こんなの〇〇作品じゃない! 「規範批評」
「規範批評」 とは、創作物を評価する際に、作品 それ自体が持つ 物語 の面白さとか技術的な巧拙だけを分析・批評するのではなく、その作品が含まれるであろう ジャンル における規範、あるいは創作においてしばしば普遍的な正しさとか理想敵と思われる形式や様式、構造に基づいて批評・審美判断をすることです。
例えば 軍事 を扱った マンガ や アニメ、映画があったとして、それが旧来の軍事作品の様式やセオリーに沿って作られているか、表現内容に規範に対する配慮や リスペクト があるかどうかを判定するといった見立てがあります。 軍事ものに求められる お約束 を守り、「これぞ戦争映画だ」 みたいな魅力を過不足なく持っているかどうかですね。 もしそれがなければ、例えその作品がどんなに面白くても 「軍事ものとしては失敗」「評価に値しない」 みたいな判断がされることもあります。
また創作全般に対する規範でば、例えば物語が起承転結できれいにまとまっているとか、テンポが良く分かりやすいかどうかとか、適切な前振りや 伏線 が配置され、それがちゃんと機能して 回収 されている、作品として破綻せずしっかり作られているなどが批評の対象となります。 歴史ものやドキュメンタリー要素のある作品なら、事実の描写にきちんとした考証がされているかどうかも大切でしょう。
こうした 「守るべき規範」 だけに着目する批評は、それはそれで 予定調和 に満ちたありきたりの平凡な作品を高評価しがちになる問題もあります。 とはいえどんな創作物も前例や過去の作品群が積み重ねた 「型」 にある程度は依存して作られますし、それに対して正当な評価を与えるのは、創作の進化のためにも必要です。 作品解釈 の精度も含め、ただの 感想 などとは違う意義が、優れた批評にはあると云えるでしょう。 また優れた批評は元となった作品を再評価し、ある意味で再創造するものでもあります。 それは優れた作品を後に生み出すきっかけにもなります。
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