もし○○が□□だったら?…現在とは異なる世界 「世界線」
「世界線」(せかいせん) とは、複数あるいは無数にある パラレル な世界、並行世界や if の世界のひとつ、といった意味で使われることが多い言葉です。 歴史の話で例えれば、if・仮定の話としておなじみの本能寺の変 (1582年6月21日) で、もしこれが起こらず、すなわち織田信長が明智光秀に討たれなかった場合の話をする時に、「本能寺の変が起こらなかった世界線」 といった使い方をします。 似たような 概念 の 同人用語 には 別軸 や 分史世界 もあります。
アニメ や マンガ、ラノベ といった物語・ストーリーの中で、パラレルワールド (Parallel World/ もう一つの世界、もしもの世界) やタイムスリップ、タイムリープ、転生などを通じてあるべき歴史 (正史) が変わった場合の別の世界を指す言葉としてしばしば使われます。 2010年代中頃からは非常に幅広く使われるようになり、「ちゃんと朝ごはんを食べた世界線」 とか 「寝坊せずに目覚まし時計で目がさめた世界線」 など、日常的な事柄にも好んで使われるようになっています。
場合によっては単なる 「世界」「状況」 の言い換えのような使われ方 (例えば 「お金持ちの ○○さん と貧乏人の自分とでは生きてる世界線が違う」 みたいな) もされたりします。
人気ゲーム 「STEINS;GATE」 の作中概念として話題に
おたく や 腐女子 の世界で使われるようになった大きな発端は、秋葉原 を舞台とし、アニメ化もしたサウンドノベル・マルチエンドアドベンチャー形式の人気 ゲーム 「STEINS;GATE」(シュタインズ・ゲート/ シュタゲ/ 2009年10月15日) の作中 概念 からでしょう。
大ヒットした 「CHAOS;HEAD」 に続く 「科学アドベンチャーシリーズ」 の二作目としてリリースされた同作品は、魅力的な キャラクター、難解ながらもよく練られたシナリオや 世界観、スリリングで緻密に張り巡らされた伏線などから高い評価を受け大ヒット。 その作中概念のひとつがこの 「世界線」 なのでした。
なお世界線という言葉自体は、一般的には物理学の世界でアインシュタインの相対性理論の中で使われ、0次元の点粒子が時空 (四次元) を移動する際の軌跡を指します。 この作品では相対性理論をはじめとする様々な科学的要素が独自の 解釈 も含めて混ぜ合わされていましたが、物語として面白いだけでなく知的興奮を覚える 設定 や仕掛けが散りばめられており、中でも使い勝手の良い世界線という概念や言葉が、ファン の間で使われることが多かったようです。
物理学、とりわけアインシュタインや相対性理論の概念や言葉は SF の世界で頻繁に使われていますし、それ以前の SF 作品などでこの言葉が本来の意味とは異なる使い方で登場したこともなかったわけではないようですが、その後この言葉が広く使われるようになった発端、実質的な 元ネタ は、同作品だったと云って良いでしょう。
なお 「STEINS;GATE」 と同じ世界線に同シリーズ第一作の 「CHAOS;HEAD」(カオスヘッド) がありますが、こちらの作中概念 「リアルブート」(妄想 を現実にすること) も、ある種の おたく用語 として使われるようになっています。