フライングでゲット! 「フラゲ」
「フラゲ」 とは、「フライングゲット」(Flying (start) Get)、つまり 「先行取得」「発売前入手」 などのことです。
「先行入手」 などに関しては、ある程度 公式 に発売前に手に入れることのできるような仕組み、ルールを持っている場合もあります。 例えばタレントのコンサートのチケットなどが、ファンクラブの会員だけ先行発売されるなどですが、わざわざ 「フラゲ」 と呼ぶ場合には、こうした 「正規のルート」 ではなく、コネや不正な手段を使った入手、制度の不備をつくようなマナー違反の取得を指す場合が多いようです。
例えばマンガ雑誌などは、発売日に本屋に並ぶ前に、まず書籍の流通に乗り、さらにその前に 印刷所 にまとめられますが (地方だと、配送に時間がかかるので少し早めに配本される)、印刷所や製本所に知り合いがいる、書店流通業者に知り合いがいるなどで、そこからこっそり回してもらったりします。
また一部のゲームや音楽CDなどは、制作した会社の広報やその関係者からプレスリリース用のサンプル版やデータ本体そのものをこっそり貰ったりするケースもあります。 プレスリリース自体は当たり前の広報活動ですから、プレスリリース用サンプルが外部流失したり、それ以前の個人的な譲渡などの場合が 「フラゲ」 となり問題になります。
ネット上に 「フラゲ」 データが流出して大事件になることも
こういったことは、ちゃんと正規の発売日にお店やらチケットセンターやらで購入する人にとっては 「抜け駆けだ」「ズルい」 と批判されることですが、まぁどんな業界でも関係者やその近親者にちょっとした便宜を図る場合はあるものですし、正直、「こっそりやる」 のなら、法律に違反しない範囲でのそれは、ある程度仕方がない部分でもあるのでしょう。 雑誌などの出版物に新しいゲームや音楽の記事を載せてもらうためには、早めに編集者や執筆者に情報を渡さないといけませんし、その中に不心得者がいるとしても、全てを排除するのは難しいですし。
しかし人気タレントや歌手、ロック グループ などの新曲、新譜が事前に漏れるだけではなく、その音源そのものがデータとして ネット (ファイル共有ソフト など) に流出してしまったり、ゲームやマンガ雑誌などで、発売前に内容やデータ、あるいは ネタバレ となるような結末部分をネット上に面白がって流すような人もいたりします。 マンガ本などをスキャナーでスキャンしてデータを流すことを 「炊く」(データを自分で吸い出す = 自吸い = 自炊) なんていいますが、発売前の雑誌などの炊き出し行為 (「早炊き」 と呼ばれます) は、深刻な トラブル になる場合もあります。
これ以外には、「フラゲ」 した人が嬉しさのあまり自慢したくて、あちらこちらの 掲示板 などに情報を書き込む場合もあります。 本人は 「みんなに一刻も早く情報を教えてあげたい」 なんて親切心もあるのかも知れませんが、そうした情報を欲しがらない ファン、抜け駆けによりせっかくみんなで同時に楽しもうとしていたファンなどが反発を覚えコミュニティが荒れることもあります。 ファンサイト などでは原則としてフラゲ情報の 書き込み は厳しく禁止しているケースが多いのですが、これは場を守るための当然の措置と云えるでしょう。
版元が深刻な経済的ダメージを受けるケースも
音楽やゲームのデータなどの流出は、それらのソフトの販売数にもダイレクトに影響を与えてしまいます。 また ダメージ はそれだけにとどまらず、ルールを守って商品を手にしている熱心なファンは、作者 や制作元や発売元に不信感を抱いたり、裏切られたような気分になったりもしますので、ここらの管理は制作元としても頭の痛い問題でしょう。
過去には、ゲームの動画部分やゲーム本体そのもの、あるいは映画などのコンテンツが外部流失し、刑事事件となったり、「フラゲ」 で手に入れたデータを流出させた人間を突き止め、それに対して制作会社が損害賠償を求める訴えを起こしたケースもあります。