モカ…ユンケル…効くと思えばきっと効く! 「ドーピング」
「ドーピング」(Doping) とは、新刊 のための 原稿 の 締め切り に追いまくられ 徹夜 や寝不足が続き、睡魔に襲われ疲労困憊した時に、ドリンク剤を経口 摂取 (グイ飲み) することです。
ど・れ・に・し・よ・う・か・な |
もっともよく飲まれている物は、薬局などで販売している眠気覚ましドリンクの 「モカ」(エスエス製薬/ エスタロンモカ内服液/ 30ml×2本入) や、栄養ドリンク剤の 「リポビタンD」(リポD/ 大正製薬) や 「ユンケル」(佐藤製薬/ ユンケル黄帝液) などでしょう。
本格的な 修羅場 ともなると肉体的にも精神的にも限界に近づきますから、こうしたドリンク剤は効く効かないに関わらず、つい手がでてしまうものです。 別に美味しいものでもないのですが、中毒性は高そうです。
この種のドリンク剤は、常用するようになると効き目も落ちますし体にも負担がかかりますし、また価格も押しなべて高く、愛飲している 筆者 からすると 「効くと思って飲めば効く」 といった感じの効き目が実際のところのような気もしますが (病院で処方してもらう薬品の方が保険も効いて安く、また圧倒的に効きます)、例えば1本 1,500円程度もするユンケル黄帝液の高いバージョンのものを飲むと、「ここで寝てしまっては1,500円がパーになる、無駄になる」 との精神に与える影響は無視できないような気もします。
もちろん計画的に原稿を作っていれば、土壇場で無駄なお金を使うこともないのですが…ここらはズボラな性格の人間にはどうしようもないですね…。 似た用途で人気がある商品にはこの他、カロリーメイト などもあります。
「非常事態」 のセルフ演出としてはかなり使えるドリンク剤
ユンケルクラスだと価格的に 効きそうな気も… |
もっとも、「締切りに追われる」「ドリンク剤を飲んで限界に挑戦」 などは、若くて健康なうちは 「うおぉぉぉ〜やったるで〜」「そんなもん2〜3日寝なきゃ楽勝や、わしゃやるトキゃやる人間やでぇ」 的な高揚感もありますし、何やらプロ作家になったような気分もちょっとは味わえて、辛いけれど充実感もあるような、独特の感覚を覚える人も少なくありません。
ちなみに眠気覚ましドリンクのモカは、濃いコーヒーを飲むのと基本的には同じなので、胃が弱い人はちょっと辛くなるケースもありますし、飲んだ後にやたらとトイレが近くなるなど、向いていない体質の人もいます。 コーヒーや緑茶、眠気覚ましガムやキャンディーなどに比べると、何やら薬品っぽい感じがして 「効きそう」 ではあるのですが、飲んでみて合わないようなら無理に飲むのはやめましょう。
またいずれのドリンク剤でも、空腹時に飲むのは避けるのが良いと思います。 食事を摂る時間がない場合は、せめて ウイダーinゼリー くらいは胃に入れるようにしましょう。 個人差があるとは思いますが…。 あと、ポカリスエットみたいなスポーツドリンクと混ぜて飲むと早く吸収して早く効く…などという、いかにも都市伝説っぽい話もありますが、ほぼ間違いなく都市伝説なので、信じたい人だけ信じるようにしましょう…。
カフェインの摂り過ぎは注意
一日に摂取しても身体に悪影響のないカフェイン量は個人差がとても大きいのですが、世界保健機構 (WHO) が推奨しているものでいえば、妊婦にも影響のない1本/ 1杯 (100ml) あたりの濃度で 180mg、1日の摂取量目安が 300mg 程度です。 妊婦以外の健康な成人の場合はそれぞれ 250mg/ 400mg 程度です。 一般にインスタントコーヒー1杯で 80mg、ドリップで 90mg 程度のカフェイン (1杯 120〜150ml 程度) が含まれているとされます。 缶コーヒーも濃度はおおむね同じくらいで (商品によります)、すなわち1日3〜4杯あたりが限度という計算です。
日本の厚労省は具体的な目安を発表していませんが、日本人は小柄な人が多いので、WHO 基準よりちょっと少ないくらいに抑えるのがいいのかなと思います。 リポDタイプの一般的で安価なドリンク剤は1本あたりのカフェイン量が 50mg 程度なので多少飲みすぎても問題はありませんが、眠気覚まし系のカフェイン濃度の高いものはおおむね1本で 200mg から 300mg 程度が含まれており、飲み過ぎはかなり身体に負担をかけます。
どうしようもない場合にやむなく利用するとしても、錠剤は1錠ではなく半分に割って飲むとか、ドリンクなどは十分な間隔を置いて飲み過ぎないのが重要です。 また十分な間隔があいても何日も続けて用いるのはやめましょう。 軽い依存症のような症状が出ますし (すぐにまた飲みたくなる、飲まないと力が出なくなるなど)、動悸やめまい、ふるえや吐き気がしたり、胃がやられてきついです。 連用は避け、仮に連用する必要が生じても、数日に一度は必ずカフェイン抜きの日を設けるようにしましょう。 身体を壊してからでは遅いです。
一方 2000年前後あたりから、いわゆるエナジードリンクと呼ばれる商品が人気を集めるようになっています。 リポDなどのようにガラス瓶に入っておらず、缶タイプのものが主流で、レッドブル (Red Bull) やモンスターエナジー (Monster Energy) などが売れ筋のようです。 これらのカフェイン量も国内販売されているものはコーヒーと同じかやや少ないくらいですが (商品による)、海外で販売されているものにはカフェイン含有量の多いものもあり、単なる炭酸飲料感覚でがぶ飲みして事故なども起こっています。 前述した通り個人差も大きいので、初めての商品は裏面でカフェイン量を確認するなど、注意して飲むようにしましょう。
なお大手製薬会社や食品メーカーなどが加盟する1985年設立の業界団体 日本OTC医薬品協会の 「カフェイン含有医薬品(眠気防止薬等)の適正販売及び適正使用のお願い」 では、注意喚起や自分の身体を守るための指針として
・用法・用量を厳守すること。
・コーヒーやお茶等のカフェインを含有する飲料と同時に服用しないこと。
の2つを強く推奨しています (こちら)。
スポーツの世界におけるドーピング
一般的な意味で使われるドーピングは、もっぱらスポーツ競技などでアナボリックステロイドといった筋肉増強剤を使い短期間に肉体を強化したり、興奮剤や麻薬など、その他の薬品を使って一時的に身体能力を高めるための薬物投与を指します。
ドーピング (Doping) は Dope の名詞形ですが、Dope 自体の語源には諸説あり、広く知られているものでは、南アフリカで飲まれていた興奮作用のある儀式用のアルコール飲料の名称とも云われています。
こうした薬物投与は強い副作用が生じるケースがあり、オリンピックをはじめ多くの競技会で人体に危険だとして禁止されています。 ただし禁止薬物の中にはごく普通の風邪薬の成分として使われている物質や、ただのアルコールなども含まれていて、オリンピックなどではドーピング検査の話題が大きなトピックとなるケースも多くなっています。