どう考えても普通じゃねぇ…コイツは間違いなく 「リアルチート」
「リアルチート」(Real Cheat) とは、非常識なまでにやたら能力が高く無敵の強さ、無双状態 を発揮するスポーツ選手や歴史上の武将、あるいは高い威力を持つ兵器や道具類などを、賞賛や感嘆の意味で表現する言葉です。
チート とは、コンピュータゲームの セーブデータ などを特殊なツール類を使って書き換え、内容やプログラムを改変・改竄して無敵状態の キャラクター や最強武器を作ってしまうことを意味する言葉です。 これを現実世界に当てはめ、「まるでチートツールで能力値を書き換えたほどの強さだ」 といった使い方、ややひねった褒め言葉になります。
称賛表現ながら、英語圏などでは逆の意味に取られることも
ただし本来の英語としての 「チート」 には、現実世界での試験のカンニングだとか、スポーツの世界での薬物使用 (筋肉増強剤などの ドーピング) や反則を含む 「ズルする」「不正行為を行う」「卑劣・卑怯」 といったもの全般を表す意味があります。 従って称賛表現としての 「リアルチート」 は、「チート」 が若者を中心にもっぱらゲームの世界のみで使われる日本独自の使い方、ネットスラング の一種となっています。
英語圏の人たちがいる場所とか、ネット の 掲示板 などで 日本国内や日本人相手と同じ感覚の 「賞賛表現」 として 「リアルチート」(Real Cheat) を使っても、意味や ニュアンス が全く通じない可能性があります。 それどころか、賞賛の意味だと理解されずに誹謗中傷をしているとの、あらぬ誤解を受けてしまいそうです。
スポーツ選手にしても何にしても、現実世界で他者を圧倒するような好成績、記録を残すような人は才能だけでなく影で人一倍の努力をしているので、それをシャレとはいえ 「チート」 呼ばわりも何だかなぁ…という感じです。
とはいえ、一般人からみて想像を絶する能力を持つ人、苦労を感じさせず圧倒的な成績を残すような人は、やっぱり 「平等じゃない」「神様がえこひいきしてる」「ズルい」 などと表現もされますから、言葉の使い方としては良くあるパターンなのかも知れません。
強い…強すぎる…しかも苦労を感じさせねぇ…
あまりの空戦能力の高さから、 ほとんどチート武器扱いの F-22 ラプター |
日本製のチート武器と云えばゼロ戦 (ただしこれは六二型) |
こうした使われ方をする代表的なものと云えば、例えばアメリカ空軍のステルス戦闘機、F-22 ラプターなどは、そのあまりに圧倒的な空戦能力や性能、キルレシオ から頻繁に 「リアルチート武器」 などと表現される代表のような扱いとなっています。
さらにこうした武器をいくつも 開発 し 装備 しているアメリカという国そのものを、リアルタイム ストラテジー (Real-time Strategy、RTS) や、シムシティのような箱庭ゲームにおけるルール無用の勢力として、「リアルチート国家」 と表現したりします (同様に、ドーピング国家といった呼び方もあります)。
歴史上の武器では、日本のゼロ戦 (零式艦上戦闘機) などがその代表でしょう。 もっとも一口にゼロ戦といっても様々な型式があり、八面六臂の大活躍をした初期型はともかく、途中からはチートどころか敵戦闘機に比べて一方的な劣勢に立たされる時代遅れの旧式戦闘機になってしまいましたが…。
また個人でいえば、フィンランド狙撃兵で自身を含む32名の部隊で 4,000人ものソ連侵攻軍を迎え撃ち、狙撃で505名、その他火器でそれを超える赤軍兵士を射殺した シモ・ヘイヘ や、戦争中に少なくとも戦車519両、装甲車その他800台以上、大型火砲150門以上を撃破したドイツ第三帝国軍のパイロット、ハンス・ウルリッヒ・ルーデルなどが 「リアルチートキャラ」 として ミリタリー な場所でよく話題に出ます。
ニュアンスは違うものの、似た言葉に 「魔改造」 なども…
なお現実の武器類に極端な改造や改良を施すことは、フィギュアやプラモデルの 邪道 な改造を表す言葉から転じて 魔改造 などと呼びます。 人間がそれまでとは打って変わってものすごい能力を発揮するのは、「覚醒」 とか、「確変」(パチンコなどの確率変動に由来) などと呼ぶ場合もあります。