第三者的立場、物語のフレームから外れた立場…「メタポジション」
「メタポジション」(Meta Position) とは、自分でも他人でもない、第三者的な立場、客観的な立場、あるいは自分が存在する世界をも超越した俯瞰的な場所や立場のことです。 なお 「メタ」(Meta) とは、「高次の」「超える」「後から」「含まれる」「変化する」 などといった ニュアンス を持つ言葉です。
分かりやすい例ですと、自分が事故か何かで病院に担ぎ込まれ、自分は自分の体から抜け出しベッドで寝ている自分と、自分を取り囲んでいる家族や医者を見ている…なんて感じでしょうか。 何やら幽体離脱の説明のようですが、寝ているときに見る夢、過去の回想などで、自分を俯瞰的な立場から客観的に見るという経験は、多くの人が持っているものでしょう。
またこれと同じように、創作物の キャラクター などが、その創作物で描かれる世界や物語のフレーム (立ち位置や時間軸) から外れた場所に立つこと、あるいはその場所のことを指す場合もあります。 例えば 漫画 の登場人物がマンガのコマや 枠線 の外に飛び出し、作者 の頭を殴るとか、離れた場所で起こっている事件のシーンが切り替わるタイミングで、「一方その頃別の場所では…」 などと喋りながら、隣のコマをのぞき見ている状態なども、メタポジションと呼べるでしょう。
こうした立ち位置にいるときに喋るセリフを、とくに メタ発言 などとも呼びますが、そのキャラの作品中での立場や 設定 では本来は知り得ない、できるはずがない傍観者、俯瞰者との振る舞い、楽屋落ちのようなセリフは、読者 の物語への 感情移入 を妨げ、時に白けさせる原因ともなります。
NLP用語としての 「メタポジション」
「メタポジション」 という言葉は、心理療法の一種、「NLP」(Neuro Linguistic Programming/ 神経言語学的プログラミング) の分野で言葉として広まっています。 「NLP」 とは自己啓発や最適なコミュニケーション能力実現のための技法の一つですが、ここでの 「メタポジション」 は、自分や自分を取り巻く人間関係や 環境 を第三者的に見ることで、問題点などを客観的に把握、理解するための考え方、視点となります。
自分や自分を取り巻く環境、日頃接する相手などを、感情を排し冷静に純粋に客観視するのは非常に難しいものですが、「反省」 や 「自省」 も自分を客観的に見ることと無縁ではありません。 こうした考え方は心理学以前に、多くの人が後天的な要素が大きいとはいえ、自然と行っているものでしょう。
オカルトとスピリチュアルとしての 「メタポジション」
前述した 「病院で自分自身とそれを取り囲む医者や家族を傍観する」 と言った例に見られるように、NLPが提唱されるより以前から、幽体離脱を強く連想させる状況を夢や回顧でイメージするケースは昔からあります。 こうした状況から、オカルト (波動系) やスピリチュアルの文脈でもメタポジション的な 概念 は盛んに取り上げられており、マンガや アニメ では、こちらの方向からの取り扱いが、とても多くなっています。
一方で、登場人物の心理描写などを読者や視聴者にわかりやすく提示、説明するために、こうした手法を演出や画面効果として用いる場合もあります。