嫌いな人と同じ趣味・同じ好み・同じジャンル… 「趣味被りのジレンマ」
「趣味被りのジレンマ」 とは、大嫌いな誰かが自分と同じ 趣味 や好みを持っているときに覚える不快感や違和感、割り切れない複雑な思いをあらわす言葉です。 「嫌いな人との嗜好一致のジレンマ」 とも。
例えば学校で大嫌いな人間がいたとして、その人が自分と同じタレントの ファン だったり同じ ゲーム や アニメ に ハマっている 場合、「なんだよ、あいつと俺の好みが同じじゃん」 という不快感を覚えるケースは多いでしょう。 これが小学生あたりで いじめ っ子体質がある人間なら、相手に 「お前が〇〇を好きだとかいうと〇〇が汚れるんだよ、今すぐファンやめろ」 みたいな無茶苦茶な理屈で要求を突きつけるようなこともするのでしょうが、一般的にはそんな理不尽なこともできず、でも拭いきれない不快感や違和感はあって、悶々としがちです。
これは好きなアイドルタレントが被る 同担 などではより顕著となり、同人 における ジャンル の被りなどでも同じことになります。 嫌いな人と イベント などでバッタリ出会う可能性もありますし、自分が苦手だったり嫌いな カップリング を相手が好きなのなら相手の人格もろとも全否定もできるでしょうが、自ジャンル と同じジャンルやカップリングが好きだと、「お前に何が分かる」 のような苛立ちがより一層燃え上がることにもなるでしょう。
そもそも人間は自分とまるで異なる人間よりも、自分とちょっと似たところがある人間をより一層避けたがる傾向もあります。 同族嫌悪というやつです。 嫌いなのに自分と同じ部分があるのを認めるのは、とくに思春期の頃などは精神的な嫌悪が出やすいかもしれません。 反抗期に親がムカつくみたいな感覚もそう遠くないかもしれません。
このもやもやした気持ちをどうしたらいいのか…
こうした 「趣味が共通・もろ被りで覚える苛立ち」 は、大人になっても強く感じる人は結構いるものです。 もちろん口に出したりするケースは稀でしょうが、掲示板 や ツイッター など ネット の中で行うような、嫌いな政治家や著名人相手の悪口ではわりと見かける話だったりもします。 俗に 「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」 などと云いますが、嫌いな相手が好きだからといって自分の好みをおいそれと曲げるわけにもいかずに戸惑い、あるいは 「嫌いな人に自分と似た好み、同じ感性、場合によっては強く一致する部分」 があるのを認めたくない感情は抑えきれない場合もあるものです。
解決策としては、「人格と好みは別問題」 と割り切るか、「同じものが好きだが、好きの理由が違う」 などと無理やり相違点を見つけ出して心理的に安心するかでしょう。 そもそも好みの対象などは趣味やタレントやゲーム・アニメなどの好み以外にも、食べ物やファッションや音楽などなどたくさんあります。 それらの選び方がたまたまいくつか一致したからと云って、それほど気にする必要など全くないでしょう。 こうした考え方ができないと、場合によっては自分の好きなものそれ自体に違和感を覚えるようになったりもしますから、自分の好きなものが自分にとって特別なものであるなら、割り切り が肝心なのでしょう。