髪につけるだけでかわいさが2割アップとの噂も… 「カチューシャ」
「カチューシャ」 とは、主に女性が身につける 「髪飾り」 や 「髪留め」 のことです。 多くの場合、弾力のある硬質ゴムやプラスチック、金属などを材質とするC型 (馬蹄型) のシンプルなもので、弾力を活かして頭部に上からはめ込むような形で装着します。
ところで 「カチューシャ」 という言葉ですが、本来はロシア語における女性の一般的な名称、「エカテリーナ」(Екатерина、エカチェリーナとも/ 英語では Katharine (キャサリン) の愛称である 「カチューシャ」(Катюша/ katyusha) を表し、ヘアバンドや髪を束ねる飾りという意味はロシアにもその他の国にもありません。
大正の大女優、松井須磨子の演じるカチューシャがブレイク
メイド服にとても良く似合う レースカチューシャ (ホワイトブリム) |
しかしロシアの文豪、レフ・トルストイ (大トルストイ) の 「復活」 を原作とする演劇が1913年 (大正2年) に日本の劇団芸術座で上演された際、主人公 カチューシャ役を演じた女優の松井須磨子 (1886年3月8日〜1919年1月5日) と彼女がつけていたC型の髪飾りが大人気となり、大正時代を通じて日本中で大流行。
その後日本で 「カチューシャがつけていた髪飾り」 としてこうした アクセサリー が一般化し、そのまま一般名称化して 「カチューシャ」 と呼ばれるようになったのが通説となっています。
なお 「カチューシャかわいや、わかれのつらさ」 という歌詞と叙情的で切ないメロディーで今なお知られる 「カチューシャの唄」(作詞/ 島村抱月/ 作曲/ 中山晋平) を最初にこの舞台で歌ったのも彼女であり、大正時代の大ヒット曲となっています (レコード 「復活唱歌」 としての発売は1915年/ ロシア民謡のカチューシャとは関係がありません)。
ちなみに松井須磨子は33歳の若さで亡くなっていますが、これは死の前年に世界的に大流行し4,000〜5,000万人が死亡したスペイン風邪に感染し、自らは一命を取り留めたものの、つきっきりで看病していた抱月 (妻子がありながら、須磨子と不倫関係になっていた) にそれをうつしてしまい、抱月は他界、それを嘆き悲しんでの楽屋での首吊り自殺があったからなのでした。
日本では、女児や気取らないプライベートタイムの便利アイテムとしておなじみ
欧米ではもっぱら長髪のスポーツ選手が髪の乱れを防ぐためにつけている 「ヘッドバンド」(日本ではヘアバンド) と同じ扱いですが (C型だけでなく、O型や巻くタイプも含む)、日本では女児の実用と装飾のための アイテム のような扱いで、区別するのが一般的です。 若い女性の場合も、頭にはめるだけで 髪の毛 がまとまるので、自室でくつろぐ時、メイクをする時などに愛用している人が多い 定番 アイテムとなっています。
なおイギリスではルイス・キャロルの児童小説 「鏡の国のアリス」 の 主人公、アリスがつけていたことから、親しみを込めて 「Alice Band」(アリスバンド) と呼ばれる場合もあります。
時代を下り、メイド用のレース仕立てやネコミミなども…
[カチューシャの再現図」
これは再現図です。下のサムネイル画像へマウスオーバーすると、左側に大きな再現図が表示されます。 回線の状態によっては、表示までに少々時間がかかる場合があります。 | ||
レースカチューシャ | ネコミミチューシャ | 犬ミミカチューシャ |
リボン カチューシャ | お花カチューシャ | ボールカチューシャ |
「カチューシャ」 の種類や形状は様々です。
単に実用品としてのヘアバンドはもちろん、おしゃれ、ファッションを目的とした様々な装飾がついたもの、後には動物の耳 (ネコミミ など) がついたものまで、髪の毛をまとめて頭に載せるバンド状の幅広いアクセサリー類は、とりあえずそのままカチューシャと呼んでも良いような広い言葉となっています。
一般的には メイド の コスプレ や ゴスロリ で、レースの飾りのついたカチューシャ (ホワイトブリム) や、リボン や花のついたものなどが有名です。 しかし外見が似ていても細かい形状によっては別物扱いとなり、「ヘッドドレス」 とか 「ボンネット」「ミニハット」、小型でヘアアレンジにも使えるブローチやアクセサリーは 「コサージュ」(花を モチーフ にしたもの) とか 「ヘアブローチ」 などと呼ばれたりします。
また貴金属などで作られていたり宝石で飾られたものは 「ティアラ」 や 「クラウン」、布製で丈が長く頭全体を覆うようなものは 「ベール」、厚手で頭に巻くものは 「ターバン」、さらに和風で髪に挿す小さなアクセサリーは 「かんざし」 などと呼び、別のものとしています。 これらを総称して 「ヘアアクセサリー」 となりますが、種類は膨大で、中には境界線があいまいなものもあります (ほとんど同じものでも、布地や柄、巻き方や地域の違いなどで呼び名が変わる場合もあります)。
その他の 「カチューシャ」
「カチューシャ」 にはこの他、ロシアがソ連時代、第二次大戦真っ只中の1941年に配備した世界初の自走式多連装ロケットランチャーの愛称の意味、また 「かちゅ〜しゃ」 となった場合には、2ちゃんねる のための専用ブラウザ、閲覧ソフト (kage.exe/ かちゅ) の名称ともなっています。