鋸オブジェを通り抜けて、そこでアリスが見たものは
7歳から11歳〜12歳程の少女を性愛する 趣味、あるいはそれを扱った作品や、作品ジャンル の事を俗に 「アリコン」(アリスコンプレックス/ Alice Complex) と呼びます。 我が国で言葉として確立したのはロリコンブームの前後となる 1980年代初頭と云われていて、ロリコンっぽい画風の出始めたエロ劇画誌上で生まれました。
現在は ロリコン (ロリータ・コンプレックス) とひとまとめにして扱われる場合が多く、一部のこだわり派を除いては、あまり一般的には使われない言葉となっています。
アリスコンプレックス…現在はほとんど使われない言葉です
Alice's Adventures in Wonderland (Hardcover) by Lewis Carroll, Arthur Rackham |
名称の由来ですが、これはもちろん、イギリスの数学者、ルイス・キャロル (Lewis Carroll/ 本名 チャールス・ドジソン/ Charles Lutwidge Dodgson (1832 - 1898) 作の “不思議の国のアリス (Alice's Adventures in Wonderland/ 1865)”、“鏡の国のアリス (Through the Looking-Glass and What Alice Found There/ 1871 (発行年の記載は1872)”、“子供部屋のアリス (THE NURSERY "ALICE"/ 1890)” の 主人公 名、アリス (Alice) から…となっています。
このアリスが登場する一連の作品群は、例えば我が国の英語教科書に採り上げられていたり、あるいはディズニーの長編アニメ (ふしぎの国のアリス/ Alice in Wonderland/ 1951) で大ヒットしていたり、で、私たちにとっても親しみのある、おなじみの物語となっていますね。
ちなみにご存じの方は多いでしょうけど、アリスのモデルとなった少女は実在しており、ルイス・キャロルが教鞭を執っていたオックスフォード大学クライスト・チャーチの学寮長、リデルの3人の娘、ロリーナ、アリス、イーディスのうち、次女のアリス (Alice Liddell) さんがそうなのでした。
アリス・コンプレックス イメージ |
ルイス自身がカメラを持ち撮影した愛らしい写真などもたくさん残っています。
一般的には 金髪 碧眼の美少女と云うイメージのアリスですが、実際は 黒髪 の愛らしいけれどごく普通の少女で、ご本人は 82歳で亡くなるまでの間、「自分があのアリスのモデルである」 と云うのが 「非常に重荷であった」 と周囲に語っています。 また“鏡の国のアリス " は 「もう一人のアリス」 とも呼ばれるアリス・レイクスとの対話から着想を得たとも云われています。
非常に有名なエピソードですし、資料もたくさんあります。 興味のある方は調べてみるのも一興でしょう。
「アリスシンドローム」 とは…?
なお 「アリス症候群」(AIWS/ Alice in Wonderland syndrome) と呼ばれるものもあります。 これは物語に登場する体のサイズが大きくなったり小さく縮んだりする薬を飲んだアリスのエピソードにちなんだ、目で見たものが大きくなったり (結果、自分の体が小さく感じられる)、小さくなったりする (自分の体が大きくなったように感じられる)、ある種の視覚障害、それによる知覚の違和感や混乱症状を指す言葉です。
1955年に精神科医のジョン・トッド (John Todd Wilson/ 1914年〜1990年) によって名づけられたもので、日本語では 「大視症」「小視症」 とか 「変視症」(歪んで見える) などとも呼ばれています。 当然ですが、「アリスコンプレックス」 とは何の関係もありません。