商業 コンテンツ の制作側にとっては、頭の痛い問題です。 蔓延してしまうと作り手にお金が入らなくなり、新しい作品が作れなくなってしまいます。 友人とちょっとゲームソフトや録画したデータを貸し借りする、YouTube などで見逃したアニメの回をちょっと見てみる…程度なら、ネットで違法コピーが出回る前にも行われていたことですし、誰にだって身に覚えくらいはあるでしょう (筆者 だってもちろんあります)。 しかし大規模に不特定多数へばらまく、それを何の躊躇もなく大量にダウロードして楽しむのでは、自分の好きな作品が生まれてくる世界や仕組みを、自ら壊すことと同義になってしまいます。

 一部の音楽産業や一部の携帯ネットゲームのように、利用者らを 「泥棒扱い」 してコピー防止のみに血道を挙げたり、子供から小遣いを巻き上げるようなビジネスモデルもどうかと思いますが、「お金を出して買うのはバカだ」 といった意見をことさらに吹聴したり、「割れ」 を入手する具体的な方法を指南するなどは、さすがにモラルとしてちょっとどうかと思います。 体力のないコンテンツ制作会社などは、いよいよ存亡の危機に立たされつつあります。

 ここで用語解説を飛び越えて変な意見を蛇足するつもりはありませんが、コンテンツを作っている側、作品を作っている側に楽しませてもらった感謝をどのような形で届けるのか。 おたく腐女子 と呼ばれているからには、きちんと身近な問題として考えていけると良いと思います。 それが回りまわってもっと面白い作品が生まれてくる土壌を作り、結果的に自分たちがまた楽しめるようになる事なんだろうな…と思ったりもします。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2001年12月10日)
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