キャラクターがしゃべるための重要な表現です
「ふきだし」「フキダシ」 とは、マンガ・コミック、あるいは イラスト などで登場人物などがしゃべるセリフ (ネーム) を文字 (写植) で書き入れるためのマンガらしい表現方法のひとつです。
マンガで 「セリフ」「音」 を表現するのにはこの 「ふきだし」 の他にも 「擬音」 や 「擬態音」 などがありますが、そのどちらも単なる 「音」 や 「セリフ」 だけではなく、登場人物の心情や場の空気、ムードを 「文字」 として表現する機能があります。
いろいろな形のふきだしを使い分けよう!
実際の 「ふきだし」 は、右の図のように楕円に三角や棒線、効果線などが組み合わさった風船のような形をしていて、「バルーン」 などと呼んだりもします。 実線のものはしゃべったセリフ、効果線や破線などで描かれたものは心の中で思っていること、内心の声で使われることが多いでしょう。 大声の場合はとげとげの爆発マークのような形状になることもあります。
ふきだしの一部からはおおむね三角形の尖った部分 (しっぽ、あるいはちょろ) が突き出ていて、先端がそのふきだしを吐いている キャラクター に向けられています。 これにより、どのキャラがしゃべったものか、前後の文脈だけでなく視覚的・物理的に見て分かるようになっています。 口には出さないものの内心で思っているといった描写では、しっぽが省略されたり、丸しっぽになることもあります。
形状はパターン別けしただけでもかなりの数があり、また漫画家や作家によっても 「癖」 があったりもします。 ただし著作物についた読書補助のパーツという面もありますから、あまり無茶な、あるいは独りよがりなマイルールでふきだしの形を作っても、読者 が混乱するだけでしょう。
パターン的には、1や2が通常パターン、3や5が口には出さないけれど心で思っている言葉、決意、4や6が大声や罵声、悲鳴などの表現といった感じでしょうか。 内部に冷や汗のような 「しずく」 を描くと、また ニュアンス も変わります。 また背景にカケアミで模様などを描き、セリフ (心情の無言の吐露) を書く部分を、グラデーション で白抜きにするパターンなども良く見かけます。
1つのコマに 「ふきだし」 が複数ある場合は、通常日本のマンガならば、右上を最初に、次に左に進み、次に右の下段に移動します (左右が逆の、反転Z型を思い浮かべると分かりやすいかも)。 ただし例外もあり、その場合は読者が混乱しないようなふきだしの位置、形状を決めるのが大切です。
ネームとフキダシのタイミング
マンガを描く場合、まずキャラクターの 絵 を描いて、次に余白部分を 「ふきだし」 で埋める、なんて描き方をする方もいますが、ぎゅうぎゅう詰めのコマになりがちですし、最初にセリフ (ネーム) だけで大雑把な 下書き の下書きをする場合にも向いていません。 描き方は人それぞれですが、ネームが先にあっての作画の方が、後々困らない場合が多いようです。