ニコニコ生放送で配信するからニコ生主
「生主」(なまぬし) とは、動画共有サイト ニコニコ動画 (ニコ動) において提供されるニコニコ生放送 (ニコ生/ ライブ配信/ 生配信/ 2007年12月25日〜) を行う人、ネット を通じて ライブ・リアルタイム の映像配信を行う人の事です。 元々は 「ニコ生主」 であり、また配信の際に配信用の 「枠」 を取る (設定 する) ことから、「枠主」、様々な ジャンル で活動しているとして 「活動者」 と呼ぶこともあります。 ちなみに 主 は、ネットにおいてその場を作る人・リードする人を指す非常にポピュラーな ネット用語 です。
ニコニコ動画がライブ配信サービスを始める前にも音声や映像の配信サービスはあり、ネットラジオもありました。 これらと前後して使われていた 「配信者」 や 「ライブ配信者」「ライバー」 「ストリーマー」 あるいは 「実況者」「パフォーマー」 と呼ぶこともあります。 これといったトーク (雑談) や企画などをせず、ただひたすら部屋の様子や日々の生活を垂れ流すような配信の場合は 「ダダ漏れ」 と呼ぶこともあります。 放送を視聴する人は視聴者の他 「リスナー」 と呼びます。
配信内容はトーク や ゲーム の 実況、カラオケ を用いた 歌ってみた など多岐に渡り、内容や文化的に近いものは若者向けに深夜放送されるラジオ番組でしょう。 ナマ ならではのライブ感と放送の テーマ や お題 選びのセンス、本人の個性にあった企画力、何より生主の当意即妙のおしゃべりが最大の魅力です。 また機転の利いた切り返しができる生主の場合、ファン でもあるリスナーの側もそれを見込んだ コメント を行い、相互で盛り上がりを生むこともあります。 このあたりは、深夜ラジオのパーソナリティーと投稿者 (ハガキ職人) との関係にも近いものでしょう。
様々な生主の配信スタイル
一般に生主の対義語となるのは、ライブ配信ではなく1本の完成した編集済み動画などを 投稿・アップロード (うp) する 「動画制作者」 や 「うp主」 があります。 両者を区別する場合は、「配信勢」 と 「動画勢」「投稿勢」 みたいな云い方をすることもあります。 また 素人 が個人で活動している生主は 「個人勢」、何らかの企業や団体、事務所 (箱) に所属している生主は 「企業勢」 や 「事務所勢」「箱系」 などと呼びます。
動画内での 顔出し の有無で区別されることもあります。 ニコ生のサービス開始直後やここが生配信の中心だった頃は、一般人 が顔出しで活動するケースはさほど多くなく、とくに女性などは マスク をして顔を隠すなど 顔バレ・身バレ 対策をする場合が多かったものです。 時代を経るにつれ顔出しが当たり前になりつつありますが、人気 アニメ 「涼宮ハルヒの憂鬱」 の コスプレ でのマスク姿は、ある意味で女性生主の象徴みたいな感じもあります。
また主に女性生主でちょっとした エロ の要素がある場合もあります。 この場合は 成人向け のライブチャットサービスといった従来の文化も混ざり合っており、アダルト動画に厳しいニコ生ではなくエロ動画サイトなどをプラットフォームとして活動する場合が多いでしょう。 これらはエロ生主と呼ぶこともあります。 どこまで見せるかは配信者次第ですが、それなりに人気のある生主の場合、顔以外は局部も含め全部出しが珍しくない状況ではあります。 場合によっては amazon のほしい物リストなどを経由し、リスナーから贈られたコスプレ衣装を着用したり、大人のおもちゃ を使った オナニー などが配信される場合もあります。
ニコ生クルーズと集団凸
一方、配信スタイルというよりは、視聴者側がニコニコのサービス (公式番組) を利用する独特な視聴スタイルにクルーズがあります。 番組に視聴者が集って短い時間に次々とユーザーの生配信などを渡り歩いて視聴 (ミラーリング) するもので、原則各放送1分程度の短い時間ですが、クルーズ船に乗っている視聴者の投票で時間延長などがされることもあります。 クルーズ先のチャンネルはランダムで、生主がクルーズ待ちのタグをつけることでクルーズを受け入れます。 視聴者は知らない生主を見つけることができますし (気に入った生主のチャンネルで下船することもできる)、生主は新しいリスナーを獲得するチャンスになるなど、出会いの場として機能している部分はあります。
とはいえ初期の生放送はわりと 治安 が悪い部分もありましたし、またクルーズ参加者の少なくない人たちの柄がわりと悪く民度も厳しい部分もあり (実質的に大量の 荒らし が同時にやってくる)、マイナー系の生主とそれが好きな少人数のリスナーとでひっそり楽しんでいるところに大挙してやってきて罵詈雑言を浴びせてくるクルーズ勢は 「海賊船」 とか 「暴徒 (ボート) 民」 などと呼ばれたりもしていました。 またニコニコのサービスを使わずにどこかの 掲示板 が中心となって参加者を募り、まとまって生放送に 凸 するようなケースもありました。
いくら本人がクルーズ待ちをしていたとしても、趣味 でやっている生主やそのリスナーにとって荒らし寄りになりがちなクルーズや集団凸は運が悪いと迷惑なものになりがちなものでしたが、クルーズ船からの罵詈雑言に的確な反応を返すことで 認知 されたり人気が出る生主もいました。 生主に頭の回転と強いメンタルが求められるものでしたが、こうした弱肉強食の 修羅場 を生き抜いた無名の生主が後に大化けすることもあったりします。
ニコ動と Youtube で文化や温度感は違うものの、徐々に混ざり合う
「生主」 という言葉自体はニコ動のものですが、ネット、とくに若者や おたく な文脈でのそれでは極めて大きな存在感を持つことから、ニコ動以外のサービスで行うライブ配信も生主と呼ぶことが多いでしょう。 一方で時代を経るにつれ YouTube (ようつべ/ つべ) の存在感が増し、とくにユーチューバーと呼ばれる人たちの存在感が大きくなると、徐々に配信者やストリーマーといった言葉への言い換えも進んでいるようです。 同じ生配信でも、何らかの キャラ に なり切った り、Vtuber (バーチャル ユーチューバー) のように アバター を身にまとって行う場合は、「演者」 とか 「魂」「中の人」 と呼ぶこともあります。
なお他の配信者と一緒に何らかの企画をしたり、お互いの生放送にゲストとして呼んだり呼ばれたりといった活動は コラボ と呼びます。 生配信によってニコ動や Youtube から金銭を得ることは収益、企業などと タイアップ の形で商品の プロモーション をするといった営利活動は 案件 と呼びます。
ライブ配信が人気となり、ちょっとした芸能人なみのファンや人気を持つ生主が登場すると、その生主を モチーフ とした ファンアート や 二次創作 も活発になります。 この場合は、同人 の世界では、いわゆる 芸能同人・ナマモノ と同じ扱いとなります。