文脈によって様々な意味で使われる 「ボケ」
「ボケ」 とは、とぼけること、間違ったりおかしなことや冗談を云うこと、あるいは焦点が定まらずぼやけること、意識がもうろうとしたり、正しい判断ができないような状態を指して使う言葉です。 またバラ科の落葉低木であるボケの木 (木瓜) を指すこともあります。
一方、お笑い・漫才の世界では、とぼけた ネタ を話して 相方 が行う ツッコミ を受けること、その役割を指すこともあります。 古典漫才 (萬歳) の 「才蔵」 と 「太夫」 の役回りに由来するとされ、当初は 「とぼけ役」(とぼけ) と呼ばれていましたが、その後ボケと呼ばれるようになったようです。
ボケの前段階として 「フリ」(前振り) があります。 ボケはこのフリを受けて笑えるようなおかしな意見をしゃべることになり、多くの場合ツッコミ役がフリを行う傾向が強いとされますが、ボケ役がフリをこなすこともあります。
ボケが輝くのはキレッキレのツッコミがいてこそ?
同人 の世界における カップリング と対比されることもあります。 その場合、ツッコミは 攻め、ボケは 受け になぞらえることが多いでしょう。 これらは マンガ における キャラ の役割分担として扱われる場合もあり、ボケ役のキャラはボケキャラなどと呼びます。 とはいえ類似の 概念 である ドジっ子 とか アホの子 と呼ぶ方がポピュラーかもしれません。
漫才でもギャグマンガのキャラのやり取りでも何でもそうですが、前衛的で高度なボケほど 一般人 には理解できなかったり、理解するまでに時間がかかったりするものです。 ボケが十分に分かりやすく面白ければツッコミはフリや合いの手を入れるだけの存在になりますし、そうでなければツッコミの適切なアシストがあって初めてリズムが生まれ、ボケが輝くとも云えます。 まぁ分かりづらくても、ジワる (じわじわと面白みが分かる) という概念もありますので、このあたりは作家の腕次第ではあるのでしょう。
どちらがどうというのは芸人や時代によって移り変わりますが、阿吽の呼吸による研ぎ澄まされたボケとツッコミの話芸は、単なる笑いや娯楽の 枠 を超え、ある種の芸術であると同時に、日々のコミュニケーションの糧にもなる優れた技術だと云えるでしょう。