邪 (よこしま) な道への誘惑… 「邪道」
「邪道」(じゃどう) とは邪 (よこしま) な道のこと、すなわち人としてやってはならない不正不実な行動や、通ってはいけない邪悪な道という意味です。 言葉としては、外道 (げどう) と同じです。
本来は仏教の世界で使われるようになった 概念 や言葉で、釈迦の教えや仏教の教義に反した思想や宗教を指します。 古代インドで仏教の教えに異を唱えた6人の思想家や宗教家を指す言葉として 「六師外道」 が登場し、その後はそうした考えや教義を持つ宗教を広く外道、及び邪道と呼ぶようになりました。
ただしこうした言葉の成り立ちや歴史とは別に、こんにちの日本では、基本に忠実な正攻法や直球勝負に対し、ルール違反や裏技、本来の使い方ではない用途での利用や、誰かを 騙す、奇策や権謀術数を批判、揶揄する意味で邪道とする使い方が一般的でしょう。
邪道 (外道) の対義語は本来は 「正道」、あるいは 「内道」 となりますが、こんにちの日本では、前述のような世俗的な言葉の転用から、王道 (儒教の考え方による) の対概念として触れられるケースも多くなっています。
少数派だけれど、ハマる人はハマってしまう 「邪道カップリング」
転じて アニメ や マンガ、ラノベ や ゲーム のストーリーや 設定 が、その ジャンル の作品で良く見られる暗黙の お約束 を逸脱し、押さえるべきポイントを押さえず変化球のようなヒネり方をしているような場合、ズルをして本流から別れ、横道に大きくそれている状態をも 「邪道」 と批判的に呼ぶ場合が多くなっています。
ただし本来は褒められるべき王道が、しばしば 「ありきたりで陳腐」「ワンパターンでマンネリ」 といった悪い意味で使われるケースもあるので、邪道も必ずしも ネガティブ な意味でだけ使われる訳ではありません。 とりわけ王道ではできないような設定で大きな効果を得ている、成功を収めているような場合には、賞賛表現として使われる場合すらあります。
なお 同人 の世界では、作品に登場する キャラクター の組み合わせ、カップリング において、物語をそのまま理解すると当然そう思えるような設定、もっとも多くの ファン の支持を得ているような設定やカップリングを王道、その逆を邪道 (逆カップリング、イバラ とも) と呼ぶようになっています。
これは王道の側のファンが自分たちと異なる立場の相手を邪道と決め付けて非難するために使う場合もあれば、邪道の側が少数派・反主流派となった自分たちを指して、自嘲気味にそう呼ぶ場合もあります。