怪獣やヒーローからマスコットキャラや VTuber まで 「スーツアクター」
「スーツアクター」(Suit Actor) とは、もっぱら着ぐるみスーツを身に着けて演技を行う 演者・出演者 のことです。 舞台や イベント、映画、テレビドラマ、とくに特撮系のテレビ番組などで、怪獣や ヒーロー としてアクションを演じたり芸を披露する人を指して使われます (仮面ヒーローのスーツを着て演技やアクション・殺陣・擬斗をする人といった狭い意味で使われることも)。 ぬいぐるみ役者や着ぐるみ演者、キャストと呼ぶこともあります。
近い存在に危険なアクションを他の演者らに代わって担う スタント や、大型の怪獣や モンスター などの目や口の開け閉めや尻尾の動きなどなど、何らかの道具や機材を用いて着ぐるみの一部を操作することもある 操演者 がいます。 また2000年代後半から ネット の 動画サイト を中心に盛り上がる VTuber (バーチャル ユーチューバー) の キャラクター (アバター) を、モーションキャプチャスーツを着用して動かす人を指すこともあります。
ただし VTuber は 顔出し こそしなくても声出しもするし、いわゆる 中の人 とキャラとが一体化しているので、配信者 や 生主・ライバーと呼ぶことはあっても、あまりスーツアクターとは呼びません。 もっとも音楽ライブの配信などで、中の人に代わって別人がダンスを担うような吹き替えがある場合は、その人がスーツアクターみたいな 認知 がされることもあります。
いずれにせよ、作り物である着ぐるみスーツである存在に動きを与え命を吹き込む重要な役割であり、顔が出ない分、他の演者に比べややもすれば 地味 な扱いになりがちとはいえ、日本の コンテンツ の世界における極めて重要な役割を担う存在だと云えるでしょう。 また優れたスーツアクターには身体を用いた豊かな表現力とともに、視界が狭く動きにくい仮面スーツや着ぐるみを着用して激しいアクションや危険な動きをする、照明による暑さや炎天下の野外といった過酷な 環境 に長時間耐える体力など、比類なき身体的能力も求められます。 子供向けの着ぐるみショーでは観客や子どもたちとのコミュニケーション能力も必要ですし、場合によってはダンスを披露したり楽器を演奏したりオートバイを乗りこなすなど、抜群の運動神経や器用さも求められます。
なお映画やテレビ番組といったコンテンツ制作だけでなく、商業施設やレジャー施設における各種の着ぐるみショーやイベントでのマスコットキャラ (ゆるキャラ) の中に入って演じるなど、売れっ子のスーツアクターには活躍の場が多数あります。 こちらは芸能プロダクションや劇団、興行師といったコンテンツ産業に近い場から派遣されることもあれば、イベントコンパニオンなどと同様の人員配置がされることもあり、かなり裾野が広くなっています。 また特定のテーマパークや自治体・企業のマスコットを専業として演じるスーツアクターも多数あり、とくに認知度の高いキャラを長年に渡って演じてきた人は、演じるキャラと一体視され、芸能人なみの人気や知名度を誇ることもあります。
特撮作品におけるスーツアクター
日本を代表する着ぐるみスターとも云える怪獣 「ゴジラ」(1954年) などは、それを演じた歴代のスーツアクターは別格・レジェンドの存在と認識されます。 なかでも初代ゴジラから18年間に渡って演じた中島春雄さんは、昭和ゴジラそのものと云っても良いでしょう。
一方、変身ヒーローものなどは、作品中で人間の姿の時の演者とヒーローになった時の演者とで異なることが一般的です。 例えば 「ウルトラマン」(1966年) では、作中では黒部進さん演じる科学特捜隊のハヤタ隊員が変身した姿として描かれますが、ウルトラマン自体はスーツアクターの古谷敏さんが演じています。 この場合、作品を見ている子供たちはウルトラマン=ハヤタ隊員=黒部進さんと認識され、スーツアクターの存在はスタッフロールなど出演者の一覧でしか知るすべはありません。 古谷さんの場合、次回作となった 「ウルトラセブン」 においてもセブン役を演じつつ、顔出しのアマギ隊員役も担っており、セブンに変身するウルトラ警備隊のダン隊員 (森次浩司さん) との メタ な番組制作上の関係性は、小さな子供には理解不能でしょう w
またフジテレビの幼児教育番組 「ひらけ!ポンキッキ」(1973年) のガチャピンのように、スポーツが万能だという 設定 のため、中の人がスポーツ種目ごとに入れ替わっている (公式 の発表などはないため、あくまで予想) ケースもあります。 この場合、声を担当する声優さんも別におり、またイベントなどではこれらとはまた別のスーツアクターが演じてもいて、個人ではなくチーム体制でガチャピンという1キャラを作り上げているといって良いでしょう。
いずれにせよ、子供たちの夢を壊さないためにも 「中の人などいない」 という考え方から、業界内での評価はともかく、おたく 的な鑑賞や考察がされるまでは、一般の観客や 視聴者 にとっては影の存在だったと云えるかもしれません。
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