ドジっ子といえば 「てへっ」
「ドジっ子」 とは、そのまんまですが、「ドジ」 な子のことです。
うち 同人 などこっちの世界では、アニメ や マンガ、ライトノベル、ゲーム などに登場する キャラクター のうち、やることなすこと失敗ばかり、おっちょこちょい、あわてもの、粗忽なキャラとなります。 そうした傾向を持つキャラは、「ドジっ子属性」 のあるキャラと呼ばれ、数多くの作品でしばしば 主人公 がこの 要素 を持っていることから、「主人公属性」 のひとつなどと呼ばれたりもします。
「細かいことを気にしない」「失敗しても立ち直りが早い」「明るくて陽気」 といった傾向をあわせて持つ場合も多くなっていて、お笑いの世界ではもっぱら ボケ に相当し、ストーリー上は優等生キャラや先輩キャラなどに囲まれて励まされ教えられて少しずつ成長していく傾向もあります。
料理以外は完璧…キャラ設定の一部だけドジ属性も
なお日頃は優等生で 生徒会長 や 委員長 といったキャラや、ヒーロー・ヒロイン 然とした万能・完璧傾向の高い スペック を持つキャラが、ある カテゴリ においてのみ、ことさらドジッ子傾向を示す場合もあります。 勉強もスポーツも優秀で性格も良いのに、なぜか家事だけは苦手で 料理爆発 みたいな感じです。
こういう傾向の 設定 は、同人などの 二次創作 では親しみやすさからかことさらに拡大解釈される傾向があり、オリジナル (原作) では優等生キャラだったのが、二次創作作品では 「ドジっ子キャラ」 になっている場合もあります (ジャンル内設定などとも)。 カップリング では、基本的に 受け に回る場合が多いようです。
アニメやマンガ、ライトノベルやゲームにおける 「ドジっ子」
本来 「ドジっ子」 は、はた迷惑な存在ですが、「普通の人ならありえない失敗をする」→「普通の人とはちょっと思考回路が違う」 というイメージがあるためか、創作物の世界では 「突拍子もないことをする」→「意表をついた演出がやりやすい、動かしやすい」 こととなり、主人公やメインキャラに見られる 王道 的な設定となっています。 また 「一見非常識だけど真実を突いた行動をとる」「普通の人が諦めてしまう状況でも愚直に努力する」 といった肯定的な意味で使われるケースが当然ながら非常に多いですね。
こうした傾向は神話とか伝承の類でも見かけられ、世界を救うのは高貴な愚者、勇気ある大ばか者、向こう見ずな無知者なんてのが、洋の東西問わず結構普遍的に見られる傾向だったりします。 「既存の常識を覆す」 のは、現在の価値観から外れた人でなければいけないのでしょうから、これは当然かも知れません。
また 「醜いアヒルの子」 のように、登場人物が不利な条件を跳ね返したり、成長したり、よりよいものへと変化する物語では、最初のスタートラインが 読者 よりさらに下の 「ドジっ子」 で、その後成長して行くパターンの方が作りやすく受け入れやすいものでもあるのでしょう。 人間誰しも恥ずかしい失敗の経験はありますし、感情移入 しやすくもあります。
こうした傾向を持つキャラには、いくつかの お約束 のような行動パターンがあります。 寝坊して学校に遅れそうになり、パンをくわえてダッシュ とか (そこで別の重要なキャラとぶつかったりする)、料理を作ったら塩と砂糖を間違えて激マズとか、理科の実験では爆発、宿題をサボったり忘れ物をして廊下に立たされる、早弁をする、運動神経ゼロですぐ転ぶ…などです。 こうした行動はコミカルな動きを表現しやすいですし、笑いにもダイレクトにつながりますから、描く方も動かしやすいものです。
「ドジ」 の語源は諸説あるものの…
「ドジ」 そのものは、元々 「どぢ」 と書き、「鈍遅」(とち) が訛ったものとするのが、諸説あるものの有力な語源の説のようです。 「鈍遅」 とは 「鈍感でやることが遅い」 という意味で、失敗することを表す言葉ですが、一方で、「とちる」 の当て字だ、「とちる」 そのものが 「とち」 の語源だとの説もあります。
「とちる」 の 「とち」 は 「栃の木の実」 のことで、素早く調理加工して食べないと固くなってまずくなることから、「とちめく」 → 「急ぐ」「慌てふためく」 といった意味で使われるようになり、その後舞台の世界で失敗することを 「とちる」 と呼ぶようになったようです。 しかし 「急いで慌てふためく」 様を漢字で表すのに 「鈍遅」 と書くのも違和感を覚えます (もっとも、単に音読みで当てはめただけの言葉も結構ありますし、両者は関係がないとの説もあります)。 こういったところは、語源探しを楽しいものにしてくれますね。
いずれにせよ 「ドジ」 は、間の抜けた失敗、不手際をすること、「ドジっ子」 はそうした行いを頻繁にする人、うっかりさん、慌てんぼさん、おてんばさん、を指す言葉となっています。
なお非常に良く似た属性に、アホの子 というのもあります (意味や定義として重なる部分もある一方、全体的な ニュアンス はだいぶ違いますが)。