面倒な先輩に捕まりそうだから逃げてきた… 「ブッチ」
「ブッチ」 とは、ぶっちぎる (打っ千切り/ 仏恥義理) という意味です。 紐状のものを引きちぎるといった意味の他、振り切るの強調表現として競争でライバルを突き放すといった意味でも使います。 後者はもっぱら不良やヤンキー、とりわけ暴走族 (珍走団) らが使うケースが多く、バイクやクルマで疾走して相手をぶっちぎる、例えば 「パトカー (パーカー) をぶっちぎって逃げた」 みたいな使い方となります。 「ブッチした」 の他、「チギる」「チギッた」 みたいに表現する場合もあります。
これが転じて、約束を破る、予定や時間を破る、何かを スルー (無視) するといった使い方もします。 例えば学校の午後の授業をブッチした、親の説教をブッチして遊びに出た、みたいな使い方です。
1980年代の不良・ヤンキー・つっぱりブーム
「ぶっちぎる」 という言葉自体は 普通 の日本語ではありますが、若者の間で盛んに使われるようになったのは1970年代から1980年代にかけてで、不良・ヤンキー・つっぱりブームとともに広まっています。 とくに影響が大きかったのは、1980年にデビューしたロックバンド 横浜銀蝿 (THE CRAZY RIDER 横浜銀蝿 ROLLING SPECIAL) のヒット曲 「ぶっちぎりRock'n Roll」(デビューシングル 「横須賀Baby」 のB面) やそれを含めて同時発売されたファーストアルバム 「ぶっちぎり」 でしょう。
この楽曲が登場する以前から不良たちの間で 「ぶっちぎる」「ぶっちした」「ちぎった」 といった言い回しはされていましたが、一般層にまで急激に広めたのは、このバンドの存在と、不良やつっぱりを描いたテレビドラマ、マンガ などの影響でしょう。 当時は不良やヤンキー、つっぱりが若者の間で一定以上の存在感を持ち 「かっこいい」 とされた時代だったこともあり、いずれも大きな話題となっています。
なお似た言葉に 「かっとび」(羯徒毘) があります。 こちらはバイクやクルマを猛スピードで走らせることで、「かッとんで来い」(いますぐ来い) みたいな使い方をします。