同人用語の基礎知識

キャラクターデザイン/ キャラデザ

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キャラを創ったり考えるのは楽しい 「キャラデザ」

 「キャラクターデザイン」(キャラデザ・キャラデ) とは、新規キャラクター を創造すること、あるいは既存のキャラクターを目的に沿ってリデザインすることです。 おおむね イラスト による キャラ絵三面図) の形で描かれ、もっぱらビジュアル的なデザインのみを指して使いますが、性格やそのキャラが歩んできた過去や背景を含めた内面的な部分、設定 を指して使うこともあります (キャラ造形とも)。 それらをまとめた絵や資料は設定画と呼ばれます。

 何をもってキャラクターのデザインとするのかは考え方次第ですが、一般的には 「全体のシルエット」「目鼻といったパーツ類の配置」「配色」 および 「ディティール」 を指すことが多いでしょうか。 キャラが人間の場合、大まかな骨格や体の構造は人間と同じになりますが、もちろん全く同じものを用いても、描く人の絵柄や個性によって見た目の印象は変わってきます。 共通する部分がありながら、それぞれのキャラがしっかり区別できる、その一方で、別の 絵描き、絵柄が異なる人が描いてもそのキャラだと分かるような同一性のある際立った特徴、すなわち個性 (character) をこの4つで表現することが求められるといって良いかもしれません。 優れたキャラデザは、時代にあった魅力を持ち個性的であると同時に、これらを過不足なく持っているデザインを指すものでしょう。

 アニメの場合、担当するのはキャラクターデザイナーを兼ねた作画監督 (作監) となる場合が多いのですが、別途キャラデザ専門の漫画家やイラストレーターらが起用されることもあります。 またキャラの数が多いとか、人物だけでなく動物やロボットなど異なるタイプのキャラが多数必要な場合、それぞれを描く担当者も個別に用意され、作監はメインキャラだけを担うとか、リードデザイナーとして全体のキーとなるデザインだけを提示するとか、あるいは自身はデザインをせずに全体を統括する役割を担います。

 なおキャラクターを創るという意味でキャラクタークリエイト (キャラクリ) という言葉もありますが、この言葉はもっぱら自分好みのキャラクターを作成できる ゲーム やコミュニティーサービスの機能名として使われることが多いかも知れません。

新規作成とリメイクのためのリデザイン

 新規のキャラデザは、それまで存在しなかった新しいキャラクターを創造することであり言葉としても分かりやすいものです。 一方で目的に沿ったリデザインのためのキャラデザには、いくつかの目的に合わせた種類があります。 例えば マンガアニメ にする、過去のアニメをリメイクするといった場合に、それぞれの媒体や発表時期の時代的な流行・需要 に合わせたキャラのアレンジや再構成がされるなどです。

 複雑すぎたり立体的に描くのが難しい造形、アニメにしづらいキャラデザを不自然さや違和感が生じないように簡略化・最適化したり (立体型・平面型)、ロボット物などの場合はその後の商品としての玩具化・模型化を睨んだキャラデザ (あるいはメカニックデザイン) が行われます。 2000年代に入りアニメ制作にデジタル技術が本格的に用いられるようになると、コンピュータによる CG として描きやすいかどうかも重要な要素となっているでしょう。

 マンガのアニメ化などの場合、そのキャラ自体はあくまで元作品の 作者 が創造し最初にキャラデザしたものですが、アニメ化などで新しくアニメ用のキャラデザがされた場合は、元作品は原作や原案扱いとしてのみ扱われるといって良いでしょう。 どちらも同じ公式絵ですが、アニメ化に伴うキャラデザの場合、どうしてもアニメ版キャラの 露出 が大きくなり、そちらのイメージが優先されがちかも知れません。

 なお実写化の場合、演じるのは俳優やアイドルなど実在の人間・タレントになりますので、キャラデザというキャラそのものの造形のデザインは存在しません。 しかしどの役者を起用するかとか、キャラに似せるためのメイクや身に着ける衣装は別途デザインされたり設定されたりしますから、それらを含めてキャラデザとして扱う場合もあります。 それぞれメイク担当・衣装担当、プロップ担当など専門分野に合わせたスタッフが個別に担うことが多いでしょう。 これは舞台・ミュージカル化なども同様です。

 キャラの内面や原作キャラとのある程度の同一性については、監督や脚本、演出といった部分も入り、というかそちらがむしろメインであり、プロデューサーやらスポンサーやらの 大人の事情 もあって、あからさまなキャラ改変や改悪はキャラデザというより作品制作全体そのものの結果と云って良いでしょう。 なのでそれについてはキャラデザという範疇を超え、キャラデザと呼ぶこともありません。 なおあまりにキャラや元作品が変えられて、しかもそれが劣化したと思われるものだった場合は、熱心な ファン から 原作レイプ とか原作クラッシャーなどと揶揄・罵倒されることもあります。 アニメ化に比べドラマなど実写化がしばしば酷いのは、関わる人間や組織や利害関係が大きすぎるからで (とくに芸能事務所)、これは構造的な問題でもあります。

