もう一つの世界のお話なんです…「パラレル」
「パラレル」 とは、英語の Parallel のことで、平行とか並列を意味する言葉です。 コンピュータの世界では、パラレルポートやパラレル接続などでよく使われる言葉ですが、アニメ や マンガ、ラノベ や ゲーム などの物語、ストーリーの中では、パラレルワールド (Parallel World) を指す言葉として、しばしば使われます。
パラレルワールドは、現在の世界と並行・並列する世界のことで、別の時間軸や別の時空の世界を指します。 if の世界やアナザーワールド、世界線・分史世界 とも云います。 ただし全くの異世界や異次元、別世界ではなく、あくまで現在の世界が時間軸上で分岐したもの (基本的には同じ物) であるのが、その特徴です。
架空戦記で見られる歴史上の if 世界 (もしもの世界) や、タイムトラベルものの作品で、いわゆるタイムパラドックスを回避するアイデアとしても使われ、SFの世界などではおなじみのアイデアでしょう。
あくまで平行世界でのお話です…とのエクスキューズにも
こうしたパラレルワールドの考え方は、既存の作品などを 元ネタ とした 同人 における 二次創作 や パロディ においても、創作の形として都合が良く、明示的、黙示的問わず、よく見かける 設定 の一つともなっています。
これはひとつには、既存作品の キャラクター を ファン 活動の延長として創作活動の ネタ とする場合に、同じ作品やキャラのファンの目を気にして配慮する (場合によってはファンである自分自身を納得させる) 場合に、パラレルの考え方がとても都合が良いということがあります。 ごく端的な例では、大好きなキャラにエッチなことをするのは罪悪感があるけれど、「並行する別の世界のお話」 とすることで、フィクションの上にフィクションを重ねることが可能になるからです。
またキャラクターの組み合わせ、カップリング (カプ/ CP) は同人の世界では極めて重要ですが、自分と異なる 解釈 をするファンなどに、「これはあくまで私の作品中の設定でのお話です」 と、先回りしてエクスキューズ (弁明) ができる利点があります。 カップリングの傾向が途中で変わる=キャラの性格や状況が変わるという場合でも、パラレルワールドという 設定 での話とすればつじつまを合わせることもできます (こうしたものは、別軸 と呼ぶ場合もあります)。
なおこうしたパラレルワールドの考え方は、「ほとんど同じだけれど、ごく一部だけ違う」 という複数の作品を、逆にパラレルものとしてまとめて扱うような、独特の言葉の転用もあります。
また本来は全く違う作品に登場する、それぞれは無関係なキャラや アイテム を、新しく作ったパラレルワールド内で組み合わせる場合などにも使われます。 例えば同じ 作者 の作品を複数掛け合わせるなどです。 この場合は、それぞれの作品ごとの設定や歴史をどう曲解して無理やり統合させるのかなどが、作者の腕の見せ所でしょう。 こうした作品のうちギャグやナンセンス寄りのものは、とくに ダブルパロディ と呼ぶ場合もあります。