時代の性先端? それとも遅れたダサいもの? 「厚底ブーツ」
「厚底ブーツ」 とは、ソール (靴底) が厚い (厚底) ブーツ のことです。 ロンドンブーツと呼ぶこともあります。 とくにソール高が5cm から 10cm 程度以上で、かつヒール部分がより高くされ (ハイヒール)、足が入る筒部分 (シャフト) が ミドルブーツ丈 以上が多いでしょう。 ロングブーツ もよく選ばれます。 1970年代にブームがあり、次いで1990年代後半に ギャル ブームの中でもリバリバルでブームとなっています。 とくにギャルブームの際は、若い女性らの都市部でのファッションのマスト アイテム のひとつともなっています。
登山やハイキング、トレッキングといったアウトドアスポーツ用に、岩場や不整地でのクッション性や悪路の踏破性を追及した機能的なものもあります。 しかし単に厚底ブーツと呼ぶ場合は、若い女性用のファッショナブルなブーツを指すケースが一般的には多いかもしれません。 これらは厚底の スニーカー やサンダルなども含め、全体を通して厚底靴と呼びます。
1970年代のロンドンブーツ大流行
日本における厚底ブーツのトピックとして、1970年代にブームとなったロンドンブーツがあります。 1960年代、ロンドンでハードロックやパンク、ヘヴィメタルのアーティストらが用いていたブーツを元に、東京青山にあるオーダーメイド靴店 calzeriaHOSONO (カルツェリアホソノ) の店主 細野勝さんにより考案され (1970年)、当時流行していたベルボトムパンツ (膝から裾に向かって広がるパンツ/ パンタロン) と合わせる形で大流行しています。 1960年代後半から続くグループ・サウンズブームの中、「ザ・スパイダース」 のメンバーであるムッシュかまやつさんに依頼されて製作したなどの都市伝説もありました。
これを真似る形で一般でも厚底ブーツを履く女性が広く現れると同時に、グループ・サウンズ以外の芸能活動におけるステージ衣装としてもよく用いられ定着します。 とくに女性への波及に関しては、1976年にデビューし1970年代後半を席捲したアイドルデュオ、ピンク・レディーがキャッチーな楽曲やミーさんケイさんのキュートな魅力、ミニスカート や短いパンツルックにハイヒール厚底ブーツといった派手な衣装とダンスによって、若い女性や小さな女の子、ひいては男性の間でも大人気となります。
これらの相乗効果もあり厚底ブーツはありふれた存在となりますが、あまりの流行になったことからブーム後はその反動で 「ダサ い 靴」 の代名詞のような扱いにすらなり、急激に存在感を喪失することとなります。 前後して流行したつっぱりやヤンキーといった 渋い ファッションや清楚系アイドルの控えめなファッションがブームとなる中、コーディネイトしにくい厚底ブーツは食い合わせも悪く、ベルボトムパンツ (とくにボタンフライ (前開きのジッパー部分がボタンになっているもの) や同時期に流行したミニスカともども、1980年代は時代遅れの恥ずかしいファッションアイテム扱いになっていました。
1990年代、ギャルブームと厚底ブーツ大流行
ロンドンブーツ流行から20年ほど経過した1990年代後半に、二度目の厚底ブーツブームがやってきます。 いわゆるギャルブームですね。 ソール高もロンドンブーツよりずっとあり、とくにつま先部分も含め 10cm どころか 15cm を超えるようなものも見られました。 同じく流行した 茶髪 や チビT、ミニスカや ホットパンツ、ルーズソックス などとともに、この厚底ブーツがギャルの象徴のような重要なアイテムとなっています。
厚底ブーツは背が高くまた足が長く見えますし、足元にボリュームを持たせることで全体的に足が細く見える効果もあります。 ミニスカートやホットパンツの流行は、その少し前の ボディコン の時代に見られていましたから連続性もありますが、突然出てきた厚底ブーツはちょっとした衝撃がありました。
これは1970年代のロンドンブーツが流行した頃のファッションやスタイルのリバイバルといっても良く、流行は一定間隔で繰り返すの典型例とも云えますが、ギャルブームピーク時の極端な厚底ブーツは多少数が減っても、それ以降はおおむね女性用靴のひとつとして定着しているようです。 ロンドンブーツの時のような極端な 「ダサいもの」 扱いはさほどされていません。 むしろボディコンの中でもゆるめのダブルのスーツとか肩をいからせたスタイル (肩パッド服) が時代遅れのダサいもの扱いになっています。
2020年代に入ると、Y2Kファッション (1990年代から2000年代にかけてのファッション) がレトロ感から エモい と注目を集める中、Z世代 (1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代) らの間で再び人気を得るようになっています。 こう考えると バブリー な時代に流行したダブルスーツや肩パッド服といった偏ったヨーロピアンな着こなしは、こと靴以外の服装においては流行サイクルから外れたかなり特異なものだったのかなという気がします。 とはいえファッションの世界は何がリバイバルするかわかりません。
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