何となくかわいらしい 「泣き」 の表現、「ぴえん」
「ぴえん」 とは、泣いている状態をあらわす言葉です。
主に女子中高生の間で流行となり、SNS やメッセージアプリ、メール など ネット のやり取りで使われました。 悲しい時、気分がブルーな時、ショックを受けた、あるいは逆に嬉しい、ラッキー (うれし泣き・感涙) といった時にも使われ、泣き顔の絵文字や 顔文字 などと合わせて使われることが多いようです。
元ネタ というかこの言葉の前提となるのは、マンガ などでしばしば使われる、小さい女の子が泣いている時の擬態語 「ぴえーん」 なのでしょうが、「ひ」 が濁音の 「びえーん」 ではなく半濁音の 「ぴえーん」 なのが、よりかわいらしさが強調されている感じです。
擬態語としておなじみの 「ぴえーん」 ではなく縮まった 「ぴえん」 なのは、ネットスラングや若者言葉では比較的見かけるパターンで、長音符 (−) とか拗音 (小さいつなど) などを略して詰めることでテンポを変えたり、独特のかわいらしい音の感じになったり、文字数が減って使い勝手が良くなったりします。
ひらがな + 半濁音で、かわいく泣いている感じで大流行
言葉としては2018年秋頃から使われるようになり、翌2019年には「JC・JK流行語大賞2019」(AMF) コトバ部門の1位、「2019年ギャル流行語大賞」(TWIN PLANET) の2位などに選出されています。 いちいち意味を尋ねなくてもマンガなどを読む人であれば意味や ニュアンス が伝わるため、後には男女や老若を問わず、広くネット上で使われるようになり、ネットスラング としての認識もされているでしょう。
その後、人気 YouTuber まあたそさんにより、「ぴえん」 より悲しみの レベル が高い言葉 「ぱおん」 も登場。 「ぴえんこえてぱおん」 などといった言い回しも登場し、合わせてそれぞれ流行しています。
似たような使い方をする言葉には、「うるうる」(涙で目が潤んでいる状態)、「ぽろぽろ」(涙がこぼれている状態) などもありますが、いずれもマンガなどでおなじみの擬態語が元となっています。 また 「(泣)」「(涙)」「(悲)」 といったテキストベースのコミュニケーション符号とも使いどころは近いでしょう。
これらは悲しい時・嬉しい時、それぞれの意味で広く使われていますが、「ぴえん」 に関しては、本当に心から悲しい時、あるいは「号泣」 といった強い意味で使われることはほとんどありません。 例えば著名人などが亡くなった時に、アンチ の 煽り ならともかく、ファン が哀悼のつもりで 「ぴえん」 は使わないでしょう。