甘やかすとダメになる…? 「スポイル」
「スポイル」 とは、英語の 「Spoil」 のことで、日本語では損なってしまうこと、ダメにしてしまうこと、台なしにしてしまうことです。 「スポイルする」 などと使います。 転じて、やる気が失せたりモチベーションが下がること、本来の能力が発揮できない場合などに、原因を他に求めて、「スポイルされた」 といった使い方をする場合もあります。
こうした言葉がよく使われるのは教育論の世界などです。 親が子供を甘やかしたり、過保護が行き過ぎあまりに先回りして危険と思われるものを徹底排除することで、結果的に子供の忍耐力や向上心、競争心、判断力が失われたり、性格や性質などが偏ったり弱くなることを 「子供をスポイルする」 などと呼びます。
またこれに関連して、世代論や企業の人事の分野で使われることもあります。 例えば社会・企業の主導権や決定権を持つ中高年層が、その権利を手放さず必要以上に行使して自分たちの指示に従うものだけを重用するといった行動により、若い世代の発想力や意欲が削がれ、若者をスポイルするなどの使い方です。
こうした使い方が転じて、一部の創作活動の場や 掲示板 などでの 馴れ合い などが、コミュニティとその参加者の技術的な停滞や甘え、ルール無視の惰性を生み出し、場をスポイルするなどといった文脈で触れる場合もあります。 あまりにトゲトゲしく 殺伐 とし過ぎているのも考え物ですが、適度な緊張感は、どのようなコミュニティにもスパイスとして必要なのかも知れません。
難しい 「優しさと甘やかし」
やたらと 「子供に危険だ」 と、刃物やら尖ったものを遠ざけるのは、子供が些細な怪我をして、「こういうものは、うかつに触ると危険だ」 といった実体験を伴う危険回避の学習を自ら行う機会を失わせる原因になります。 また 「有害だ」 などといって、アニメ や マンガ、ゲーム などを取り越し苦労で遠ざけるのも、子供から多様な価値観を遠ざけ、健全な判断力を奪う原因ともなるでしょう。
優しさと甘やかし、しつけと虐待の区別は、場合によっては難しいものとなりますが、親が何でも決め付けるのではなく、かと云って何でもかんでも放置するのでもなく、正しく導くことができれば良いのでしょう。 しかしこれは非常に難しい、ある意味で人類 永遠 の テーマ でもあるのかも知れません。
ネタバレで楽しみを奪う… 「スポ」
本来のスポイルの意味とはやや離れますが、「楽しみを奪う」「台無しにする」「萎え させる」 との ニュアンス で、ネタバレ を 「スポ」 とか 「スポる」 と呼ぶことがあります。 主に韓国・K-POP ファンの間で使われている言葉で、2010代中頃から日本でも若い世代を中心に使うケースが増えて来ています。