性的搾取を許さない、女性の人権確立を目指す法制定に関する請願
参議院サイトで閲覧できる請願情報 |
480人が署名し、第176回国会 (2010年10月1日〜)、参議院法務委員会にて付託が予定されている 「性的搾取を許さない、女性の人権確立を目指す法制定に関する請願」 の情報です。
内容は女性の性的搾取 (売春) について、現行法では売春婦側 (売った側) のみが罰せられ客側 (買った側) が罰せられないのは 「野放し」 で不当であること、行政や法律上の売春を防ぐための取り組みや、DV (ドメスティック・バイオレンス/ Domestic Violence/ 家庭内暴力) や性暴力への取り組みが不十分であるとし、これを改善するための法整備 (女性の人権侵害問題に迅速に取り組む仕組みを整備したり、強姦罪の罰則の引き上げなど) を行うよう求めています。
ただしそれに付帯して、「(五)女性に対する強かんや性暴力を描くビデオゲームやマンガの販売を禁止すること」 という内容があり、相変わらず被害者のいる犯罪の規制強化と抱き合わせの形で、被害者など存在しない架空の ゲーム や マンガ や アニメ などを一緒くたに規制せよとの歪んだ内容となっています。 性暴力の定義も請願中にはありません。
請願内容 |
また 児童ポルノ法 の 単純所持の禁止 をはじめ、表現規制に対して中立的な立場から強く反対を表明していた社民党の福島みずほ議員が、今回、表現規制を盛り込んだ形になっていながら、紹介議員として名を連ねています (類似の請願はかねてから存在していましたが、表現規制が盛り込まれたのは今回のみで、好意的に見れば、議員が内容をよく把握していない可能性もあります)。
一方、これまでこの種の規制に熱心であった自民党や公明党の議員からのものではなく、慎重な立場を取っていた民主党や共産党などがこぞって名を連ねている点も特徴となっています。
「請願」 は、付託・提出されてもそのまま法律案としてまとまるケースは極めて稀で、そもそも審議すらされずそのまま消えてゆく程度のものなのですが、署名を集め、議員に働きかけるのは大変な労力が必要ですし、何らかの意図を持つ団体が積極的に動いているということなのでしょう。 何か新しい力が表面では見えないところで働いているのでしょうか。 注目すべき動きです。
参議院第176回国会 法務委員会付託
請願名「性的搾取を許さない、女性の人権確立を目指す法制定に関する請願」の情報
件名 | 性的搾取を許さない、女性の人権確立を目指す法制定に関する請願 | |||||
新件番号 | 145 | 件数 | 10 | 署名者数(計) | 480 | |
受理番号 | 紹介議員 | 会派 | 受理年月日 | 付託年月日 | 結果 | |
145 | 糸数 慶子 | 無所属 | H22.10.21 | H22.10.29 | ||
146 | 糸数 慶子 | 無所属 | H22.10.22 | H22.11.5 | ||
193 | 谷岡 郁子 | 民主 | H22.10.25 | H22.11.5 | ||
201 | 糸数 慶子 | 無所属 | H22.10.26 | H22.11.5 | ||
254 | 福島 みずほ | 社民 | H22.11.2 | H22.11.12 | ||
258 | 大河原 雅子 | 民主 | H22.11.4 | H22.11.12 | ||
264 | 大河原 雅子 | 民主 | H22.11.5 | H22.11.19 | ||
269 | 大河原 雅子 | 民主 | H22.11.9 | H22.11.19 | ||
273 | 田村 智子 | 共産 | H22.11.10 | H22.11.19 | ||
287 | 紙 智子 | 共産 | H22.11.10 | H22.11.19 |
参議院第176回国会 法務委員会付託
請願名「性的搾取を許さない、女性の人権確立を目指す法制定に関する請願」の内容
新件番号 | 145 | 件名 | 性的搾取を許さない、女性の人権確立を目指す法制定に関する請願 |
要旨 | 一九五六年に成立した売春防止法は、「売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものである」という基本的な視点に立脚して制定された。公娼(こうしょう)制度を否定した法律として、当時としては画期的な法律とうたわれたが、五〇年以上たった現在、売春女性のみを罰し、買春男性は野放し状態であること、婦人相談員を都道府県知事や市長が社会的信望と職務を行うに必要な熱意と識見を持っている人に委嘱し、非常勤であるとしていることなどの問題点がある。二〇〇九年七月の国連女性差別撤廃委員会からも、女性のみの罰則問題は改正することを勧告されている。(一)DVや性暴力など、あらゆる暴力に「女性の人権侵害」として取り組むこと。(二)保護命令の発令を迅速化すること。二四時間無料のホットラインを開設すること。(三)移民女性及び弱い立場の女性たちに対して質の高い支援を行うこと。(四)刑法において性暴力犯罪が被害者の告訴を訴追の要件とする規定を削除すること。性暴力を女性の権利を侵害する犯罪とすること。強かん罪の刑罰を引き上げ、近親かんを犯罪として規定すること。(五)女性に対する強かんや性暴力を描くビデオゲームやマンガの販売を禁止すること。 ついては、女性の性を人権ととらえ、女性福祉の拡充強化を目指して、売春防止法の改正ではなく、女性の人権を確立するための新たな法体系を立てられたい。 |