他人を急かす時にやたら使い勝手が良い 「40秒で支度しな」
「40秒で支度しな」 とは、今すぐ、速攻で支度・準備をしろといった意味の言葉です。 40秒、あるいはもうわずかな時間しか待たない、今すぐ行くぞ、やるぞといった意味でも使います。 ごく 普通 の日本語ですが、わざわざ 「40秒で支度しな」 などと云う場合の 元ネタ は、1986年8月2日公開の アニメ 映画 「天空の城ラピュタ」(スタジオジブリ/ 宮崎駿) の有名なセリフからとなります。
一瞬で全てを捨てて命がけの旅に出るぞとの印象的なセリフ
物語では、スラッグ渓谷の鉱山で機械工見習いとして働く少年パズーが、空から降って きた少女シータと偶然出会います。 彼女が軍や空賊 (空中海賊) から追われる身だと知ると、詳しい事情も知らないままに町の人たちの協力も得て、必死に守りながら一緒に逃げます。 しかし軍の特務機関によって2人とも捕らえられ、敵であるムスカ大佐にシータも奪われ、わずかな金貨を渡されて追い返されることに。 失意のうちに自宅に戻ると、そこには空賊のドーラ一家が待ち構えており、パズーも 縛り 上げられ囚われの身となってしまいます。
「天空の城ラピュタ」 のパズーとドーラ (C)1986 Studio Ghibli |
その後空賊の ボス、ドーラと話をする中で、バズーは自らも空賊の一員となってシータを取り戻すことを決意。 シータを追うため出発しようとするドーラに仲間に入れてくれるよう願い出ます。
打算もありそれを受け入れたドーラは 「二度とここには帰れなくなるよ」「覚悟の上だね」 と念を押した上で縄をほどき、「40秒で支度しな」 と言い放ちます。 パズーは40秒というわずかな時間で父親の形見であるパイロット用のゴーグルを手にし、飼っていた鳩を逃がすなど身支度を 整え、家を飛び出し冒険へと向かいます。
いくら本人が懇願したとはいえ、仲間になってついてくるなら家や今の生活を全て捨てろ、その準備は今からたったの40秒間だけだというのもかなり乱暴な話ですが、スピーディーなセリフの応酬、何の躊躇もなく人生を左右する決断をパズーが下すくだりは緊迫感と大空へ飛び立つ躍動感もあり、名シーンや名セリフの多い同作品中でも屈指の有名なシーンの一つとなっています。
同作品は名作の呼び声も高く、頻繁にテレビ放映されていることもあり、日本人なら1回くらいは見たことがある作品でしょう。 その意味ではこの 「40秒で支度しな」 も多くの日本人の血肉になったセリフだとも云えます。 日常会話でも何かと使いやすい便利な言い回しでもあるので、他人を急かす時などに頻繁に使われる、アニメ由来の定型句と云って良いでしょう。
ムスカ大佐は 「3分間待ってやる」
ちなみに物語ではその後、ラピュタにたどり着いたパズーがシータを捕らえたムスカ大佐と最後の対決を迎えます。 ムスカは飛行石を持つパズーにシータを渡し、3分間の猶予を与えるから飛行石を渡すか殺されるか、どちらがいいか2人で話し合えと促しつつ、弾倉が空になった拳銃に弾を装填します。 その後2分足らずで 「時間だ」 と言い放ちますが、2人が唱えた バルス によってラピュタは崩壊。 哀れムスカ大佐はバルス時の光で目を傷め、「目が、目がぁ〜!」 とうろたえつつ、崩れるラピュタと運命を共にします。
ドーラの 「40秒で支度しな」 とムスカの 「3分間待ってやる」 は同じ時間繋がりでしばしば対比され、「40秒で支度しな、3分間待ってやる」 という謎の文字列になることもあります。
似たような言葉や、関連する言葉には…?
なお似たような使い方をする若者言葉、ネットスラング に 秒・秒で やダッシュ、速攻、全速 (全速力)、マッハ という云い方もあります。