同人用語の基礎知識

脇役

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主人公とともに作品を盛り上げる存在 「脇役」

 「脇役」(わきやく) とは、マンガアニメ といった創作物にあって、主人公 や主役とともに物語を進めたり、作品全体を盛り上げる役割を担う登場人物、キャラクター、あるいは存在のことです。 「サブキャラクター」 と呼ぶこともあります。 作品におけるポジションは主人公に次ぐもので、主人公と端役や モブ の中間に位置するものとなります。

 物語において担う役割は作品や物語、ジャンル によって様々ですが、主人公の側に立つ仲間や理解者、恋人の場合と、主人公とは対立する敵やライバルの場合の、大きく2パターンにまとめられるといって良いでしょう。 中でも敵やライバルとしての脇役の存在感は重要で、物語を主人公とともに前進させる両輪のひとつであるばかりでなく、作品の テーマ そのものを主人公と分かちがたい立場で作り上げる存在だとも云えます。

 ひときわ存在感がある脇役は、とくに 「名脇役」 と呼ぶこともあります。 ただし主人公を食ってしまうほどの存在感を持ってしまうのは、それはそれで脇としての役割から逸脱しており、失敗だと判断されてしまうかも知れません。

時として主人公より人気が出てしまう脇役

 作品やジャンル、あるいは 作者 の考え方次第ではありますが、主人公は作品の顔としてしばしば倫理的な制約や物語としての一貫性を保持する役割を課せられがちです。 一方で脇役、とくに悪役の場合は、そうした制約がほとんどなく、自由度が高くて 「動かしやすい」 というのはよく聞く話です。 作者が動かしやすければ作品内での言動も説得力があり、生き生きとしたものとなるでしょう。 とくに悪役の場合、単に悪事を働くだけでなく、偽善的な建前といった、誰でも内心は疑問に思っているような部分を痛快に蹴散らす存在だったりして、「主人公より脇役の方が魅力的」 という状況に陥りがちです。

 また物語を通じて主人公の成長を描くような作品なら、敵やライバルは少なくとも初出時は、主人公より強大で魅力的で、乗り越えるべき壁のような存在でなければならないでしょう。 主人公が自分より弱い相手を一方的に倒すわけにはいかないからです。

 作品の受け取り側も小さな子供時代ならともかく、中二病 が発症しがちな思春期のお年頃ともなると、主人公の掲げる正義や理想論が時として単なるきれいごと、単純な善悪の決めつけや空疎なものに見えてきたりもして、むしろ悪役の方にこそ複雑で大人っぽい魅力や、感情移入 しやすい孤独や挫折、理不尽な社会に対する反抗を感じることも多いでしょう。

 実際、出番の少ない悪役の人気が主人公を凌駕する作品はたくさんあります。 これは 「悪の魅力」 と見られることが多いですが、悪事をすることそのものに魅かれたり憧れるのではなく、あくまで 「建前ではなく本音で動く」「自分ではできないことを信念に従って行う大人」 として魅力的に見えるということなのでしょう。

 結果、同人二次創作 の世界では、主人公より脇役にスポットを当てた作品が多くなります。 これはキャラの魅力そのものだけでなく、「本編では非業の最後を遂げた脇役や悪役を救済したい」「主人公と違って本編では描かれなかった部分が多くて想像力を刺激される」 といった理由が多いからでしょう。 作中で非業の最後を遂げるような場合、生存if で 「もし死ななかったら」 のその後を描くような作品もあります。

 なお作品の本編では脇役だったキャラの人気が爆発し、今度はその脇役キャラを主役に据えた 公式 の派生作品が作られることもあります。 こうした作品は 外伝 やスピンオフと呼ばれます。

ポジションによっては、ヒロインや主人公機となることも

 なお男性主人公の場合、異性でもっとも身近な脇役は、とくに ヒロイン やマドンナと呼ばれます。 また登場人物ではないけれど、主人公と一心同体だったり強い絆で結ばれたもの、例えばロボットものなら主人公が操るロボットとか、戦闘機や車、バイクといった乗り物 (主人公機) を脇役と呼ぶこともあります。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 1999年11月15日/ 項目の再構成です)
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