最高・究極・ナンバーワン…「最上級表現」
「最上級表現」 とは、「最高」「最強」「最速」「究極」「ナンバーワン」「日本一」 といった、それ以上が存在しない最上・最高を意味する表現方法のことです。 また 「世界初」「業界最大」「最小」「最安」 といった唯一無二性をあらわす表現も同様に扱われます。 「絶対」「必ず」「100%」「約束」 といった、何らかの絶対的保証を意味する言葉遣いも最上級表現のひとつとされます。
こうした表現は、しばしば広告や PR などで見かけるものですが、客観的な根拠や裏付け、エビデンスが存在しなかったり明確に示されることがない場合は、過大広告や優良誤認を引き起こす不誠実な表現だとして避けられたり、景品表示法で違法性を問われることもあります。
一般的には比較広告の一つであり、まともな新聞や雑誌、ウェブ広告などの媒体では、広告表現におけるガイドラインで禁止・NG とされたり、避けるように表現することが求められるケースが多いでしょう。 逆に云えば、これらを根拠を示すこともなく堂々とうたっている広告は、詐欺やその疑いが極めて高いインチキ商品・サービスの宣伝だと見ることもできます。
根拠があれば使ってもいいとは云うものの…「自社調べ」「謎のランキング企業」
とはいえ 「最高」 や 「ナンバーワン」「絶対」 といった 言葉には強さ があり、広告で使うと効果があったりもするので、広告代理店や広告主は、あれこれ手を尽くしてこうした表現を使いたがるものです。 ありがちなのは 「※自社調べ」 などと小さく註釈を入れて 「根拠は一応ありますよ (ただし自社で調べたので都合の良い結果になってるかもしれません)」 みたいな弁明や釈明、責任逃れを行ったり、民間のシンクタンクや調査会社 (ランキング調査企業) に依頼して、自分たちに都合の良い基準でランキングを作ってそれを根拠にするなどがあります。
一方、広告の地の文で最高やナンバーワンを使わずに、利用者の声などの形で使うこともあります。 例えば 「私にとって最高のサービスです」「やっぱり〇〇はナンバーワン!」 などと利用者っぽい人の意見として大きく掲出し、画面の隅に 「※利用者の感想です」「※効果には個人差があります」 などとエクスキューズを入れる形です。
広告表現でも利用者の声でも、その主張に裏付けがあり、かつ裏付けに客観的正当性があって第三者の確認が可能な形であれば、誇大広告や優良誤認だと批判されることもありません。 例えば日本の最高峰は富士山ですが、その富士山の最も標高が高い位置にある山小屋が 「日本一高い場所にある山小屋」 と表現しても何の問題もありません。 事実であり、誰でもそれを確認できるからです。
しかし 「顧客満足度ナンバーワン」 とか 「日本最安値」「日本最大」 などだと、それを主張するなら根拠が必要です (なので、訳の分からないランキング調査企業のよくわからないランキング結果を根拠としたり、「日本最安値」 ではなく 「日本最安値にチャレンジ」 にしたり、「日本最大」 ではなく 「日本最大級」 みたいな文言にしたりします)。 一般にモラルが低いと思われるネット関係の広告ではこうしたフレーズはよく使われますので、Google や Yahoo! といった広告配信企業では、これら最上級表現は根拠のあるなしを問わず、広告文としておおむね禁止されています。
なお様々な商品やサービスの広告の中でも、医薬品や医療品、食品関係では、とりわけ厳しい規制がかけられています。 人が 摂取 するもので健康被害に直結するためですが、健康食品にせよ医薬部外品にせよ、やたらと最上級表現を使いたがる企業のものは、手にしない方が良いでしょう。 お金だけでなく健康まで失ったら取り返しがつきません。