マニアックすぎて需要が少ない… 「ニッチ」
「ニッチ」 とは、壁などにしつらえる隙間や窪み (壁龕) といった意味の言葉です。 英語の 「Niche」 が語源であり、用いられる話題や業界によって ニュアンス は微妙に異なりますが、建築業界でそのままの意味で用いられる他、一般的には 「あまり注目されない狭い部分」「目立たず小規模」 あるいは 「マニアック」「マイナー」「インディーズ」「アングラ」 といった意味でも使われることが多いでしょう。
経済の世界では 「ニッチ市場」 あるいはそうした市場を狙うための 「ニッチ戦略」 といった使われ方が多いでしょう。 大企業がターゲットとするような大きな市場、大きな 需要 やビジネスを目指すのではなく、ごく小規模、あるいは特殊な需要しかない小さなマーケットやそのための戦略といった意味になります。 またそうした需要に応えるために 供給 されるものは、ニッチ商品とかニッチサービスと呼びます。
ニッチのままなのか、それとも成長・衰退の結果なのか
ニッチ市場は参入する企業にとっては自らを脅かす大企業や競合他社が少ないため、中小零細・ベンチャー企業などが参入・成功しやすい市場とされます。 とはいえニッチである以上は高い専門性が必要になったり、どれほどその市場で シェア を獲得しても成長にはおのずと限界があるなど、良い面ばかりではありません。 しかしほどほどのサイズの企業であれば、狭い市場の需要を独占的に得ることもでき、商材によっては長期に渡って安定した経営や 運営 が可能にもなるでしょう。
なお特定のニッチ市場を制覇した企業がそれ以上の成長が出来ずに停滞することは、ニッチ市場の壁などと呼ぶこともあります。 ただしある時期まではニッチだったものが、時代を経ることで大きな市場、メジャー市場へと成長することもありますから、その場合は市場全体の伸長に合わせてその企業も大きく飛躍することができるかもしれません。 逆にメジャーな市場が時代の変化によって先細りしてニッチ化することもあります。
おたく や 腐女子 の世界にあっては、そもそもおたく・腐女子的な文化や商材、サービス全般がニッチから時代を経てメジャーへと大変貌した部分かも知れません。 これは1980年代から1990年代まではニッチに過ぎなかった ネット に関するビジネス分野も同じでしょう。
嗜好の細分化や多様化が叫ばれる中、ニッチのまま一部の好事家によって成り立つ市場なのか、それともこれから伸びるのか、逆に衰退してニッチ化したものなのか。 このあたりの分析や市場の ニーズ をどうくみ取るかで、隙間を狙う小規模な事業体のビジネス成功の有無が決まるのでしょう。