同じ世界、同じ人物だが、ちょっとだけ違う… 「分史世界」
「分史世界」 あるいは 「分史」 とは、歴史や時間をある段階で区切って以降の様々な可能性に基づく、無数の 「もしもの世界」「可能性の世界」 のことです。 対義語は 「正史世界・正史」 で、本来あるべき歴史・時間の流れを指します。 流れの折々で何らかの 「選択」 をすることで未来は枝分かれし、それぞれは別の世界として正史とは異なる歴史や時間が流れていきます。 とはいえ元を辿れば同じものであり、また分化した後もそれぞれは何らかの密接な関係を持っています。
一般によく使われる言葉では if や パラレル、並行世界、アナザーワールド、別軸、世界線 などになります。
「テイルズ オブ エクシリア2」 の正史と分史
言葉の 元ネタ は、2012年11月1日にバンダイナムコゲームスから発売された PlayStation3 用 ゲーム、「テイルズ オブ エクシリア2」 の作中 概念・設定 となります。 前作 無印 から1年後の世界を描いた 正統続編 である同作品では、物語は2つの世界、すなわち 主人公 クルスニクが住む 「正史世界」 と大精霊クロノスの陰謀によりパラレルワールドとして生み出された 「分史世界」 から成り立っています。
創世の賢者一族の末裔で 「骸殻」(懐中時計を用いて、戦闘力の高い骸殻の姿に変身できる) の能力を持ち、分史世界への侵入が可能な主人公クルスニクは、借金に追われる一方、様々な使命を帯びて分史世界を旅し、干渉します。 そこには正史世界と同じ人物もいますが、生き死にや性格の正邪が入れ替わっていたり、見た目が少しだけ違っていたりします (例えば アホ毛 の有無など)。
正史と分史それぞれの人物の魂エネルギーは全体総量が定まっており、分史が増え続けると正史の世界に存在すべき魂エネルギーが 拡散 し、放置すると最終的には全ての魂、人間が死に絶えてしまう可能性があります。 そこでクルスニクをはじめ骸殻能力者は分史世界に侵入し、様々な困難や妨害、敵との戦いなどを乗り越えてその世界の核となっている時歪の因子 (タイムファクター) の破壊を試みます。
名作の呼び声も高いものの、シリアスでシビアな選択肢が辛くて切ない
リリース時にジャンル名として 「選択が未来を紡ぐRPG」 とされたように、ゲームの大筋的にはプレイ中にしばしば登場する二者択一の選択肢の選び方によって結末が分岐する、いわゆるマルチエンディング式の物語です。
こうした 世界観 やシステムを持つ作品は別に珍しいものではありませんが、作品自体がシリアスかつ重厚な物語を持ち、時歪の因子を破壊して分史世界を消滅させる、すなわち分史世界の住人を消すと云う判断を繰り返すこととなるため、魅力的な キャラクター や前作からの仲間なども多い同作品においては、高めの 難易度 も手伝って、わりと辛い状況に陥りがちになります (てか、死亡エンドとか自己犠牲エンドとか、わりと救いのないエンディングになりがち)。
その高い物語性から名作とも呼ばれる人気作品だけに 同人 による 二次創作 も盛んですが、同一人物でも正史・分史それぞれの世界やルートでキャラや背景が変わってくるので、キャラ名に世界を接頭する使い方がされることもあります。 例えば本編 ヒロイン であるエル・メル・マータの場合なら、正史エルとか分史エルといった呼び方による区別です。 なお作品のキャッチコピーは 「少女のために世界を壊す覚悟はあるか」 で、エルがその少女にあたります。