明るく優しく巨大にゴージャスに… 「盛る」
「盛る」 とは、嵩を増すこと、量を増やすことです。 ご飯をたくさん盛り付けることを大盛と呼びますが、これと同じ 普通 の日本語です。 一方、2000年代に入って主に若い女性たちの間で、華美でゴージャスな髪型を 「盛り髪」 と呼ぶようになり、ここから派生する形で派手目のメイクや魅力・長所を大きく伸ばす様、あるいは盛り上がって楽しむ、感情を乗せるといった ニュアンス も付与されて使われるようになっています。
元々盛り髪は、キャバクラや水商売の女性、ギャル やその系譜にあるような、派手目で女性っぽさを強くアピールする若い女性の間で使われるようになっています (発端は名古屋の通称 「名古屋巻き」 とも)。 こうした女性たちのファッション・ヘアカタログ誌として人気を博していた 「小悪魔ageha」 にて提唱され、夜の街で働く女性の様々なファッション、とくに髪型を紹介する中で、髪に緩やかなカールをつけたりゴムやヘアピンで髪を捲き上げるなどして派手に大きく盛り上げたものを指していました。
1990年頃のカリスマ美容師ブーム、1995年頃の安室奈美恵さん人気を発端とするアムラーブームとギャル文化誕生を経て 茶髪 はすでに一般層にも広がっており、その後の浜崎あゆみさん人気を経て 金髪 といったド派手な 髪色 も一定の範囲で広がっていました。 誌面ではそこまで派手ではない街中でも使えそうなものから頭に金色のバベルの塔が建っているようなものまで紹介されるバリエーションは様々ですが、アレンジの一部 (例えばスジモリ (髪の毛 をたくさんの細い束にして筋状に浮き上がらせたもの) のように、男性が取り入れるようなものもありました。 なおその極致としてよく話題になるものに昇天ペガサスMIX盛りがあります。
ギャル語としてすっかり定着した 「盛る」
当初は髪型やメイクといったファッション関連で使われていましたが、その後はそれ以外のものにも伝播。 元々 「話を盛る」 といった使われ方はしていましたから初見でも意味がすっきり通り、使いやすかった部分は大きいのでしょう。 以降は ネット などでもよく使われるようになり、2009年度 「ネット流行語大賞」(ガジェット通信主催・ニコニコ動画協力) の携帯部門の金賞に 「盛る/盛れる」 として選出されています。 ちなみに銀賞は 「ガチで」 でした。
なお2010年代に入り、インスタグラムなどの SNS が人気となると、写真撮影をしてネットに 投稿 することを前提とした 映え という表現も広がっています。 意味や使いどころは異なりますが、感覚的には近い表現だと云えるかもしれません。