他人の成果を横取り…「アレオレ詐欺」
「アレオレ詐欺」「アレオレ」 とは、他人の成果を横取りしたり、他人の実績を自分の手柄だと吹聴して回るようなズル賢い行動や、それを行う人を批判的に指す言葉です。 「あれは俺がやった」 から、「あれ俺」 となり、「アレオレ詐欺」 となりました。 詐欺を略して、単に 「アレオレ」 と呼ぶ場合もあります。
言葉としては2010年夏頃から Twitter (ツイッター) などのつぶやき、ネット で良く見かけるようになった表現です。 元ネタ としては、いわゆる 「オレオレ詐欺」 の名称パターンを使った派生語の一つで、初出がいつどこでなされたのかは分かりませんが、2010年8月25日頃からツイッターを中心に急速に広まり (「あらゆる業界に蔓延する「アレオレ詐欺」にご注意」 が直接の発端)、それを取り上げたネットメディアの紹介 (やじうまWatch/ 「あれは俺がやった」=「アレオレ詐欺」が新語として急速に浸透中」) で、掲示板 などその他の場所にも伝播。
なお対義語は、「アレカレ」(あれは彼がやった) や 「アレダレ」(あれは俺以外の誰かがやった) で、逆に自分の失敗や失敗の原因を他人に押しつけること、責任転嫁して言い逃れることは、「アレオマエ」(あれはお前のせいだ)、「アレオレじゃない」(あれは俺のせいじゃない) などと呼びます。 ただし 「アレカレ」 を 「あれは彼のせいだ」 で使う場合もありますし、「アレオマエ」 を 「あれはお前のおかげだ」 で使う場合もあるので、判別は難しいです。
「○○詐欺」 が派生した 「アレオレ詐欺」
「オレオレ詐欺」 のパターンを使った言葉はこの種の事件が多発して大きな話題となった2003年頃から出始めていて、様々なパターンがありました (ただし定着したものはあまりない)。 その後2004年に 「オレオレ詐欺」 から 「振り込め詐欺」 と警察での呼称が変更になりましたが、こうした言い回しはネットの世界ではむしろ増大。 2006年には難病児募金を揶揄した 「死ぬ死ぬ詐欺」 なども生まれています。
この頃、他人の手柄を横取りすることは 「○○はワシが育てた」(星野仙一さんの 「大半の (中日の) 選手は私が育てたんだもの、力のある連中ばかりだよ」 に由来) などと呼ばれていましたが、こうした言い回しが減ってきた頃に現れ、使い勝手が非常に良いのが 「アレオレ詐欺」 だったのでしょう (こちらに引っ張られる形で、逆に 「ワシワシ詐欺」 なんて言い回しも。
「アレオレ詐欺」 が広まる中で…
この頃に 「アレオレ詐欺」 や 「アレオレ」 という言い回しが広まったことについては、従来の日本型の雇用体系が崩れ、年棒制の導入などにより個々人の業務上の成果が人事査定や給与査定などに大きく響く時代になったからとも云われます。
しかし 「他人の手柄を横取りする人」「他人に手伝ってもらいながら、いざ成功すると自分一人だけの手柄のように誇示する人」 などは昔からいましたし、そうした人は一時は上司や周りの事情を知らない人から評価されても、長い付き合いのうちには本性が露わになり、信用を失い笑われていたものでした。 また手柄横取りまではいかないけれど、自分が関わった仕事やプロジェクトを第三者に説明する時に、つい自分の貢献度を少し水増しして語るなどは、誰にでも大なり小なり身に覚えのあることでしょう。
本来はこうした自己申告の 「アレオレ」 を、上司なり取引先なりが正しく判断し、適正な評価を与えれば問題はないのでしょうが、終身雇用の時代と異なり転職が当たり前の時代となると、なかなか目が行き届かないこともあるのでしょう。