地方在住者にとり、「コミケ」 とは交通費との戦い…そこで JR の 「青春18きっぷ」
「青春18きっぷ」 とは、全国のJR旅客各会社 (旧国鉄) の普通列車と快速列車 (いわゆる 「在来線」) の全てが一日乗り放題となる、期間 限定 の特別乗車券 (切符/ トクトクきっぷ) のことです。 乗り放題ですから、途中下車も再乗車も乗り換えも自由となります。
「青春」 とか、「18」 という名称がついているため、若い人専用の 「年齢制限」 のある特別きっぷのように誤解されている人がかなりいるようなのですが、使用年齢に制限はなく、また料金に小人や大人の区別もありません。
体裁は5枚一組となっていて、1枚で1日、1人のみ乗り放題となります。 この1日とは、始発から終電までのことではなく、原則として午前0時までとなっています (路線により終電までだったり、下車時刻ではなく、午前0時前までの乗車まで有効だったりと、微妙に違っています)。 価格は1綴りで 11,500円。 つまり1日あたり 2,300円で、全てのJR在来線 (一部地域では特例として特急に乗車可能) が乗り放題となります。
なおこの 「青春18きっぷ」 はJR各社の企画きっぷなので、他の私鉄や公営の地下鉄などに乗り換える場合は、当然ながらそれぞれの私鉄や地下鉄路線の乗車料金を支払うことになります。
購入は、各駅のみどりの窓口で行えます。
青春18きっぷ 販売期間・利用期間 (目安)
基本的に学校が休みとなる春、夏、冬に、それぞれ期間を定めて発売します。 利用できるのもこの期間だけです。 なお土日祭日などの関係で、販売日や使用可能日の始まりと終わりの期間は、年によって若干の変動があります。
春休み | 発売期間 2月20日〜3月31日 | 利用期間 3月1日〜4月10日 |
夏休み | 発売期間 7月1日〜8月31日 | 利用期間 7月20日〜9月10日 |
冬休み | 発売期間 12月1日〜1月10日 | 利用期間 12月10日〜1月20日 |
別名、コミケきっぷとも…地方在住者にとり交通費問題は深刻です
コミケ などの大きな 同人イベント や、「ワンフェス」「ゲームショー」 などの見本市イベント、とにかく大規模で、その カテゴリ を代表するようなイベントの多くが東京で開催されていることもあり、地方に在住する人たちにとって、遠征 に伴う交通費問題は深刻です。 新幹線や飛行機で行けば早く、そして楽に行けるのは分かっているのですが、「その旅費を浮かせれば、その分、同人誌 がたくさん買える…」 なんて思ってしまいます。
東京駅の中央線 201系 |
初期の頃の 「コミケ」 は年3回開催で、学生の参加 (大学のマンガサークル、漫研) などや、中高生の女の子の参加者がとても多く、数千円から往復で2万円を超えるような交通費は、それ自体を捻出するのも大変です。
一昔前は、深夜の高速バスに分乗したり、お父さんから借りた車に乗車定員いっぱいの仲間を詰め込んでガス代割り勘で強行軍を行う参加者も大勢いました (今でもたくさんいますw)。
その後、1982年 (昭和57年) になり、「青春18きっぷ」 の前身となる、「青春18のびのびきっぷ」 が発売 (1日乗車券3枚+2日乗車券1枚の計4枚綴り/ 価格/ 8,000円)。 現在の 「青春18きっぷ」 にはついていない 「青春18きっぷシール」(カバンやシャツの袖などに貼り付けて、改札を通るためのフリーパスのようなもので、現在のような自動改札ではなく、昔の有人改札時代の目視用切符みたいな扱い) がつき、一躍コミケ参加者らに利用されるようになりました。 そしていつしか、「18きっぷ」 の他、通称 「コミケきっぷ」 などとも呼ばれるようになりました。
なお鉄道マニアがこのきっぷを利用して旅すること、在来線の魅力を堪能する様は、「18きっぱー」 とか単に 「きっぱー」 と呼んだりします。
5枚綴りが微妙…日をまたぐ距離で往復で使うと1枚余る(1枚足りない)
現在の 「青春18きっぷ」 は5枚綴りですが、これの使い方がちょっと難しい感じです。 遠距離の交通費を浮かすための使い方をする場合、日をまたいで往復に必要なのは2枚ですが、奇数なので1枚余るか、逆に1枚足りなくなってしまいます (これはもちろん、増収を狙うJR (旧国鉄) の 孔明の罠 ですw)。 また5枚というのは、1シーズンで使い切るには多すぎる人もいるでしょう。
最近は、いわゆる 「金券ショップ」 などでも 「使い残し」 が出回っていますので、これで最初から2枚とか、4枚になっているのを買うのがひとつの手です。 反対に中途半端に余ったら、そこに売るのも良いでしょう。 しかし夏や冬のコミケ開催・帰省・Uターン時期の 「青春18きっぷ」 への 需要 はすさまじく、みどりの窓口で 普通に 買うのとほとんど違いのない値段だったり (特に使い勝手の良い2枚残りの端券などは、1日あたりの金額は正規購入よりむしろ割高になったりします)、コミケに行くのに使って帰ってから余ったものを売ろうとしても、コミケ後で有効期限も少ないことによる価格下落で思ったような値段にならないこともあります。 みんな、考えることは同じなのです。
まぁ、おたく と呼ばれる人には、「鉄道」 を副業にしている人が多く、そういった 鉄男 鉄子 ならば、残りも美味しくいただくことができるのでしょうが、そうでない場合には、無駄にしてしまう場合もあるでしょう。 無駄にするよりはと、Yahoo! オークションなどで投売りされるケースなどもあります。 いっそ、きっぷの元々の趣旨である 「青春の旅」 に使うのも良いのかも知れません。
なお私鉄など非JR路線で使えないのは前述した通りですが、近年は地方の旧国鉄ローカル線が第三セクター化するなど、使えない路線や地域が増えている実情もあります。 一般に第三セクター鉄道は経営が厳しく、料金も押しなべて高めの傾向がありますから、一部に救済措置としての特例はあるものの、昔のようにこのきっぷが使えるJR線だけを乗り継いで安価に移動するのも難しくなっている現実があります。