変化し続けるネットスラング… (笑) → ()笑 で、()
「()」 とは、「失笑」「苦笑」 あるいは 「絶句」「唖然」 といった意味の ネットスラング のひとつです。 原型は、広く笑いをあらわす (笑) で、これが変化したものとなります (ただし途中から様々な ニュアンス が付加されるようになっています/ 後述します)。
() の原型となった (笑) は、パソコン通信 などの初期の ネット で使われるようになった当初は、掲示板 での発言 (レス) において、「笑える」「笑った」「面白かった」 とのシンプルで肯定的な意味で使うケースがもっぱらでした。
その後、他意や含みのある笑いについては (嘲笑)、(失笑)、(苦笑) などといったバリエーションで対応するようになりますが、ほどなくして嘲笑や失笑、苦笑いといったニュアンスを、単なる (笑) が再び強く併せ持つようになります (誤変換当て字 した 藁 であらわしていた時期もあります)。 これはあからさまで攻撃的な 「嘲笑」 や 「失笑」 といった言葉が、とても使いづらかったことが理由にあったのでしょう。
前後して1995年頃から インターネット の時代となると、ネトゲ の影響などから、単に笑えたという意味の 「笑」 をアルファベットの頭文字1字の w などでも表すようになり、カッコつきの (笑) にますます揶揄や嘲笑、ネガティブ な意味が強くつくことに。 中でも (笑) を言葉に接尾して嘲笑・罵倒する スイーツ(笑) との言い回しが2007年頃に大ブレイクし、一気に定着することになります。
(笑) から 笑 がこぼれて…
それからしばらくして、今度は (笑) から 笑 がこぼれてズレた 「()笑」 という書き方が登場。 これは嘲笑や揶揄のニュアンスがより強調された使い方となっていて、爆発的に広まることもないながら、細々と徐々に使う人が増えることに。 さらには、笑だけが改行されて別の行に落ちるパターンも登場。
例えば、
スイーツ()
笑
といった形になりますが、これがそのまま 笑 が省略され、どこにいったかも分からない扱いとなり、ただのカッコだけの言葉、() になったのでした。
一方、唖然として絶句する、言葉を失う、沈黙といった意味で () を使う人も登場。 これは、ほぼ同じ頃に使われるようになった 「」(カギ括弧記号だけで中身がないもの) が、「…」 を省略して使うようになった言葉なので、その別バージョンのような扱いで使うようになっているのでしょう。
ということで、前後の文脈や前後のレスを読んで理解しないと、() が何をあらわしているか、よくわからない場合もあります。