フリフリ可愛い女の子服の定番 「フリル」
「フリル」（Fringe） とは、布の端に緩やかな プリーツ （折ひだ） を寄せる立体的な装飾技法のひとつです。 ひだ飾りと呼ぶこともあります。 一般にプリーツでイメージする規則的ではっきりした折り目がつくことはなく、不規則でふんわりした波打つギャザーのような仕上がりで、現代にあっては主に女性用の衣服の襟や袖口、裾などに用いられます。
同じような言葉にラッフル （Ruffle） があります。 フリルとの違いはさほどないものの、ひだの幅が広く全体が大きくうねるようなものをラッフル、狭いものをフリルと呼んで区別する使い方が多いでしょう。 その極致とも云えるのは、昔のヨーロッパ貴族の肖像画などによくある、首元に着けた襞襟 （分厚いシャンプーハットみたいな白い輪のような飾り） ですね。
フリルは花柄や リボン といった少女っぽく乙女チックな装飾の代表であり、現代でも可愛らしく華やかな印象のあるガーリー系や ロリータ・ゴスロリ・メイド服 などで必須かそれに近い使われ方がされます。 普段着使いできる気取らない質素な服でも、袖口やスカートの裾にアクセントとして軽くフリルをつける装飾はポピュラーです。 あるいは大人っぽい装いでは夜職の女性なども良く身に着け、女性向け ファッション を象徴するもののひとつとなっています。
服それ自体になくとも、髪 をまとめたり手首に着けるシュシュ、手袋の開口部の縁や髪飾りの カチューシャ などに施されたフリルを用いて、同様のファッション効果を得ることもできます。 またパジャマやネグリジェ、パンツ といった下着類など、他人に見せることを想定しないような服飾品に施されることもあります。 フリルは衣服の開口部につけられることが多いので、パジャマ用途などでは冷え防止にも役立ちますし、起き抜けの衣服の乱れをそれとなく隠す効果もあります。 装飾だけでなくある程度の実用性もあり、かつ幅や折り目の深さなどで子供っぽくも大人っぽくもアレンジ自由なのがフリルやラッフルの良いところでしょう。
王侯貴族のシンボルから女子のおしゃれ着へ
装飾としてのフリルは歴史も長く、とくにヨーロッパの王侯貴族がその地位を象徴するために用いるケースが多いものでした。 男性の場合は主に トップス の胸元や袖口、女性の場合はそれらに加えて スカート などの ボトムス の裾にあしらっていました。 それぞれの生地に直接フリル加工を施す場合もあれば、フリル加工がされたレース生地などをあしらうこともあります。 とくにレースは生産に高い技術と時間を要し、富の象徴といった ニュアンス があり、それをふんだんに用いた豪華な礼装は身に着ける者とその一族の権力の象徴でもあります。
日本では明治時代に西洋文化を導入する中で、指導者層や富裕層がヨーロッパ風の貴族制度や文化を取り入れる形で用い、明治中期のいわゆる鹿鳴館時代の中で西洋と同等の意味付けがされるようになります。とはいえ日本には日本の伝統文化に基づく格式がありますから、あくまで西洋化が推し進められる中で、象徴的な位置づけや対外的なイメージ戦略として用いられるケースが多かったでしょう。 もっとも舶来の新しく華麗なファッションは伝統的な日本装束とはまた異なる魅力がありますし、その美しさに心を奪われ家が傾くほどの散財を繰り返す貴婦人などもいたようです。
大正時代に入ると日本の政治家や貴族・華族ら上流階級の間に広く普及し、高価なレースを用いたものはともかく、フリル自体は昭和初期までには比較的富裕な庶民にもその一部が取り入られます。 その後は戦争もあり華美でいかにも西洋風な装いであるフリルは世の中からいったん消えることとなりますが、戦後復興の中で欧米文化を受容する中、主に女児のおしゃれ着に用いられるようになります。
この頃の女子の 定番 のスタイルと云えば、赤い 吊りスカート にフリルつきのブラウスや、同じくフリルのついた ワンピース でしょう。 一部のお金持ちはともかく庶民の多くが貧しかった時代、よそ行きの一張羅としてしばしば 母親 による手作りのフリフリした服が人気となっていました。
手作りの場合、ハギレ （端切れ） を用いて作ることもできますし、首や袖口などをゴムによって絞る際に布の乱れを隠す効果もあります。 他のプリーツがそうであるように、衣服だけでなく、カーテンや家具・道具類のカバーなどなど、あらゆる布製品で使えるのも便利です。 またその意匠を取り入れる形で、陶磁器に同様の処理を施すこともあります。
 |  |  |  |  |
関連する同人用語・オタ用語・ネット用語をチェック
 |
