俺はお前たち凡人とは違うんだ…! 痛々しい 「逆張り」
「逆張り」 とは、常に周囲や一般論の反対側の意見を主張する人、世間で評価されているものを批判し、批判されているものを評価し、自分が特別な人間かのように見せかけるために常に少数意見の側に立つ人のことです。 こうした傾向を持つ おたく は、とくに 「逆張りオタク」 と呼びます。
同じような言葉に、逆目押しや天邪鬼、つむじ曲がり、へそ曲がり、ひねくれもの、あるいは おたく用語 としての 中二病 (厨二病) などがあります。
言葉としての 「逆張り」 それ自体は元々は経済や投資の世界で使われているもので、相場が上昇傾向の時に売ったり下落傾向の時に買うような、市場の流れや人気に逆らい、反対方向の売買をする取引手法やそうした人を指すものでした。 この場合の対義語は 「順張り」 となります。
特別な人アピールでマウントを取る逆張り
投資方法としての逆張りはともかく、おたく用語としての逆張りは、背伸びしがちな思春期特有の自己アピールだとみなされることが多いでしょう。 「俺は周囲に流されるお前たちとは違う」「ちゃんと自分の頭でものを考えられる人間だ」 というのをアピールするために、流行っているものに背を向けたり批判したり、みんなが嫌っているものを好きだと主張して 「特別な人間」「個性的な人間」「本質を見抜く目を持つ人間」 を演じるわけですね。
当たり前の話ですが、周囲と異なる意見を述べれば、もうそれだけで目立つことができますし、他人が評価しているものを批判し下にすることで マウント を取り自分のポジションが周囲より高いかのような 雰囲気 を醸し出すこともできます。 ネット で逆張りの意見をすれば、場合によっては 炎上 し大きな注目を集められますから、炎上マーケティング として逆張りを繰り返しているような人もいます。 何度もやっているうちに本人もだんだんその気になってきて、「自分は特別なのだ」 と思い込んだりすることもあります。
もっとも、子供の頃ならそれにあっさり騙されてくれる友人も周囲に何人かはいるのかもしれませんが、ある程度の年齢になれば 「あいつ何でも批判ばかりだな」「ただの天邪鬼だ」 というのを看破されて相手にされなくなってしまうでしょう。 ましてそれがネットでのことなら、その世界の専門家や当事者も存在し、事実誤認を指摘されたり痛烈な批判を浴びて恥をかくこともあるでしょう。
逆張りが正しいことも…逆張りはハイリスクハイリターン?
単に少数派だからという理由だけで逆張り扱いするのも、それはそれで偏狭でおかしな話でしょう。 一般論や多数派意見が常に正しいわけではありませんから、逆張りこそが正しかったというケースだってあります。 この場合は 「真実を見抜いた数少ない人間」 となり、評価が急上昇する場合もあります。
多くの人から支持される識者や論者は一般大衆とは異なる独自の視点や分析ができるから注目され支持を得ているわけで、空気に流されて周囲と同じ意見や現状肯定しか云えないなら価値がないと判断されるかも知れません。 単なる逆張りならばいずれは化けの皮が剥がれてしまうのでしょうが、テーマ やタイミングによっては正しい意見となる場合もありますし、ハイリスクハイリターンの博打的な言論だとも云えるかもしれません。
なお意図的に逆張りを狙うにせよ、あるいは自分の主義主張が結果的に世間の意見と逆向きになるにせよ、逆張りの結果それが外れるようなことを何度も繰り返す人を、とくに ネットスラング で 逆神 と呼びます。