鉄子の旅はまだまだ続く…
「鉄男」「鉄子」 とは、「鉄道マニア」、いわゆる 「電車おたく」 のことです。
「鉄男」 は男性の鉄道 ファン、「鉄子」 は女性の鉄道ファンになりますが、鉄道ファン全体を指す言葉として、「鉄男鉄子」 のような形で使われることもあります。 アニメ や マンガ、ゲーム をたしなむ、いわゆる おたく と称される人々には、それら以外にも様々な副業、もしくはそっちが本業と呼べるようなディープな 趣味 があるものです。
中でも昔からもっとも 「おたく」 と親和性の高い趣味のひとつが、この鉄道でしょう。
鉄や鉄っちゃんから、鉄男、鉄子に…
国土交通省の 「鉄男・鉄子のみなさんの部屋」 |
直接の語源は、2002年〜2006年までの5年間、全48話にわたって週刊ビッグコミックスピリッツ増刊IKKI や 月刊IKKI (小学館) に連載、2007年にはアニメ化もされた人気実録鉄道マンガ、「鉄子の旅」 のタイトル名に由来します。
作品の内容は、鉄道に興味などないごく普通の女性で漫画家の 主人公、菊池直恵さん (キクチ/ 実録のノンフィクションマンガなので、作者 がそのまま出ている) が、鉄道マニアでトラベルライターのおっさん、横見浩彦氏や編集長、ゲストなどと一緒に日本全国の鉄道を乗って回り、その様子をルポ形式のマンガで紹介するというものでした。
それ以前にも鉄道関係者や男性鉄道ファンを扱ったマンガはあったものの、実録系でこういった切り口のマンガは過去ほとんど見当たらず、また 「徹子の部屋」 をもじったキャッチーなタイトルの語感もあり、ある程度年齢のいった鉄道ファン、マンガファンに強く支持され、それがそのまま女性鉄道ファンの俗称として定着することになりました。 その後、ネット の 掲示板 などで対になる言葉として、鉄男という名称も生まれました。
ところで作品中でも触れられていますが、それ以前の鉄道ファンの呼び方は、「鉄」(てつ) とか 「鉄っちゃん」 などという呼び方でした。 蔑称として 「鉄オタ」 などとも呼ばれていましたが、とりわけ 「鉄」 は、それぞれのファンがおのおの鉄道における自分のメインの カテゴリ を接頭して使うケースが多いものです。
例えばカメラで記録や撮影するのが好きな人は 「撮り鉄」、鉄道模型を集めるのが好きな人は 「模型鉄」、車両が好きなら 「車両鉄」、廃線や廃車寸前の路線運行に群がりサヨナラとかありがとうを連呼するのは 「葬式鉄」 などと呼びますが、こうした 「鉄」 を接尾したネーミングはかなりポピュラーな云い回しとなっていました。
従って 概念 としての 「鉄男」 はそれ以前にもあったのでしょうが、その後のこうした名称の広まりについては、この作品が直接の語源・きっかけだったといってよいでしょう。
折からの 萌え ブームもあり (鉄子の旅自体は萌えマンガの要素はほとんどありませんがw)、女性の鉄っちゃんは多くの鉄道ファンから歓迎されたのでした。 なお既婚女性の鉄道ファン、とりわけ鉄道好きな息子に影響されて鉄道ファンになったような場合は、「ママ鉄」 などと呼ぶ場合もあります。
リアル鉄子? アイドル豊岡真澄の存在も
ほぼ同じ頃、おっさん臭さで人気の怪番組、「タモリ倶楽部」 に 「女性鉄道マニア」 として、アイドルタレント豊岡真澄も登場。 元々は豊岡さんのマネージャー、ホリプロの南田裕介氏がこの番組の出演者でしたが、その後競演するようになり、豊岡真澄さんの鉄子ぶりがクローズアップ。 「美少女鉄道 featuring 豊岡真澄鉄道」 の連載をするなど、注目を集めていました。
そしてついには、2008年7月1日から、鉄道ファン向けの参加型ホームページを国土交通省が新設。 鉄道ファンの男女を表す言葉として、「鉄男」「鉄子」 を用い、「鉄男・鉄子のみなさんの部屋」 とすると発表。 一般の用語として定着してしまったようです。