反主流派となると苦労も多く… 「イバラ」
「イバラ」 とは、茨の道、すなわち険しく困難で苦労ばかりが多い道という意味です。 ここでいう 「イバラ」 とは、薔薇 など、トゲがある植物の総称となります。 触れるとトゲが刺さって痛い、困難や苦しみを伴うという訳です。
同人 の世界では、作品に登場する キャラクター の組み合わせ、カップリング において、多くの支持があり人気となっているカップリングや主流となっている考え方に反するようなカップリング、すなわち少数派やマイナーカップリング (マイナーカプ) を直接指したり、あるいはそのような 設定 で活動を行っている人たちや作品を 「イバラ」 と呼んだりします。
似たものに、邪道 とか 逆カップリング などがあり、対義語となるのは 王道 などとなります。
単に本が売れないだけじゃないんです…イバラの道は険しい
同人の世界で少数派、マイナーになるということは、それだけ同じ好みや考え方を持つ ファン が少ない、すなわちせっかく苦労して 同人誌 を作っても、あまり売れない、読んでもらえないことを意味します。
元ネタ となる アニメ や マンガ や ラノベ、ゲーム に基づく 二次創作 の場合、作品そのもののクオリティや面白さよりも、そこで何のキャラクターがどのような組み合わせで扱われているかが大きな評価基準、購入の際の判断基準になりがちなので、ちょっと好みが人と違うだけで、いきなり同人における難易度が上がるような結果にもなりがちです。
もちろん同人の世界は 趣味 の世界でもあるので、本の売れ行きなど気にせず自分の好きな ジャンル で好きなように作品を描けばよいだけの話ですが、多数派で主流となっているカップリングのファンから、「キャラクターの性格がきちんと把握できていないから、あんな変なカップリングになるんだ」「作品を正しく理解できていないのではないか」 との批判を受けがちになりますし、しばしばそれは、激しい 人格攻撃 や 叩き を伴ったりもします。
さらに同じ 同人イベント に出ている 絵描き や文章書きとして、自分と違って大きな人気や注目を集める 大手サークル に対して、引け目や嫉妬が芽生えることもあるでしょう。 相手が圧倒的に画力もストーリー作りも優っているのなら仕方ありませんが、単にどのキャラを描くかで大きな差が出るのは、少々腑に落ちないと感じる場合もあります (逆に、マイナーカプだから売れないだけだ…と、自分を慰めることもできますが)。
同じ傾向のサークルが少ない、支部で検索しても作品が見当たらない…
感想が貰えない、無視されるのも辛いものですが、作品を悪し様に ネット の 掲示板 などで叩かれたり、人格攻撃までされてしまったら、なかなか辛いものもあります。 またそこまでいかなくとも、同人イベントのパンフレットに同じ傾向のサークルがほとんどなくて寂しく感じたり、お絵かき SNS pixiv (支部) などで検索しても検索結果が少ない、あるいは皆無で、孤独感を覚えたりする場合もあります。
同人の世界は、自分の好きなものを描くという創作の部分とは別に、それぞれの作品を通じて同じ趣味の人たちと交流するという面もありますから、自らが選んだ道とはいえ、結果的に交友関係の間口を狭めるイバラの道は、やはり辛いものなのかも知れません。