同人用語の基礎知識

花背景/ 花背負い

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立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花… 「花背景」

 「花背景」(背景花) あるいは 「花背負い」「お花畑演出」 とは、少女漫画などでしばしば用いられる画面演出のひとつで、キャラ の背景に 薔薇百合、桜といった花やお花畑、花びらなどが使われることです。

 実際にキャラが花束を持っているとかお花畑にいる場合は、花背景とは呼ばない場合が多いのですが、そうした シチュエーション にキャラを置く時点で、同じ画面効果を意図したものだと見做す方が多いでしょう。

 マンガ におけるこれら画面演出手法は単純にキャラや画面を美しく飾るという意味もありますが、もっぱらそのキャラの魅力や特徴を際立たせたり、作中でそのキャラを見ている別のキャラ (主人公) の心理描写の一つといった用途が多いでしょう。 すなわちキャラの美しさを花で盛り上げて際立たせたり、主人公にとって憧れや好意を持つ相手がまるで花をまとっているように美しく見えているのをあらわすというわけです。 場合によっては花が開く、花びらが舞い散る、花が萎れる、花が砕けるなどで、喜びや驚き、落ち込みなどの心理状態をより明確化するための描写の一部とすることもあります。

 似たようなものに 「万華鏡背景」「万華鏡演出」 といった言い方もあります。 こちらも 「花背景」 同様に、背景にまるで万華鏡のような美しい模様や紋様が使われている状態を指します。

画面効果と心理描写

 少女漫画を初めて見た人がしばしば違和感を覚える演出が、この 「花背景」 でしょう。 別にお花畑やお花屋さんにいるわけでもないのに、突然背景に花が出てくるのはおかしいと感じたり、それがもっぱら少女漫画に特有の表現・お約束 だったりもしたので、それ以外の ジャンル の作品でも、ある種の ネタパロディ として大げさに花を配置するようなギャグも少なくありません。

 もっとも、マンガで登場人物が衝撃やショックを受けた時に背景に雷や火花を配することはあらゆるマンガ表現に登場しますし、落ち込んだ時に背景を暗くする、強さや怒りを仮託する対象として爆発や竜や虎を配するなどもありますから、ことさらに 「花背景」 が特徴的で独特な演出というわけではありません。 とくに日本を舞台とした日本の作品の場合、桜はあらゆる作品で特別な使われ方をするケースが多いものです。

花背景に限らず、画面演出には様々な 「お約束」 が

 こうした 「物語の舞台には存在しない何か」 を背景に配置して画面を飾ったり心理描写をする、象徴性を表現するなどは、マンガ以前にも世界中の絵画表現で見られ、また無声映画時代の映画などでも見られる、ある程度普遍的なものです。 映像作品における BGM もそうですが、創作物全般における基本的なテクニックの一つに過ぎないともいえ、ことさらにマンガにおける原点やルーツを探る営みは、もしかしたらあまり意味がないことなのかも知れません。

 ちなみにこうした表現は 「わざとらしい」「ベタすぎる」 と感じられるケースも多いのか、時代を下るにつれ、少しずつ減って来ているようです。 確かにわざとらしいし使われすぎて陳腐なイメージもありますが、マンガなどは記号の集合体でもありますし、文字通り華のある画面となり見て美しく感じられますし、あまり減って欲しくないなぁ…などと思ったりします。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2005年10月12日)
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