アイビールックで足元の定番といえば 「ローファー」
「ローファー」(loafers) とは、履きやすさを重視した靴ひもや留め具のないスリッポンタイプ (slip-on/ 足を滑り込ませて履く) の、比較的カジュアルな印象のある革靴のひとつです。 アメリカ文化ではローファーやペニーローファー (penny loafers)、ノルウィージャン・フッシャーマンズ・シューズ (Norwegian Fisherman's Shoes)、あるいはスリッパ (slippers) と呼ばれることもあります。 基本的な形状は同じながら様々なバリエーションを持ち、革靴のスタイルの代表格のひとつと云って良いでしょう。
日本においては中高生用の通学用靴として広く使われている 「コインローファー」 がもっとも有名でなじみのあるスタイルでしょう。 それ以外にも甲の部分に筒状のぼんぼんのような房飾りがそれぞれ2つずつ付いたタッセルローファー、甲や甲のサドル部分に金属製の飾り (ビット) がついたものをビットローファーと呼びます。 いずれもおしゃれで大人っぽいイメージがあり人気がありますが、一方で靴ひもがある他の革靴に比べカジュアルかつ若干華美だとされる部分もあり、社会人が私服で冠婚葬祭に訪れる際は避けるのが無難だとされています。
1920年代前後にヨーロッパで生まれた 「ローファー」
ローファー靴の発祥については、1920年代にイギリスの王室や貴族階級のためのルームシューズとして発案されたもの (ジョージ6世のために制作された、後のワイルドスミス・ローファー (Wildsmith Loafer)、もしくはノルウェーの靴職人がアメリカの靴職人の技術を参考に制作してヨーロッパ中で人気になったもの (アウルランド靴/ Aurland moccasin/ Aurland shoe) との、大きく2つの説があります。
どちらも記録が残っており、現在のローファースタイルの直系の先祖はどちらだという 解釈 の問題だったり、元祖・本家争い的な部分もあります。 ちなみに時系列的にはノルウェーの靴職人であるニルスさんが先んじており、アメリカのモカシン (Moccasin/ アメリカ先住民が履いていた靴と同じ構造) の知識を学んだ上でノルウェーのオーランド地方のモカシン風の靴をベースに考案したとされます。 手軽さからヨーロッパで人気となった後はアメリカを中心に発展し、現在ではアメリカントラッド、アイビー・ルックを代表する アイテム のひとつとなっています。
ちなみに名称の由来についても大きく2つの説があり、靴ひもを結んだり靴ベラを使わずに脱ぎ履きできる簡便な靴という意味で英語の怠け者をあわらす loafer が元になったとする説が一般的です。 一方で1930年代にノルウェーの農夫が作業靴として用いていたことから牛の待機場である loaf から来ているとの説もあります。 この言葉を同様の靴の名称として使い始めたのは、アメリカの革工場スポルティング (Spaulding family) からとなります。
日本の女子中高生の足元を飾る 「コインローファー」
典型的な形状としては側部と底部、およびU字型の甲革によって構成され、甲革と側部がモカシン縫いで縫合されています。 つま先 (トゥ) が丸みを帯びていてつなぎ目が正面と背面のかかとを覆う部分 (腰革 (クォーター) にくるタイプが多く、ヒール部分もさほど高くはなく、シンプルなスタイルが特徴です。 中でもコインローファーと呼ばれるタイプは、日本の通学用靴としてスニーカーなどと並んでもっともポピュラーな存在でしょう。 オーソドックスなスタイルであり、日本では 制服 ともども生徒・学生ならばフォーマルな場でもそのまま使える点も大きなポイントです。
利用シーンにもよりますが 色 は黒や濃い茶色のものが好まれ、材質は基本的に革ではあるものの、日本で中高生らが通学用に使うものについては、人工皮革製の軽くて取り扱いも楽な、比較的安価なものが多いでしょう。 靴底 (ソール/ アウトソール) は滑り止め効果もあるゴム製が一般的です。
日本では1960年代に起こったアイビー・ルックの流行でローファー靴が広く利用されるようになり、通学用として本格的に広く普及したのは1980年代に入ってからあたりです。 とくに都市部の私立高校などから始まったおしゃれな ブレザー制服 へのリニューアルが相次いだ頃には、中高や男子女子問わずもっともよく選ばれる革靴や通学用靴のひとつとなっています。
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