ユンケルとモカ飲んで原稿用紙とにらめっこ… 「修羅場」
「修羅場」(しゅらば) とは、「修羅」(争い) の 「場」 という意味です。
元々はインド神話や民間伝承、仏教の中に登場する言葉と 概念 で、「阿修羅」(仏教の守護神で、争いにより怒りや憎しみ、苦痛などが渦巻く六道の一つである阿修羅道の主) と 「帝釈天」(同じく仏教の守護神で、阿修羅の娘、舎脂の夫) との争いが起こった場所となります。 一般的には 「しゅらば」 と読みますが、本来は 「しゅらじょう」 と呼ぶ方が正しくふさわしいようです。
本来の意味を離れ、過酷な状況を 「修羅場」 として表現するように
神様同士が争った場ですし、義理の父と息子の争いということで、しばしば家族同士の凄惨な争い、恋人同士の別れ話のもつれとか痴話げんかなどでよく使われ、また戦争や犯罪 現場 などの表現としても 「修羅場」 はおなじみです。
しかし後には 「争い」 という概念より 「凄惨で悲惨な状況」「生き地獄」 のような意味でも扱われ、いつ終わるとも知れない残業だらけの職場 (デスマーチ/ デスマ) や 徹夜 続きの過酷な状況、混乱してぐちゃぐちゃになった カオス な状況をも、「修羅場」 と表現するようになりました。
本来の仏教の世界では、「修羅」と 「地獄」 は仏教の 世界観 (六道) の中に一緒に登場するものではあるものの、概念自体は全く違うものです (「地獄道」 は争いの場ではなく、罪人にその罪を償わせる場で、六道の最下層、および畜生道、餓鬼道と共に 「三悪道」 とされ、「修羅道」 は最上位の天界道、その次の人間道の下で、あわせて 「三善道」 ともされます)。 しかし 「戦争」 や争いの結果生じる死体が転がるような状況を地獄と表現するケースが多く、「争い」 を意味する 「修羅」 もそこに近い扱いをされるようになったのでしょう。
ちなみに他の五道 (五趣) に比べ 「修羅」 は比較的新しい概念ともされ、五趣六道とまとめて呼ばれる場合もあります。
同人 の世界では、サークル の仲間と徹夜で 「合宿」 して 同人誌 のための 完全原稿 を必死で作っている…なんて状況が 「修羅場」 としてはポピュラーでしょうか。 とりわけ 締め切り の間際、入稿日 寸前の 「追い込み」 の時期などは、「いま修羅場です」「修羅ってます」 なんて言葉が飛び交う事態となります。 ただし一定の限界を超えると 明け方マジック となり、妙なテンションとなって改善する場合もあります。