同人用語の基礎知識

流し

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レスやコメントをどんどん流す 「流し」

 「流し」(流す) とは、液体や人・物の移動を起こすこと、動かしてどこかに移したり広めたりすることです。 水を流す、行列の人を流す、音楽を流す、噂を流すといった様々な意味で使われます。 一つの場所に留まらず渡り歩くといった使い方もあります。 繁華街で を求めて走り回る流しのタクシーとかですね。 飲み屋街でギター片手に店を渡り歩き、即興の演奏を披露する流しも有名ですが、こちらの場合はもっと古くからある座敷芸としての三味線弾きを奏法の一つである流しから転じてそう呼ぶようになり、楽器を携えて店や部屋を渡り歩くという似たイメージから転じられて使うようになったもののようです (諸説あり)。

 一方 ネット の世界においては、何らかの理由により特定の レスコメント、あるいはそれらが 書き込まれた 掲示板スレッドチャット などの閲覧性を悪くするため、新しい書き込みをどんどん行って 「それ以前の書き込みを押し流してしまうこと」 です。 「流し行為」 の他、それぞれ 「レス流し」「コメント流し」 などと呼ぶこともあります。

 例えば掲示板のスレなら、問題のあるレスを流してしまうためにそのレス自体は スルー しつつ、ことさらに新しい書き込みをしたり、場合によっては無関係な 雑談 などを埋め立てるように書き込んで問題レスをどんどん古い方へ古い方へと押し流します。 一般に掲示板などは、新しい書き込みが新着として一番目立つ場所に デフォルト で表示 (初期表示や上位表示) されるケースが多いため、新規 の書き込みが多ければ古い書き込みは相対的に見つけにくい位置 (次 画面 や下位) へと流れていきます。 もちろんレス自体が消えるわけではないので、レスを遡って表示したり 全レス の表示を行えば見ることができてしまいますが、初期画面でいきなり誰の目にも入る状況よりはマシな状態になると云って良いでしょう (ログ管理を行わないチャットや一部の書き捨て系の掲示板の場合は、完全に消えることもあります)。

 また掲示板やスレッドなどは、あらかじめ 設定 された最大書き込み数 (レス数や文字数) が定められ、それを超えると書き込みが不能となって過去ログ送りになることもあります。 この場合も過去ログを辿れば見つかってしまいますが、現行のスレでそのままで見られる状況よりはマシでしょう。 インターネット の公開された掲示板などの場合、検索エンジンなどから発見されデータに反映される前に問題のスレを 落とす ために、かなり強引に埋め立ててしまうこともあります。

悪意・荒らし行為としての流しと、善意の流し

 流し行為は悪意によるものと、善意によるものがあります。 悪意の場合は理由もシンプルで、自分に都合の悪いレスがついたので流したい、他の人に見られたくないから落とすといったもので、一般的には 荒らし行為 と認識されます。 みんなで使っている掲示板などに訳の分からないレスや コピペ爆撃 のように 連投 して潰すのですから、これは当然です。 当たり前の話ですがそのスレの 住人 からは非常に嫌われ、隠したいレスやスレを当てこすりで逆に 拡散 されてしまうこともあります (消したら増える)。 まぁそれでも、うっかりミスで ローカル で作成中の文章の一部を誤ってコピペしてしまったみたいな状況だと、板によっては他の参加者も流しを手伝ってくれるような状況もあったりしますが。

 一方で善意の場合は、個人情報の書き込みとか名誉棄損・誹謗中傷・犯罪予告や脅迫といった違法な書き込みの拡散を防ぐためや、ブラクラ やグロ画像・動画 といった 精神的ブラクラ、あるいは ウイルス につながるような URL や リンク といった有害な書き込みに引っかかる人が出ないように隠す意図があります。 これは個人情報を 晒されて いる被害者に対する配慮や他の参加者、ひいては場を守るための場合もあれば、ついカッとなって 問題発言をしてしまった人のレスなどを、水に流して 「なかったこと」「見なかったこと」 にしてあげるといった場合もあります。

 流し行為自体のもっとも初期のそれは、パソコン通信 時代のチャットや一部の 壁掲示板 などでしょうか。 これらの場では過去ログや過去発言をいちいち 保存 しない、消えた後にその話題に触れるような野暮な真似はしないといった振る舞いや阿吽の呼吸が お約束マナーネチケット のように 認知 され 共有 されていました。 だからこそ、表向きは書き込めないような危ない情報なども書き込める無礼講的で自由な解放区 (一方で違法行為の温床) として機能したり存在価値があったのですね。

 なおシグやフォーラムといった場にある正規の掲示板などの場合は、アクティブな 管理人 がいてある程度しっかりとした管理もされていたので、問題・有害レスはあらかじめ定められた手続きに従って比較的速やかに削除されています。 2ちゃんねる などの匿名掲示板にありがちな削除要請が通りにくいといったこともなく、流す必要はあまりありませんでした。 利用者も自分の実名や住所、ID を管理側に開示している コテハン ばかりのような状況で、結果として TPO をわきまえた 「大人」 が比較的多かったという部分もあります。

ツイッターなど拡散力の強い SNS における流し行為

 こうした行為は極めて 拡散力 の強い ツイッター といった SNS などでも行われます。 自分や自分を フォロー している他人の タイムライン において、特定の ツイートリプ を流す目的で連投するなどが代表的です。 自分の書き込みなら自分で消せばいいのですが、消したら消したで 「なぜ消した」 と逆に注目を集めたりするので、何とか流して人目に触れないようにしようという訳ですね (巻き込まれる人はかなり迷惑ですが)。

 一方、掲示板やチャットと違いツイッターなどの場合は、注目を集める話題のキーワードをトレンドといった形で無関係の利用者にも表示したり、ファボRT がされて バズ った投稿をおすすめとしてピックアップ表示するなど、不特定多数の第三者が容易に辿りつけ、一層の拡散を促す性質があります。 これを利用者側から制限するのは現実的に不可能です。

 この場合は、トレンド入りしたキーワードと同じか似たようなキーワード、あるいは ハッシュタグ などを使って、無関係なツイートや画像・動画などを投稿して埋もれさせる行為も行われます。 例えば個人情報とか リベンジポルノ のような名誉棄損・人権侵害な書き込み、グロやそれに近い画像や 動画 (事故とか暴行・殺害とか自殺とか) がバズったら、無関係な猫の画像などを同じキーワードを使って投稿し、うっかりクリックしても 「まぁまぁ、うちの猫でも見てくれや」 みたいな投稿だらけにして一覧を埋めてしまうのですね。 ある意味、善意の バーボンハウス みたいなものです。

 個人情報の拡散は、拡散された人に大きな精神的苦痛を与えますし、グロ画像・動画は、見た人に トラウマ を植え付けることにもなるでしょう。 それでもどうしても見たいという人が探して見ることを止めることはできませんが、トレンドを見ようと軽い気持ちでクリックやタップをしたらいきなり出てきてしまう状況だけは、流しや埋もれさせによって回避することができるでしょう。

 個人的には古き佳きネット黎明期文化の継承による思いやりだと感じますが、その一方で、流しや埋もれさせ行為が肯定される文脈で、すでに十分流れている状況でありながらもことさらに流し投稿をする人は、自分をアピールして 承認欲求 を満たしたり売名のための便乗だと批判されることもあります。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2005年9月29日)
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