大勢の絵師が参加するソシャゲキャラの絵柄統一問題

 近年になって注目されるキャラデザの目的に、絵柄の統一があります。 例えば数十、数百ものキャラが登場し、そのキャラを大勢の 絵師 がおのおのの絵柄・画風で分担して描いている 擬人化系 のソシャゲ・ネットワークゲーム をアニメ化する場合、そのままでは絵柄がバラバラで統一感がない上に作画コストも上がってしまいます。 そこでアニメ用に全てのキャラデザを元作品の 雰囲気 は残しながら一つの画風・世界観 に合わせる形で統一するのですね。

 この場合、元作品であるゲームの プレイヤー やファンは、それぞれ自分が 推す キャラ (と、そのキャラを描いた絵師や絵師の画風) があるので、自分のキャラがどう扱われどう改変されるのかで気をもむこととなります。 画風統一も目的としたキャラデザをする際には、やはり元作品で人気があったキャラや絵、そのゲームを代表するキャラや絵師の画風や雰囲気が重視される傾向が強いので、不人気キャラや絵師のファンは割を食うことが多くなってしまいます。

 また大勢の絵師参加によるソシャゲキャラをアニメ化のためにキャラデザによって絵柄統一した場合、その後はそのキャラデザがそれぞれのキャラの 公式 な基準・統一見解としても扱えるようになりますから、ゲームやアニメ以外の展開、例えば各種グッズや何らかの企画用の新規絵の描きおろしが簡単になるという部分も大きいです (アニメ化する理由の一つでもあります)。

 元々アニメの制作体制は分業が基本ですし、キャラデザの設定画を基準に様々なアニメーターが同じキャラをおおむね同じように描く体勢ができているため、大量生産が可能でビジネス的にも合理的でしょう。 キャラデザに沿った絵を外注で量産するスタジオ、色塗りだけを請け負うスタジオなどもあります。 絵師違いのキャラ同士の カップリング も、絵柄統一がされて分業となっていれば簡単です。 絵柄統一がなされなければ、各絵師に個別に発注をかけるなど新規絵を調達するために多くのコストがかかってしまいます。

 もっとも、何らかのトラブルやスケジュールの関係で、アニメの制作会社やメインスタッフが途中でごそっと入れ替わり、キャラデザや絵柄もがらりと変わってしまう場合もあります。 例えば深夜アニメで1期と2期とでまるで違う作品のようになってしまう状況ですね。 声優さんの中途変更も健康問題といった止むを得ない事情でなければ熱心なファンから敬遠されがちな傾向がありますが、キャラデザや絵柄の変更は人気に影響があるだけでなく、グッズ展開といった作品外のビジネスにも大きな打撃になります。

キャラデザは楽しい、けれど難しい、でも楽しい

 同人 における既存作品の 二次創作 も、ある意味で元作品のキャラを自分の絵柄に合わせて再構成・リデザインするキャラデザを伴うものと云って良いでしょう。 元キャラが持つ個性や自分の気に入ったポイントを強調したり、自分が描きやすい画風に持っていくのは、アニメ化など 商業 におけるそれとあまり違いはありません。 ただし同人作品はおおむね1人の 同人作家 が全てを1人で完結させるので、アニメ化における複数人での制作を前提とした基準といった意味はほとんどないでしょう (デジタル時代になって、線画と塗りは別に行うといったケースも増える傾向にありますが)。

 一方、オリジナル のキャラ (オリキャラ) を描く場合は、最初に設定画的な基準となるキャラ絵を描いておくと、後々混乱も生じないでしょう。 頻繁に描く 主人公 などメインとなるキャラは思い入れもあって手が勝手に動いて描けたりもしますが、たまにしか登場しないキャラ、物語上必要だけれどさして思い入れのないキャラの場合、「あれ? ここの部分はどうだったっけ?」 みたいな事が稀によくあったりもしますし。

 またキャラクター創造を含めたキャラデザの場合は、もちろん自分の好きな性格や容姿、それが良く伝わるデザインにすればよく、このあたりは趣味で描く作品なら自分の好きにすることができるでしょう。 とはいえそれで 主人公 は描けても、サブキャラ とかその他、作品を形作る様々なキャラを何人もデザインするのは、かなり難しいかもしれません。 キャラ造形とかキャラデザなどは、まともに説明しようとしたらこのような用語集のたかが1項目で説明できるような簡単なものではありませんが、幸いアニメ化する際にはアニメ誌などにキャラデザ担当者のインタビューなどが掲載され、そのヒントを得ることはできます。

 作品作りに必要なキャラを自分の好きなように描いて、それでも満足できなかったり行き詰まりを感じたなら、それはそのキャラが作者の想像力や画力を超える何らかの力を持ったひとつの証です。 なかなか満足のいく パーフェクト なキャラを描くことはできませんが、実力のある漫画家やプロのイラストレーターからヒントを得て、少しでもそのキャラがそのキャラらしい特徴やデザインをまとって活躍できるようになったら良いですね。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 1999年11月15日)
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