推しを楽しむ、応援する 「推し活」
「推し活」 とは、おたく や 腐女子 が自分の好きなアイドルや声優といった芸能人、あるいは マンガ や アニメ、ゲーム といった 作品、そこに登場する キャラクター に対して様々な楽しみ方や応援を行うとの意味の言葉です。
おたく・腐女子の 趣味・娯楽活動を オタ活 などと呼びますが、そのうちでもとくに好きな対象 (推し) に強くフォーカスした活動を指す言葉であり、同じような意味で 「推し事」(お仕事の 誤変換当て字) と呼ぶこともあります。 いずれの場合も、もっぱら若い女性の間でよく使われる言葉だと云って良いでしょう。
とりわけ 「応援」「支援」 のニュアンスが強い 「推し活」
基本的な活動内容はオタ活と同様で、元々 「推し」(担当) がアイドル関係から広がった言葉なので、ライブやコンサートなどの イベント に参加して 現場 で応援する、仲間同士の 萌え語り で盛り上がるといった ニュアンス が強いものでした。 ファン の間で推しの 概念 が強い Vtuber (バーチャル ユーチューバー) などもその傾向が強いでしょう。 その後はアニメやゲーム、マンガ や ラノベ を楽しむ、ネット で情報を収集したり発信したり、推しの グッズ を買うなど、「推し中心のオタ活」 あるいは 「オタ活の言い換え」 といったより広い言葉としても使われるようになっています。
とりわけライブやコンサートといった現場への参加や、会場 でのライブ記念グッズの購入、CD や DVD、BD といった音楽映像媒体の購入、ゲームなら推しのために ガチャ に 課金 など、「お金を使うこと」(お布施) が比較的重視されるかもしれません。 もとよりオタ活でもその他の趣味でもお金や時間はかかるものですが、とりわけ 「推し活」 の場合、ご贔屓のタレントや作品を自分たちファンが経済的な部分も含めて支える、支援する (買い支える) といった意識が強いのは、その他の 「〇〇活」 とは若干異なるかもしれません。
元々芸術・芸能関係では、金銭に余裕のある人 (タニマチ/ 後援者) が経済的にタレントや芸人を支えるという文化が昔からありましたし、音楽のヒットチャートにお気に入りのアーティストをランクインさせるためにレコードや CD を大量買いする、リクエストや人気投票に大量投票する、友人知人らに ご本尊 の魅力を伝えて 布教 する、ステマシート を作って発表するなどはファンの活動のありふれた形として 認知 されています。
おたくや腐女子 界隈 では、まだ駆け出しで無名のアーティストや地下アイドルと呼ばれるようなマイナーな存在を熱心に応援する人も少なくないので、自分が負担できる範囲で好きなものを応援するというのは、あまり違和感がない楽しみ方なのかもしれません。 またこれは裏を返せば、エンタメ などは人気がでないとすぐに消えてしまう儚いものだという危機感が、ファンの気持ちの裏側にあるということでもあります。
2020年の新型コロナウイルス蔓延で 「推し活」 が注目を集める
この 「推し活」 という言葉が、一般の大手メディアも含めて社会全体で大きな注目を集める状況が起こります。 2020年初め頃から世界中で猛威を振るった新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に伴う、様々な規制と自粛の 雰囲気 です。 日本でも感染拡大阻止が急務とされ、都道府県ごとに自粛要請がでたり、4月7日からは人の移動や接触を減らすための強い自粛要請を伴う緊急事態宣言も発出されました。
不要不急 の外出を避ける、人が集まることで生じる 密 や 濃厚接触 を防ぐ、マスク をして大声で話さないなどの呼びかけが官民からなされる中、ライブやコンサートといった一か所に大勢の人が集まって楽しむタイプの娯楽は忌避されたり批判され、様々な予定がキャンセルされたり、オンライン や無観客での開催を余儀なくされることに。 ライブなどを楽しみにしていたファンが落胆するのはもちろん、業界とそこで働く人たちは、精神的にも経済的にも非常な苦境に立たされることとなりました。
こうした世相の中、自宅で楽しめるアニメやゲームといった コンテンツ への 需要 が高まり市場が拡大する現象を 「推し活需要」「推し消費」 などと呼んだり、ステージや舞台が次々に中止され苦境に立たされるエンタメ業界への支援を呼び掛けたり、積極的にお金を使って少しでも応援しようという輪も推し活の一環として広がる状況も生じました。
これらメディア報道の拡大などもあり、ネットでも推し活が様々な形で触れられ、認知度が急上昇。 2021年の新語・流行語大賞にも 「推し活」 がノミネートされています。