同人作品の名脇役、攻めキャラ
「攻め」 とは、同人誌 などの マンガ や SS に登場する キャラクター の組み合わせのパターン (カップリング) のうち、能動的な役割や性格を持つキャラ、およびその行動パターンのことです。 「攻めキャラ」 とも。
男女カップルの際の男性役、もしくは同性愛における 「タチ」「ネコ」 の 「タチ」(英語で 「Top」 とも) 的役割になります。 あるいはお笑いにおける 「ボケ」「ツッコミ」 の 「ツッコミ」 とか。 反対に受動的役割や性格のキャラは守りや守備ではなく 受け (ネコ/ bottom) と呼びます。
一般的には口説き役・口説かれ役であったり肉体的な関係における “役割”(入れるか入れられるか) に限った分類で 「攻め」「受け」 を区分するようで、したがって 18禁 な内容を含む作品でよく使われる言葉ですが、精神的な 「受け」 や 「攻め」 を表現する時にも使う場合がある為、単純な二元論的響き以上の奥行きを持つ場合もあります。
攻めキャラ好きと、受けキャラの添え物としての攻めキャラ
自分の好きなキャラを 「受けキャラ」 側にするケースは比較的多いものです。 特に男性向けの男女カップリングにおける18禁作品では、このパターンが圧倒的に多いでしょう。 その場合、攻めキャラは単なる受けキャラのための 「添え物」、受けキャラの魅力を発揮させるための 「触媒」 といった扱いになり、攻め側にされたキャラのファンが不快感を覚えるケースもあります。
逆に、ごひいきのキャラを攻め側にする作品 (攻め萌え) もあります。 好きな相手 (受けキャラ) に一心不乱、必死にアタックする姿や、受けキャラに対するけなげな愛、逆に大人のムードでスマートにリードする姿、相手の好意を逆手にとって冷たくあしらう、お調子者・手慣れた遊び人としての姿など、受けとはまた違った多彩な魅力を引き出すことができます。 男性に告白される女性という立場、視点に立てば、それが男性キャラ同士の組み合わせとなる作品を通じてであっても、男性キャラの魅力をこれほど発揮できる シチュエーション もあまりないでしょう。
特にカップリングの組み合わせで両者に大きなギャップや年下年上の関係性、立場 (恋愛・性的な経験の豊富さ、上司部下など) が加わると、様々な妄想も 捗り ます。 一般に攻め側はリード役、あるいは受け側に性行為を求めたり強要する側となり、「受けに対し優位に立つ」 と思われがちですが、年下がはるかに年上の男性に勇気を振り絞って必死にアタックする姿や、その逆に衰えた年長者が若々しい若者や少年にアタックして受け入れられるケースなどは、男性向けに比べて攻め萌えが多い女性向け作品などでは、それぞれが一定の人気やファンを持つジャンルのひとつとなっているといって良いでしょう。
また自己投影をどちらのキャラにするかにも関わりますが、例えば ドリーム系 の作品で受けキャラ視点で好きな攻めキャラを愛しむものなどでは、当然ながらこちらがむしろ多数派となります。
一途な愛あってこその 「攻め」
なお、きちんとしたカップリングの形をとる作品においては、「攻めキャラ」 には 「受けキャラ」 に対する 「一途で熱い愛情」 が必要とされる場合が多いようです。 これは、受けキャラが文字通りその愛を受け入れた瞬間に微笑ましい相思相愛となりますし、また性行為などにおいて行われる描写がどれほど激しく、あるいは 鬼畜 で人の道に外れたものであっても、それさえあれば全ての行為は正当化され、何をしても 「愛ゆえに」 で何となく許されるから、描く方、読む方も、都合がよいからでしょう (もちろん例外もありますが)。
一方で、そうしたものを度外視した作品・ジャンルもありますし、必ずしも恋愛関係や肉体関係を伴わない精神的な受け・攻めをあてはめた作品などでは、相手に対する愛情がまだ発展途上段階にある、あるいはそれに自分が気づいてない状態での描写などもあります。
キャラに対する 作者 やファンの愛情や好きになるポイント、感じる魅力は様々なので、それぞれが思い描く 「好きなキャラが一番輝く状態」 に、攻めというポジションがふさわしければ、そこで自由にふるまってもらうというのが、攻めキャラ萌えの形ということになるのでしょう。
カップリングの表記方法は…
カップリングの表記をする時に、キャラの名前を 「X」 でつないであらわす場合があります (Xを略して書く場合も多いです)。 例えばキャラAとキャラBなら 「AXB」 ですが (Xを略すとAB、さらにキャラ名なども略す)、通常は左側に攻めキャラ、右側に受けキャラを書く場合が多いので、攻めを 「左」「左向き」 などと呼ぶこともあります。 また極め付けの攻めキャラは、「極左」 と呼ぶことも。
さらに攻めキャラにありがちな要素を全て網羅した攻めキャラの中の攻めキャラとも呼べる気高い存在は、とくに 「スーパー攻め様」 と呼んだりもします。